著者
日野 智 岸 邦宏 佐藤 馨一 千葉 博正
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.827-834, 2000-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
13
被引用文献数
1 2

整備新幹線である東北新幹線盛岡-新青森間が開通した後、並行在来線である東北本線盛岡-青森間は第三セクターとへ経営が移管される。しかし、同区間は北海道と本州とを結ぶ鉄道貨物列車の主要経路であるため、第三セクター化後の鉄道貨物輸送存続が懸念されている。そこで、本研究は鉄道貨物の必要性を示し、代替経路や代替機関による輸送についても検討する。結果として、東北本線経由の鉄道貨物輸送は大きな役割を果たしており、鉄道貨物を存続させた方が関係主体合計の負担は少ないことが明らかとなった。
著者
日野 智 岸 滋 岸 邦宏 浅見 均 佐藤 馨一
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.495-503, 2002-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
14

近年、北海道と本州間の鉄道輸送網において、事故・災害による不通が多発している。鉄道輸送網の不通は旅客だけではなく、物資輸送にも多大な影響を与えている。本研究は鉄道貨物輸送における代替経路探索モデルを構築し、津軽海峡線貨物列車脱線事故と有珠山噴火災害に適用したものである。本研究で構築したモデルは時刻を考慮しているため、便毎に経路を探索することができる。そのため、運行頻度や発着時刻等を含めた代替経路の評価が可能である。また、現実に採用されている列車待機を代替経路の一つとして、表現できる。モデルを事故・災害事例へと適用した結果、フェリー航路が代替輸送に有用であることが明らかにされた。すなわち、今後はフェリーも鉄道貨物輸送における代替経路として考慮すべきといえる。
著者
東本 靖史 高田 寛 岸 邦宏
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.45.3, pp.433-438, 2010-10-25 (Released:2017-01-01)
参考文献数
10

バス利用者の減少が年々、深刻化する中、2002年の改正道路運送法の施行に伴い、バス事業者としては経営上、公共性よりも採算性を重視せざる終えなく、全国的に赤字路線からの撤退が相次いだ。地域のバスサービスの低下は、地域住民の移動手段を奪うこととなり、地域生活に大きな影響を及ぼすことになるが、更には地域の利便性の低下は地価の下落を招くこととなり、社会経済的な損失は多大である。そこで本研究では、路線廃止や減便などのバスサービスの低下がもたらす地価下落への影響を分析するため、ヘドニックアプローチにより地価関数の変数にバスサービスを含めたモデルを構築する。特に、各地域のバスサービスについては、バス便数や系統数、バス停までの距離が複合的に影響するため、本研究では包絡分析法(Data Envelopment Analysis)を用いて、新たなバスサービス水準指標を設定した。
著者
金田一 淳司 岸 邦宏 佐藤 馨一
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.399-406, 2004-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
12

都市の交通渋滞対策として, 環状道路の整備が推進されているが, ほとんどの都市で建設が進んでいないこのような中, 札幌では約70年の歳月を要したが, 日本初の一般道路による環状道路が実現した.研究成果は, 札幌環状通完成までの札幌の都市建設や都市・道路計画などを対象に, 歴史的背景, 史実, 計画の変遷を計画史の視点より研究した.その結果, 戦時体制下の国防, 防空と防火の思想を背景とした火防線を理想型の環状系広路として計画し, 実現性を踏まえた「アーク (環状系) 道路」を配置し, その思想を今日まで持続した点にあったとともに, 計画史的評価による新たな事業評価も可能であることを明らかにした.
著者
日野 智 岸 邦宏 相浦 宣徳 佐藤 馨一
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.667-674, 2001

近年、航空会社には効率性を重視した経営が求められている。そのため、採算性の低い地方航空路線ではサービス水準が低下する恐れがある。そこで、本研究はコミューター航空をフィーダー路線として活用したハブ・アンド・スポークシステムの実現可能性を明らかにした。女満別空港における意識調査から時間的な制約条件から利用者は乗り継ぎ便を選択し、運賃以外にも交通方向と目的の組み合わせが影響していることが明らかとなった。また、乗り継ぎ便選択率モデルを構築し、利用者数算出とコミューター機を含めた機材運用の設定を行った。結果として、コミューター機を活用することが座席利用率を向上させうることを示した。
著者
岸 邦宏
出版者
日本交通学会
雑誌
交通学研究 (ISSN:03873137)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.75-82, 2013

本研究は、北海道新幹線新函館~札幌間の並行在来線区間における余市町、倶知安町において、都市間公共交通サービスレベルに対する住民のニーズを分析することを目的とする。すなわち、JR利用者の多い余市町と倶知安町で札幌方面への移動における公共交通に関する意識調査を行い、鉄道の存続やバス転換等、都市間公共交通のあり方を明らかにするものである。分析の結果、鉄道の場合は駅での乗換が生じるため、都市間バスが自宅の最寄りのバス停から乗換無しで札幌に行ける場合は、鉄道よりも都市間バスの満足度が高いことがわかった。
著者
何 夢夢 高松 一哉 岸 邦宏 山中 康裕
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.631-636, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
17

