- 著者
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秋山 満昭
島岡 政基
- 雑誌
- 情報処理
- 巻号頁・発行日
- vol.61, no.4, pp.378-383, 2020-03-15
進展の早いサイバーセキュリティの分野では,研究者は十分に議論されていない領域の倫理的問題にしばしば直面する.この倫理的判断を研究者自身の自己責任とすることは,研究の萎縮を招く可能性があり,そうした萎縮によって科学技術の発展が妨げられることは避けなければならない.本稿では,先進的なサイバーセキュリティ研究を研究倫理面からサポートするために,研究コミュニティとして「研究倫理相談窓口」と「チェックリスト」という2つの施策を学術シンポジウムに導入した事例を紹介する.また,その施策を通じて得られた知見に基づいて,サイバーセキュリティの研究倫理の普及活動に関する今後の展望を述べる.