著者
辻 澄子 藤原 香里 柿内 雅 柴田 正 内堀(長谷) 幸子 古山 みゆき 兼田 登 尾田 美子 藤原 一也 鈴木 宏 伊藤 誉志男
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.303-313_1, 1993-08-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
25
被引用文献数
1 1 3

生鮮及び加工食品合計213種類 (864検体) について, 呈色陽性物質を除去して亜硫酸量 (SO2として) を算出する改良ランキン-比色法を用いて, 亜硫酸の天然由来含有量を測定した. 生鮮食品中の亜硫酸の天然由来含有量が多いものの大部分は含硫化合物を含有する食品であり, 10mg/kg以上含んでいるものはワケギ, 小玉ネギ, 白ネギ, 青ネギ, 玉ネギであった. それ以外のものは, いずれも5.0mg/kg以下であった. 加工食品中の亜硫酸の天然由来含有量は生鮮食品に比べて低く, すべて10mg/kg以下であった.
著者
辻 澄子 柴田 正 小原 一雄 岡田 直子 伊藤 誉志男
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.32, no.6, pp.504-512_1, 1991-12-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
31
被引用文献数
11 19

コーヒー中の過酸化水素 (H2O2) をTLCで確認し, 酸素電極法及び改良4-アミノアンチピリン法を用いて定量することにより, その生成要因を検討した. コーヒー浸出液からはH2O2を検出したが, 生コーヒー豆からはH2O2を検出しなかった. ドリップ式ろ過器で浸出あるいは溶解したものはコーヒーメーカーで浸出あるいは溶解したものに比較してH2O2含量は高かった. また, コーヒー豆のばい煎度が深くなるに伴いH2O2の生成量が増加した. 焙り豆中のH2O2の生成は光及び温度の影響を受けた. コーヒー豆の成分であるショ糖, クロロゲン酸, グリシン, カフェイン, コーヒー酸及びキナ酸からH2O2は検出されなかった. また, これらの成分を混合し, コーヒー豆と同様に, ばい煎して浸出した液からH2O2が検出された. 特にばい煎したコーヒー酸からのH2O2の生成率が他の成分よりも高かった.
著者
辻 澄子 徳永 裕司
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.201-210, 2006-09-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
17

青色1号 (B1; ブリリアントブルーFCF) はアルカリ溶液中で加熱することにより分解することが知られているが, 室温ではアルカリ性でB1の色調変化がないといわれている。そこで, B1のアルカリ溶液中の加熱分解挙動をLC/MSおよびHPLCを用いて検討した。その結果, 市販B1中に存在する副成色素エチルアミン体 (B1sub-EA) およびフェノール体 (B1sub-HP) の生成が確認された。B1sub-EAの生成は非常に少なく, B1の殆どは赤紫色を示すB1sub-HPに分解していった。B1sub-HPはアルカリ溶液中互変異性体であるオキソシクロヘキサジエニリデン体 (B1sub-OCD) へ変化することが示唆された。同様に, アルカリ溶液中B1の異性化が起こり, 極大波長が同じ4級アンモニウム水酸化物へ変化することが示唆された。また, 温度の影響も検討した。その結果, 低い温度ではB1の異性化が律則段階となり, 分解は遅く, 室温での色調変化は短時間では見られないことが示唆される。
著者
中村 優美子 外海 泰秀 辻 澄子 伊藤 誉志男
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.251-260_1, 1987

ラットを用いて, クエン酸及びそのナトリウム塩, カルシウム塩, カリウム塩の代謝を調べた. 伊藤らによって算出されたクエン酸の日本人の一日摂取量37.78mg/kgを基準として投与量を設定した. クエン酸及びその塩類の<sup>14</sup>Cでラベルされたものあるいはされていないものをラットに経口投与して, 尿中へのクエン酸排泄量, 呼気中の<sup>14</sup>C放射活性及び血中の<sup>14</sup>C放射活性の経時変化を調べた. その結果, 投与されたクエン酸及びその塩類は, いずれも体内へ吸収された後ほとんどが代謝されて体内へは蓄積せずに, 主として呼気中にCO<sub>2</sub>として排泄されることがわかった. また, 塩の違いによる差は顕著ではなかった.
著者
辻 澄子 柴田 正 江崎 真澄 伊藤 勝彦 佐瀬 勝利 伊藤 誉志男
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.161-167_1, 1993
被引用文献数
4

野菜, 牛肉及びそれらの加工食品中の硝酸根 (NO<sub>3</sub><sup>-</sup>) 及び亜硝酸根 (NO<sub>2</sub><sup>-</sup>) を紫外部吸収検出器付きサップレッサー型イオンクロマトグラフィー (IC) 並びにジアゾ化反応に基づく比色法により定量するための試料溶液の同時調製法を検討した. NO<sub>3</sub><sup>-</sup>及びNO<sub>2</sub><sup>-</sup>は80°のホウ酸ナトリウム溶液で同時抽出し, 冷却した後, モルカットIIで限外ろ過した. NO<sub>3</sub><sup>-</sup>はIC, NO<sub>2</sub><sup>-</sup>は比色法により測定した. 3%以上の塩化ナトリウムを含む食品中のNO<sub>3</sub><sup>-</sup>はオンガードAgカートリッジにて処理した. 種々の食品にNO<sub>3</sub><sup>-</sup>を5~1,000μg/g及びNO<sub>2</sub><sup>-</sup>を5~50μg/g添加したときの回収率は84.2%~102.0%であった.
著者
辻 澄子 小川 俊次郎 柴田 正 伊藤 誉志男
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.14-18_1, 1989-02-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
6
被引用文献数
1 1

