著者
齋藤 ひろみ 市瀬 智紀 河野 俊之 徳井 厚子 浜田 麻里 上田 崇仁
出版者
東京学芸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

教員養成課程に在籍する学生及び現職教員へのアンケート調査、外国人児童生徒教育歴の長い教員へのインタビュー、プロジェクトメンバーの所属大学における教育実践を通して、学校の多文化化に対応するための教員の日本語教育等に関する資質・能力として、「教育実践力」「教師として成長する力」「社会的実践力」という3層からなる資質・能力モデルを提案し、そのモデルに基づき、教育課程の試案を策定した。
著者
市瀬 智紀 田所 希衣子
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.155, pp.20-34, 2013 (Released:2017-02-17)
参考文献数
17

本稿は,学会誌『日本語教育』の特集「エンパワーメントとしての日本語支援」の主旨を踏まえ,東北地方の国際結婚による移住者を中心とする外国出身者に焦点をあてて,3.11東日本大震災から2年について,エンパワーメントの具体的なアクションとしての日本語支援と母語支援の側面から記述した。今回の震災の被害は広範囲にわたったため,都市部に居住する留学生を中心とする短期滞在型の外国人と,農村部や沿岸部に居住する国際結婚配偶者とでは,情報の入手方法や震災後の行動が異なった。また,津波浸水被害や原子力災害を含む複合的な大規模災害であったため,専門的な用語を含んだ情報を提供することや,生活上の基本書類の再発行や「罹災証明書」申請など,生活再建に密着した難解な日本語を支援することに難点があった。地域の日本語教室のネットワークは,災害時のセイフティーネットとしての役割を果たした。母語で被災体験を振り返る機会を提供することは,外国出身者の心のケアにつながった。数か月を経過して,外国出身者の間で,子どもへ母語や母文化を伝えていきたいという意識が芽生え,危機に直面して外国出身者による自発的なネットワークづくりが始まった。今回の震災において,外国出身者は情報弱者や災害弱者であった反面,ボランティア活動に参加し,災害弱者の強力な支援者となった。支援者としての外国出身者は,それが外国出身者であることは意識されず地域の内部にごく自然に受け入れられたが,このことは「エンパワーメント理論」における「既存の社会関係の変容」があったことを示している。
著者
濱田 麻里 市瀬 智紀 上田 崇仁 金田 智子 河野 俊之 齋藤 ひろみ 徳井 厚子 川口 直巳 橋本 ゆかり
出版者
京都教育大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究は,多言語・多文化化する学校に対応できる教員(以下,多文化教員と呼ぶ)を養成する学部教員と現職教員を対象とする教師教育システムを開発するためのアクション・リサーチである。研究では,海外との比較調査,受講者へのアンケート調査等による実践したプログラムの分析を行った。最終成果として,開発されたプログラムの一部を『実践例集』として公開した。