- 著者
-
川村 教一
- 出版者
- Japan Association for Quaternary Research
- 雑誌
- 第四紀研究 (ISSN:04182642)
- 巻号頁・発行日
- vol.39, no.6, pp.489-504, 2000-12-01 (Released:2009-08-21)
- 参考文献数
- 42
- 被引用文献数
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高松平野は四国北東部に位置し,瀬戸内海に面した主要な平野の一つである.この平野の沖積層は,第四紀の瀬戸内海を論じる上で重要である.本報では,高松平野の沖積層の岩相,火山灰,貝化石,14C年代について詳しく述べる.さらに,これらのデータに基づいて,高松平野の沖積層の堆積環境および完新世の海面変化について論じる.高松平野の沖積層は,香東川累層と高松累層に区分される.香東川累層は,最終氷期以前に堆積した番町礫層と,最終氷期に堆積した福岡町泥層に細分される.高松累層は,海成層の浜ノ町砂礫層,西内町泥層,西内町砂層および,おもに洪水堆積物の西内町礫層に細分される.相対的海水準変動を,14C年代と貝化石群集を解析して求めた古水深をもとに推定した.この相対的海水準変動曲線によると,約5,800yrs BPの海面の高さは,高松では現在よりも高かった可能性がある.香東川の三角州は浜ノ町砂礫層の上に形成されはじめ,高松市西内町~浜ノ町において,三角州の底置層が約4,000yrs BP前後に形成された.前置層は4,000~3,600yrs BPの間に堆積し,頂置層は3,600yrs BP以降にこれらを覆った.