著者
辻 澄子 中村 優美子 外海 泰秀 柴田 正 内堀 伸健 川田 誠 小林 建夫 鈴木 宏 室井 順子 鈴木 由記子 兼田 登 鈴木 英樹 宮本 文夫 伊藤 誉志男
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.111-123, 1990
被引用文献数
2 6

農産物39種類195試料,水産物23種類115試料及び畜産物8種類40試料の生鮮食品合計70種類350試料並びに農産加工品58種類331試料,水産加工品38種類323試料,畜産加工品19種類147試料,菓子類18種類90試料,嗜好飲料31種類250試料,油脂・砂糖・調味料など15種類75試料及び調理加工食品11種類55試料の加工食品合計180種類1271試料中のH<SUB>2</SUB>O<SUB>2</SUB>を酸素電極法により測定した. <BR>生鮮食品70種類中,H<SUB>2</SUB>O<SUB>2</SUB>を含有していない食品は56種類であり,平均値として1mg/kg未満のものが9種類であり,1mg/kg以上のものはピーナッッ(乾)(3.3mg/kg),カレイ(1.7mg/kg),ホタテ貝(4.0mg/kg),ホタルイカ(3.4mg/kg),及びカニ(1.2mg/kg)の5種類であった. <BR>一方,加工食品188種類中,H<SUB>2</SUB>O<SUB>2</SUB>を含有していない食品は47種類であり,平均値として1mg/kg未満が82種類,1~5mg/kgの範囲の食品が41種類であり,5mg/kg(以下単位省略)以上の食品としては甘らっきょう(5.7),干ししいたけ(7.4),いかなご佃煮(9.1),焼のり(8.9),ひとえぐさ佃煮(7.8),乾燥ひじき(8,5),玉露(葉)(6.7),煎茶(葉)(6.2),玄米茶(葉)(6.4),番茶(葉)(6.4),ほうじ茶(葉)(30.4),紅茶(葉)(18.0),ウーロン茶(葉)(35.3),麦茶(45.0),コーヒーいり豆(140.3),インスタントコーヒー粉末(368.5),ココア(62.8),こいくちしょうゆ(7.6)の18種類であった.茶類及びコーヒー類は飲用状態ではいずれも5mg/kg以下となった. <BR>調理による食品中のH2O2含有量に対する影響について,加熱調理では,H<SUB>2</SUB>O<SUB>2</SUB>量の増加傾向が,水もどし調理では,干ししいたけ以外はH2O2量の減少傾向が示された. <BR>従って,H<SUB>2</SUB>O<SUB>2</SUB>含有量は調理方法により大きく変化することが判明した. <BR>更に,干ししいたけのように,水もどしすることにより,H<SUB>2</SUB>O<SUB>2</SUB>量が増加傾向を示し,ばらっきも大きいことから,しいたけ成分からのH<SUB>2</SUB>O<SUB>2</SUB>生成の可能性が示唆された.