著者
鈴木 毅彦 村田 昌則 大石 雅之 山崎 晴雄 中山 俊雄 川島 眞一 川合 将文
出版者
日本第四紀学会
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.103-199, 2008-04-01 (Released:2009-04-25)
参考文献数
36
被引用文献数
2 2

立川断層の活動史を明らかにするため,4本のコアと狭山丘陵を調査した.狭山丘陵に産出するテフラSGOはMTB1・武蔵村山コア中のテフラに対比される可能性があり,同じくSYG(1.7 Ma)はMTB1・武蔵村山コア中のテフラに,箱根ヶ崎テフラ群(約2.0 Ma)は武蔵村山・MTB2コア中のテフラに対比された.また,Ebs-Fukuda(1.75 Ma)がMTB1コア中に,Kd44(1.968~1.781 Ma)が武蔵村山・瑞穂コア中に,Tmg-R4(2.0 Ma)がMTB2コア中に検出された.三ツ木地区においては,SYG層準が約126mの北東側隆起の変位を受けている.SYGと箱根ヶ崎テフラ群の変位量には累積はなく,立川断層は2.0~1.7 Maの間は活動していなかった.断層は南東・北西セグメントからなる.従来,地下でのみ認定された瑞穂断層は北西セグメント南東部であり,両セグメントは約1.5kmの区間を並走している.南東セグメント内では北西端部ほど累積変位量が小さいが,並走する北西セグメントの累積変位量を加味すれば,断層全体では南東セグメント北西端で累積変位量は急減しない.
著者
遠藤 毅 川島 眞一 川合 将文
出版者
一般社団法人日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.74-87, 2001-06-10
参考文献数
28
被引用文献数
9 21

大正時代の中ごろから激しさを増した東京都東部に位置する下町低地の地盤沈下は,高潮被害の続出や湿地化による疫病罹災の増加等から昭和初期には社会問題に発展した.一方,当初,地殻変動に起因するとされていた沈下原因は,多くの原因模索の後,第二次世界大戦終期に地下水の揚水であることが実証され,昭和30年代半ばから地盤沈下抑止を目的に地下水の揚水規制が施されている.その結果,地盤沈下は昭和40年代後半から東京都全域にわたり減少する傾向を示し,昭和50年半ばから沈静状態にある.しかし,沈下開始から沈静化に至る約70年間,下町低地の歴史は相続く地盤沈下と洪水・高潮の被害への対応に終始したと言っても過言ではない.昭和初期における地盤沈下原因の模索,地下水揚水説の実証,その後の沈静化に至る一連の地盤沈下問題の整理・集約は,わが国の近代科学史,とくに,公害史のうえで有意義なことと考える.そこで,本論では下町低地を中心に,地盤沈下の推移について,その概要を述べる.
著者
石井 求 斎藤 量 遠藤 毅 山田 信幸 川合 将文 佐藤 安男
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, 1982-12-15

昭和53年の東京23区全域と多摩地区における地盤沈下を報告している。23区の地盤沈下はほぼ全域に認められ, 江東区新砂, 足立区入谷町, 板橋区赤塚の付近で約3cm沈下し, その他の地域は3cm以下である。一方, わずかな量であるが隆起している地域もある。23区の最大沈下量は足立区入谷町の3.92cm, 最大隆起量は江戸川区守喜田町の0.88cmである。低地にみられる地盤沈下の状況を深さ別にみると, 浅層は依然として収縮が続いている。また深層は昭和49年ごろから全般的に膨張の傾向にあったが, 昭和53年は荒川河口付近のみ膨張傾向にあり, その他の地域では収縮傾向へと変わった。多摩地区の地盤沈下はぼ全域に認められ, 保谷市中町, 東村山市恩多町付近で約3cm, 清瀬市の東部で3〜6cm沈下している。その他の地域の沈下量は3cm以下である。清瀬市下清戸二丁目付近の沈下量は5.59cmで都内で最大値である。一方, 羽村町の西部では0〜0.13cm隆起している。地下水位は, 23区の一部で低下しているが, 全体として0.04〜4.57m上昇している。多摩地区は一部を除いて, 0.03〜3.53m低下している。
著者
村田 昌則 鈴木 毅彦 中山 俊雄 川島 眞一 川合 将文
出版者
Tokyo Geographical Society
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.116, no.2, pp.243-259, 2007-04-25 (Released:2009-11-12)
参考文献数
24
被引用文献数
4 4

Four boring cores obtained by boring surveys conducted at Wadabori Park in Suginami Ward (core WDB), Kinuta Park (core KNT) in Setagaya Ward, Tamagawadai Park (core TMG) and Unoki (core UNK) in Ota Ward, southeast part of Musashino upland, Tokyo, were reexamined. Mineral assemblage, shapes of volcanic glass shard, refractive indices of volcanic glass, and heavy minerals and chemical composition of volcanic glass of several tephra layers from these cores were determined. As a result, it is revealed that six tephra layers are correlative with the key tephra layers in the Kazusa Group of the Boso Peninsula and Tama Hills in the Kanto district. The WDB-1 tephra from core WDB is identified as the Kd8 tephra in the upper part of the Kiwada Formation in the Kazusa Group. The KNT-4 tephra from core KNT, the TMG-7 tephra from core TMG and the UNK-1 tephra from core UNK are identified as the Kd16 tephra in the middle part of the Kiwada Formation. The TMG-18 tephra from core TMG and the UNK-8 tephra from core UNK are identified as the Kd18 tephra in the middle part of the Kiwada Formation. Based on the correlation among these tephras, the sediments of ca. 15 m above sea level (a.s.l.) at Wadabori Park is correlative with the upper part of the Kiwada Formation deposited at 1.21-1.27 Ma, and the sediments of ca.-2 m a.s.l. at the Kinuta Park, ca.-20 to-74 m a.s.l. at the Tamagawadai Park and ca.-9 to-44 m a.s.l. at Unoki are correlative with the Kiwada Formation in the Kazusa Group. The sedimentary ages of these sediments are between 1.27 and 1.45 Ma based on stratigraphic relations with the calcareous nannofossil datums.