食品中のホウ酸を直接, 2-エチル-1,3-ヘキサンジオール (EHD) でキレート抽出した後, 非水条件下でクルクミン発色によるホウ酸の簡易迅速定量法を確立した. 試料中のホウ酸は酸性下で5%EHD含有のヘキサン-酢酸ブチル (4:1) 溶液で抽出した. 抽出液の一定容量にクルクミン氷酢酸溶液及び濃硫酸を加えて発色させた後, 過剰のプロトン化クルクミンを水で分解し, アセトンで希釈して比色定量を行った. 殻付き冷凍えび, 塩蔵くらげ, 寒天, 牛乳, 豆乳及びワインにホウ酸を10,100及び500μg/g添加したときの回収率はいずれも97.0%以上であった. 検出限界は0.3μg/gであった.
著者
辻 澄子 松村 郁子 中村 優美子 外海 泰秀
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.357-363, 2000-12-25
参考文献数
17
被引用文献数
2 7

食用黄色5号 (Y-5) 中の副成色素, 未反応原料及び反応中間体などの有機性不純物の分離・定量に当たりHPLC条件を検討した. その結果, 0.02mol/L酢酸アンモニウム溶液とアセトニトリル-水混液 (7 : 3) との濃度勾配系を用いるHPLC条件を変化させることにより, 4,4'-(ジアゾアミノ) ジベンゼンスルホン酸=二ナトリウム塩とスルファニル酸アゾG塩色素との分離定量を確立した. 本HPLC条件を用いて平成10年度Y-5製品検査合格品39検体中の有機性不純物の実態調査を行った. その結果, 検体中の副成色素の総量は規制値の五分の一未満であり, 未反応原料及び反応中間体の総量は規制値の半分以下であった.
著者
辻 澄子 中村 優美子 外海 泰秀 柴田 正 内堀 伸健 川田 誠 小林 建夫 鈴木 宏 室井 順子 鈴木 由記子 兼田 登 鈴木 英樹 宮本 文夫 伊藤 誉志男
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.111-123, 1990
被引用文献数
2 6

農産物39種類195試料,水産物23種類115試料及び畜産物8種類40試料の生鮮食品合計70種類350試料並びに農産加工品58種類331試料,水産加工品38種類323試料,畜産加工品19種類147試料,菓子類18種類90試料,嗜好飲料31種類250試料,油脂・砂糖・調味料など15種類75試料及び調理加工食品11種類55試料の加工食品合計180種類1271試料中のH<SUB>2</SUB>O<SUB>2</SUB>を酸素電極法により測定した. <BR>生鮮食品70種類中,H<SUB>2</SUB>O<SUB>2</SUB>を含有していない食品は56種類であり,平均値として1mg/kg未満のものが9種類であり,1mg/kg以上のものはピーナッッ(乾)(3.3mg/kg),カレイ(1.7mg/kg),ホタテ貝(4.0mg/kg),ホタルイカ(3.4mg/kg),及びカニ(1.2mg/kg)の5種類であった. <BR>一方,加工食品188種類中,H<SUB>2</SUB>O<SUB>2</SUB>を含有していない食品は47種類であり,平均値として1mg/kg未満が82種類,1~5mg/kgの範囲の食品が41種類であり,5mg/kg(以下単位省略)以上の食品としては甘らっきょう(5.7),干ししいたけ(7.4),いかなご佃煮(9.1),焼のり(8.9),ひとえぐさ佃煮(7.8),乾燥ひじき(8,5),玉露(葉)(6.7),煎茶(葉)(6.2),玄米茶(葉)(6.4),番茶(葉)(6.4),ほうじ茶(葉)(30.4),紅茶(葉)(18.0),ウーロン茶(葉)(35.3),麦茶(45.0),コーヒーいり豆(140.3),インスタントコーヒー粉末(368.5),ココア(62.8),こいくちしょうゆ(7.6)の18種類であった.茶類及びコーヒー類は飲用状態ではいずれも5mg/kg以下となった. <BR>調理による食品中のH2O2含有量に対する影響について,加熱調理では,H<SUB>2</SUB>O<SUB>2</SUB>量の増加傾向が,水もどし調理では,干ししいたけ以外はH2O2量の減少傾向が示された. <BR>従って,H<SUB>2</SUB>O<SUB>2</SUB>含有量は調理方法により大きく変化することが判明した. <BR>更に,干ししいたけのように,水もどしすることにより,H<SUB>2</SUB>O<SUB>2</SUB>量が増加傾向を示し,ばらっきも大きいことから,しいたけ成分からのH<SUB>2</SUB>O<SUB>2</SUB>生成の可能性が示唆された.