著者
佐々木 政則 川合 祐史 吉水 守 信濃 晴雄
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.70, no.6, pp.928-937, 2004-11-15
被引用文献数
8 12

シロサケ肉を主原料としていずしを製造し,原料の前処理過程(水晒し,仮酢漬け)と樽漬込み後,低温(5℃前後)熟成過程における化学成分と徹生物相を観察した。いずしは漬込み35日以降に食用可能となり,44日後にいずし特有の風味が生成した。いずしの有機酸は酢酸主体であり,熟成中のpHは5以下を維持した。熟成中に生菌数の著しい増加はなかったが,漬込み14日以降に一般細菌ではBacillus属が優勢となり,35日以降,乳酸菌ではLeuconostoc msenteroides subsp. Cremorisが,酵母ではDebaryomyces hanseniiが優勢種となった。
著者
青井 良平 清水 茂雅 山崎 浩司 澤辺 智雄 川合 祐史
出版者
日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.10, pp.483-489, 2011-10-15

ECO636プローブは <I>E.coli</I> と <I>Shigella</I> 属に対して特異性を示した.汚染指標として <I>E. coli</I> を検出するためのFISHFC法におけるマイクロコロニー形成のための培養時間はSEL液体培地で7時間が最適であった.<BR> <I>E. coli</I> 新鮮培養菌を用いた FISHFC 法と平板塗抹法での生菌数には有意差は認められず(<I>p</I> >0.05),さらに,<I>E. coli</I> を接種した食品サンプル(8種類)からの検出でも,FISHFC 法と平板塗抹法での生菌数値に有意差は認められなかった.<BR> したがって,本研究で設計した ECO636 プローブを用いた FISHFC 法による <I>E. coli</I> の定量検出法は,培養時間7時間およびFISH操作2時間の合計9時間で,<I>E. coli</I> を平板塗抹法と同等の精度かつ迅速に検出·定量できる方法であり,汚染指標としての <I>E. coli</I> 定量検出に有用な方法であることが明らかとなった.
著者
山本 竜彦 西村(舘山) 朋子 山崎 浩司 川合 祐史 猪上 徳雄
出版者
日本食品微生物学会
雑誌
日本食品微生物学会雑誌 (ISSN:13408267)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.254-259, 2004-12-31 (Released:2010-07-12)
参考文献数
24
被引用文献数
2 3

水産食品中におけるL. monocytogenesの消長について調べた結果, ニシン切り込みでは5および12℃ 保存の場合, 日数の経過につれてL. monocytogenes数はそれぞれ1.6log cfu/ml, 2.8 log cfu/mlの減少が認められた.また25℃ 保存では貯蔵7日目においても約1log cfu/mlの減少しか見られなかった.一方, イカ塩辛では試験したすべての保存温度でL. monocytogenes数は保存開始直後から急速に減少し, 5℃ では6日目, 12および25℃ では4日目以降で検出できなくなった.サケいずしでもすべての温度で減少傾向を示したが, 保存温度の低い5℃ では28日目においても検出限界以下 (<2 log cfu/ml) とはならなかった.また新たに原料魚種の異なる3種類のいずしにおいてもL. monocytogenes消長を調べた結果, 乳酸菌の増加した2日目以降L. monocytogenes数は急速に減少することが観察され, この減少速度に構成している乳酸菌相が大きく関与することを明らかにした.
著者
清水 茂雅 堀口 明日香 山崎 浩司 川合 祐史
出版者
北海道大学大学院水産科学研究院 = Research Faculty of Fisheries Sciences, Hokkaido University
雑誌
北海道大学水産科学研究彙報 (ISSN:13461842)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.37-42, 2009-08-03

Recovery of heat-injured vegetative cells and spores of Clostridium perfringens was evaluated on selective media, CW Egg-yolk agar with kanamycin (ECW+A), Tryptose sulfite cycloserine agar(TSC+A)and modified Handford agar (mHFA). As a result of heat treatment at 54℃ for 15 min, viable counts of C. perfringens vegetative cells on a selective medium (ECW+A)was significantly less than those on non-selective media. This means C. perfringens vegetative cells should be in an injured state. Comparing of the three selective media, TSC+A was the best growth and recovery of heat-injured C. perfringens vegetative cells. Recovery on ECW+A was 1 log CFU/ml less than that on TSC+A. Supplementation of TSC+A with sodium pyruvate (0.1-0.5%) further enhanced recovery and detection of heat-injured C. perfringens vegetative cells, and its efficacy was the highest on TSC+A supplemented with 0.3% sodium pyruvate. Supplementation of TSC+A with sodium pyruvate did not affect recovery of heat-injured (95℃, 2 or 60 min) C. perfringens spores. These findings suggest that TSC+A is the most favorable medium for enumeration of C. perfringens and supplementation with sodium pyruvate improves recovery and detection of heat-injured C. perfringens.