日本は少子高齢化社会を迎えており、中山間地域の公共交通機関空白地域において、運転せざるを得ない高齢者人数がだんだん増えていく。3年毎に全国の自治体は、介護保険事業計画を策定する際に、65歳以上の高齢者を対象とした「介護予防・日常生活圏域ニーズ調査」を実施している。本研究は、このニーズ調査が高齢者の運転状況に関する情報を提供する可能性を示した。ひとつは、ロジスティック回帰分析をもちいて、機能的健康状態等から運転しないと推定される運転している高齢者(注視運転者と呼ぶ)をスクリーングとして見出せることである。もう一つは、注視運転者の多くが「運転も同乗もする」ことに注目して、機能的健康状態の低下ともなう、(1)自ら運転するが同乗しない、(2)自ら運転もするが同乗もする、(3)運転しないが同乗する、(4)運転も同乗もしないという順序(移動者弱者指標と呼ぶ)を確認した。
著者
東本 靖史 岸 邦宏 劉 志鋼 佐藤 馨一
出版者
日本地域学会
雑誌
地域学研究 (ISSN:02876256)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.575-587, 2006
被引用文献数
1

Conventional traffic policies including TDM have attempted to switch commuters' transportation mode from the motorcar to public transportation mainly focusing on their outgoing trips. However, when commuters choose transportation modes for accessing the destinations, they consider not only the traffic service hours for their outgoing trips but also conditions for the return trips. The departure time of the final transport service and the number of bus services for evening hours are supposed to specially influence them to determine the transportation mode for their return trips. Suppose a case that although a person really wants to go to his office by bus, he cannot help commuting by car because the departure time of the last bus service for his return trip is too early for him.<br>To promote TDM policies to minimize motorcar traffic, transport planning considering commuters' convenience in their homeward trips is necessary.<br>The number of public bus users is being decreased year by year due to motorization development, which has seriously aggravated public bus earnings, meanwhile improvement of the level of public transport service is being demanded. Further the regulation of supply-demand adjustment of public bus services in Japan was abolished in 2002, and it realized free entry to bus service business and bus operators' discretional abolishment of bus lines.<br>The residents have been concerned if the bus deregulation might result in deterioration of the service quality level, specifically in discontinuance of unprofitable lines and a decrease in the no. of bus services. However, bus service businesses should be managed considering not only profitability but local needs as well.<br>Factors that are predominantly influential on users' evaluations on bus service quality are the service schedule, no. of services, and operation routes. Efficient bus service operation planning that takes into consideration local needs for these factors is indispensable toward the future.<br>This study focused on commuters' return trips whose details have not been fully identified, and through commuter's attitude surveys investigated co-relations between bus service availability improvement for commuters' return trips and their selection of transportation modes. Further, this study analyzed users' evaluations on bus service quality by the improved window method that applies DEA to identify efficiency values of the bus services by district and bus operation schedule for return trips.<br><br>JFL classification: C0, H0
著者
岸 邦宏
出版者
北海道大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2001

平成13年度はロジット型価格感度測定法(Kishi's Logit PSM ; KLP)の精緻化に重点を置いて研究を進め、モデルの評価指標の信頼性について明らかにした。平成14年度はその結果を受けて、KLPを用いて公共交通機関の運賃と利用者数について分析を行った。適用事例を以下に示す。1.北海道におけるコミューター航空北海道宗谷南部地域において空港が建設され、コミューター航空が就航された場合の運賃評価について意識調査を行った。業務目的と観光目的、目的地が道央圏と首都圏について分析を行い、それぞれの運賃評価と市場規模を考察した。2.北海道新幹線の函館開業時北海道新幹線が函館まで延伸された場合の函館〜東京・東北地方の運賃について意識調査を行い、利用目的によっての詳細な運賃評価から、北海道新幹線開業時のサービス提供方策を提言した。また、KLPのさらなる理論構築を目的として、公共事業に対する住民の負担金領の評価と道路構造改良による心理的負担軽減の価値について適用を試みた。前者は北海道の4都市における除雪事業について、住民の望む除雪水準とそれに対する住民の費用負担意識を分析した。その結果、住民は除雪水準の向上に対して費用負担の増加を受け入れることが明らかになった。後者については、山間部における高規格幹線道路の安全性に対する価値を通行料としてKLPで評価した。そして、KLPの評価指標のうち、基準価格を用いて心理的負担軽減の価値を求め、道路解消による心理的負担軽減の便益を算出した。以上、主に4つの意識調査を行い、KLPによる利用者の運賃評価と利用者数についての検討、そして公共事業の価値の評価手法としてKLPの理論構築を行った。