著者
浅川 雅美 岡野 雅雄 林 英夫
出版者
日本行動計量学会
雑誌
行動計量学 (ISSN:03855481)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.141-152, 2020 (Released:2021-04-21)
参考文献数
27

This study examined the effect of the position of answer category “neither” of a rating scale (applicable/not applicable) of a self-administered questionnaire on the subjects' response rate, ease of answering, and misunderstanding of answer options in the case of a web survey. An eye tracking experiment was conducted on 56 university students. Fifty responses were analyzed and 6 were excluded due to insufficient data. The results showed that: (1) when “neither”is placed at the far right of the rating scale, the response rate is lower than when at the center; (2) when “neither” is placed at the far right, some participants mistakenly thought it displayed the most negative answer of “not applicable” because they did not observe the right side carefully; and (3) participants who correctly recognized the position of “neither” on the right had a higher fixation counts on the answer options and larger eye movements than those who did not recognize it.
著者
岡野 雅雄 浅川 雅美
出版者
文教大学大学院言語文化研究科付属言語文化研究所
雑誌
言語と文化 = Language and Culture (ISSN:09147977)
巻号頁・発行日
no.15, pp.1-18, 2003-03-01

Through the semiotic analysis of Japanese award-winning commercials for beer and whiskey, we learn that: CMs for beer have a common theme of obtaining a "pleasant sensation" after suffering troubles in humorous and realistic setups. In the case of whiskey CMs, the "European" connotation is more important. And the brand image is distinguished clearly by realistic/non-realistic modality features. The characters of commercial films are in agreement with the target segmentation of the product. The middle-aged male plays the leading role in both genres of CM.
著者
浅川 雅美 岡野 雅雄
出版者
文教大学
雑誌
湘南フォーラム:文教大学湘南総合研究所紀要 = Shonan Forum : Journal of the Shonan Research Institute Bunkyo University (ISSN:18834752)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.139-147, 2008-03-01

This study was conducted in order to examine how the travel brochure of Yonaguni sland promotes the island as a fascinating travel destination. For this purpose, the entire text of the brochure in its original form was used as text data and “main words” were extracted from it through morphological analysis. Further, the tuples of the main words and the words in concord with it were also extracted. The result demonstrated that the most frequent descriptions made using the main words and the tuples of the main words concerned the island’s natural resources, followed by descriptions of places where scenes from a TV drama were filmed. However, the brochure included comparatively few descriptions on cultural resources. Further, the points of interest of Yonaguni Island in the brochure were defined in terms of two main dimensions, i.e., the island’s “peculiarity” and its “adventurous and exciting nature.
著者
浅川 雅美 岡野 雅雄
出版者
文教大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

464名の大学生を対象に食品CMを用いた視聴実験を行い、(1)「伝達内容」と「Aad」の間に及ぼす「情報的価値」の媒介機能、(2)「視聴印象」と「情報的価値」が「Aad」に及ぼす影響、について検討した。結果は以下の通りである。(1)「情報的価値」が高いケースは低いケースと比べて「Aad」の評定が高い、(2)「伝達内容」と「Aad」の間には、「伝達内容→情報的価値→視聴印象→Aad」と「伝達内容→情報的価値→Aad」の二つの反応プロセスがある、ことが推察された。
著者
岡野 雅雄
出版者
文教大学
雑誌
湘南フォーラム:文教大学湘南総合研究所紀要 (ISSN:18834752)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.57-63, 2011-02

本稿では、現今のゲーム研究(game studies)を参照しつつ、インターネット広告で用いられるゲームについて、考えてゆきたい。 ゲーム研究は、まだ歴史が浅いものの、特に欧米を中心に急速に形成されつつある。その理論的な背景はさまざまであるが、記号論的な視点が重要な役割を果たしている。たとえばMyers(2010)は、「ビデオ・ゲームは、科学としての記号論の観点からは、記号とシンボルのコード化された操作を通して意味を生成し変換する記号的機構(semiotic mechanism)である」と述べている。 Saussure(1916)の流れをくむ記号論についてみると、Guiraud(1971)は、記号としてのゲームの特徴として、コード化されており規則があること、ゲームの中では我々はある役割を演ずることを挙げている。さらに、その記号の分類体系においては、ゲームを「社会的記号」の一つに位置づけ、ゲームを以下の3つに下位分類している。 1)知的で科学的:なぞなぞ・クロスワード・パズルなど 2)実際的で社会的:ままごと・チェスなど社会的状況の模倣 3)感情的で美的:サッカー・レスリングなどのスペクタクル そして、ゲームの機能として、ままごと遊びで役割・職業を学ぶ場合にみられるような「学習」、試合でいちばんふさわしい者を選ぶ場合にみられるような「選別」、欲求不満を解消させる「娯楽」を挙げている。 Guiraudの体系はゲームの基本的な特質は押さえていると考えられるが、ビデオ・ゲーム以前のものであり、多様な形で発達した現在のゲームを把握するためには補わなくてはならない点が多い。ことに、言語中心に理論が組み立てられている点が、多くの感覚様相(モダリティ)を巻き込んで行われるゲームには適合しにくい。 その欠点を補うものとして、記号論の中でも「社会記号論」からのアプローチ(Kress & van Leeuwen, 1995;Kress & van Leeuwen, 2001)が好適な理論的な基礎を提供してくれている。Kressらは、Saussureの流れをくむ言語中心の記号論を批判し、記号過程は視覚・聴覚ほかの感覚が統合された「マルチモーダル」なものであり、言語はその一部として働くものと考えている。これは、デジタル・ゲームが、ディスプレーに表示される視覚的記号、言語的メッセージ、音響効果・音楽、コントローラーを操作する筋肉の動きなど、多くの感覚様相を巻き込んだものであることを考えるときに特に妥当性が高いモデルとなっている。 また、社会記号論が相互作用性(interactivity)を重視する点も、デジタル・ゲームを考える際には好適なものとなっている。オンラインで提供される広告ゲームも、デジタル・ゲームのひとつとして、相互作用性を抜きにして考えることはできない。このような観点からみると、コード化・コード解読からなる過程であるゲームが、webのもつ動的特性を利用してさらに高度な相互作用性を手にして、新しい遊戯的な形式をとったものの一つが広告ゲームである。以下では広告ゲームについて考えたい。