著者
松田 恵示 島崎 仁
出版者
日本スポーツ社会学会
雑誌
スポーツ社会学研究 (ISSN:09192751)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.81-94, 1994-03-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
22

『タッチ』は、当初より若者たちの圧倒的支持を受けたマンガである。作品の終盤、甲子園出場を最後まで争ったライバルの「ま、そのうちまた、どこかのグラウンドで会うこともあるだろう」という言葉に対して、主人公の達也は「もういいよ、疲れるから」と間を外してしまう。このシーンはいわゆる「名場面」として刻印されるシーンなのだが、このシーンの解釈は、作者と読者が共有する生きられたスポーツ経験を掘り起こすことに他ならない。本稿の課題はこの作業を通して生きられた具体的、全体的経験としてのスポーツ (行為) を社会学的に捉える視角 (特に「遊」概念に照準したもの) について考察を深めることにある。この作品は、「アジール的空間、コミュニタス的時間と、その終わり」を主題とする青春マンガである。野球と恋愛が主な素材であるが、作品の前半と後半ではその描かれ方がちがうことに気づく。ここでそれを「出来事としてのスポーツ=コケットリーの戯れ」と「物語としてのスポーツ=コケットリーのイロニー」と呼んで区別する。検討の結果、「コケットリーの戯れ」と「出来事としてのスポーツ」は非〈目的-手段〉図式上の行為として親和性を持つ。この親和性は、意味を形成する主体の不在=伝統的主体概念を出発点とした思考の外側からの視線を共有することによって生じている。この親和性が持つ伝統的な主体性に対置されるパースペクティブは、近代化が進んだ社会の現実原則が伝統的な「主体性」を背景とするものであるならば、現実社会に対向するパースペクティブでもある。それゆえこれは、青春=アジールを現すものともなりえる。非主体と反主体あるいは不主体の混同が見られるために,「出来事としてのスポーツ」というパースペクティブをうまく捉えきれていないこれまでの「遊」概念は、スポーツを理解する上で今後さらに精練されなければならない。
著者
島崎 仁司 秋山 正博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MW, マイクロ波 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.210, pp.37-42, 2009-09-18

金属を含む糸を使って織られた導電性織物のマイクロ波帯域における表面抵抗を測定し,織り方などの抵抗値への影響について考察している.導電糸は金属の細線あるいは金属コーティングした糸を用いたものではなく,装飾用に伝統的な製法に従って作られたもので,服として身体装着することのできる電子機器の材質として使用することが期待てきる.測定にはマイクロストリップ線路共振器を用い,銅箔ストリップと織物ストリップのQ値を比較して,織物を導電性シートと考えた場合の表面抵抗を算出している.金属種として銅/アルミ,織り方として綾織/平織,さらに織る際の糸の束ね方および密度を変えていくつかのサンプルを用意し,それらの測定値を比較・検討している.
著者
松田 恵示 島崎 仁
出版者
日本スポーツ社会学会
雑誌
スポーツ社会学研究 (ISSN:09192751)
巻号頁・発行日
no.2, pp.81-94, 1994

『タッチ』は、当初より若者たちの圧倒的支持を受けたマンガである。作品の終盤、甲子園出場を最後まで争ったライバルの「ま、そのうちまた、どこかのグラウンドで会うこともあるだろう」という言葉に対して、主人公の達也は「もういいよ、疲れるから」と間を外してしまう。このシーンはいわゆる「名場面」として刻印されるシーンなのだが、このシーンの解釈は、作者と読者が共有する生きられたスポーツ経験を掘り起こすことに他ならない。本稿の課題はこの作業を通して生きられた具体的、全体的経験としてのスポーツ (行為) を社会学的に捉える視角 (特に「遊」概念に照準したもの) について考察を深めることにある。<br>この作品は、「アジール的空間、コミュニタス的時間と、その終わり」を主題とする青春マンガである。野球と恋愛が主な素材であるが、作品の前半と後半ではその描かれ方がちがうことに気づく。ここでそれを「出来事としてのスポーツ=コケットリーの戯れ」と「物語としてのスポーツ=コケットリーのイロニー」と呼んで区別する。検討の結果、「コケットリーの戯れ」と「出来事としてのスポーツ」は非〈目的-手段〉図式上の行為として親和性を持つ。この親和性は、意味を形成する主体の不在=伝統的主体概念を出発点とした思考の外側からの視線を共有することによって生じている。この親和性が持つ伝統的な主体性に対置されるパースペクティブは、近代化が進んだ社会の現実原則が伝統的な「主体性」を背景とするものであるならば、現実社会に対向するパースペクティブでもある。それゆえこれは、青春=アジールを現すものともなりえる。非主体と反主体あるいは不主体の混同が見られるために,「出来事としてのスポーツ」というパースペクティブをうまく捉えきれていないこれまでの「遊」概念は、スポーツを理解する上で今後さらに精練されなければならない。
著者
堀 崇宏 長谷川 浩文 島崎 仁司 堤 誠
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1997, no.1, 1997-03-06

ミリ波, サブミリ波領域における平面集積回路の研究は今後大きな発展が期待されている。方形誘電体導波路はマイクロストリップ線路に比べて低損失であり, 方形導波管に比べて製作が容易でかつコストもかからないなどの利点がある。最近誘電体スラブビームウェーブガイド(DSBW)が捉案された。本研究では, 焦点距離を磁界で制御する目的でフェライトレンズを適用したDSBWを提案し, その実験を行なったので報告する。
著者
門 勇一 島崎 仁司 品川 満
出版者
京都工芸繊維大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

人体近傍微弱電界通信の応用分野の拡大を狙って、カード型の装着型トランシーバと環境埋め込み型トランシーバを試作した。ユースケースに即して、両トランシーバ間の通信品質を評価するシステムを構築して、パケット誤り率を評価した。また、EO-OEプローブを開発して、実人体上や人体等価ファントム上での信号伝搬損失を正確に測定すると共に、電磁界シミュレーションによりその妥当性を確認した。ユニバーサルインターフェイスとして社会実装するための課題に対して、電界通信システムの等価回路モデル化に取り組み、通信品質改善や信号干渉抑制に対する指針を明らかにした。