著者
北川 隆吉 北島 滋 岩城 完之 帯刀 治 板倉 達文 柴田 弘捷
出版者
専修大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1996

本研究は、グロバリゼーション、イノベーション、インフォメーション・システム、コミュニティ・ストラクチャーの4方面から、我が国の社会変動を調査検討し、事態の展開の根本に存在する社会的ダイナミズムをあきらかにすることを目的とした。調査は、以下の二つの対象地域-東京圏と東海圏-を設定し進められた。〈東京圏〉(1) 東京都臨海副都心と周辺区(2) 千葉県・茨城県南「開発」地区(3) 埼玉県(県央)人口急増地域(4) 八王子を中心とする広域開発地域(5) 神奈川県央・新型工業都市の形成地域〈東海圏〉(1) 名古屋市と中部新国際空港地区(2) 豊橋市を中心とする「開発地区」(3) 岐阜県中濃人口急増地区(4) 浜松市を中心とする広域開発地域(5) 大垣市の新型工業都市への転換以上10地域を選んで、それぞれのうち二つを((1)-(1),(2)-(2)といった形)一対の対象地域として選定し、第1年度は東京圏、第2年度は東海圏を、そして最終年次の今年度は両者の追跡、補充調査をおこなった。その結果、本研究による知見は以下のとおりである。(1) 当初意図していた〈東京圏〉と〈東海圏〉の比較は、不可能との結論に達し、あらためて〈東京一極集中〉のもつ意味の重要さがあきらかにされた。(2) 比較が不可能なことは人口量、都市規模の違いだけでなく、産業・工業構造の根本的差異への着目を必要とさせ、いずれの地域にあって変動の直中にあり、本研究では、まさに変動過程の実態があきらかにされている。(3) こうしたことから、21世紀-おそらく2010年まで-に新しい変動が生まれつつあり、その中で都市・都市間連関、地域社会そのものの存立が問われようとしている。この点で、東京圏との対比でいえば、「東海」の分解・分極化の方向を見せ始めている。(4) なお、本研究では、上述の変動と、地域内における諸集団や個々人へのインパクト、また政治、行政、経済の諸機構・内部構造・リーダーシップ、イデオロギーといったものの変動との結びつきについては必ずしも十分でない。この点は今後の研究課題としたい。
著者
土屋 智子 谷口 武俊 小杉 素子 小野寺 節雄 竹村 和久 帯刀 治 中村 博文 米澤 理加 盛岡 通
出版者
社会技術研究会
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.16-25, 2009 (Released:2010-05-14)
参考文献数
20
被引用文献数
3 2

温暖化対策としての原子力の重要性が高まる中で, 信頼回復の切り札のひとつと考えられているのがリスクコミュニケーションの実施であるが, 原子力分野でこれを意図した活動が幅広く行なわれているとはいえない. 本稿では, 東海村を実験地として行われたリスクコミュニケーション活動の設計意図と実施内容を示すとともに, リスクコミュニケーションに対する住民と原子力事業者の評価を分析し, 原子力技術利用に伴うリスクに対する住民の視点を明らかにする. また, これらの住民の視点がどのように原子力施設の安全に関与するかを示し, リスクコミュニケーションにおける課題を論じる.
著者
斎藤 義則 帯刀 治 齋藤 典生 佐川 泰弘 中田 潤 原口 弥生 小原 規宏
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

茨城県の中山間地域大子町を対象として、農林業の生産力ではなくライフスタイルの観点から研究した。その結果、中山間地域では「水・エネルギー・食料」の一部を自給し、自然環境と共生するライフスタイルが営まれていることがわかった。このことは、現代の重要な課題の一つである環境共生を先取りした先進的なライフスタイルであると考えられる。また、中山間地域における農林業政策やEUの条件不利地域の農家への直接補助、さらには大子町の黒沢地区における集落構造などを分析した。
著者
雨宮 昭一 井上 拓也 斎藤 義則 帯刀 治 熊沢 紀之 河野 直践
出版者
茨城大学
雑誌
地域連携推進研究費
巻号頁・発行日
2000

この研究の目的は、東海村臨界事故を地域社会における原子力事故危機管理の問題として総合研究するとともに、地域社会の学校教育や市民教育で活用されるべき原子力事故防災教材を開発することである。そこで参加メンバー各自が意思決定・影響評価・損害軽減・被害救済の4グループに分かれるとともに、人文社会系のメンバーはおもに総合研究を、また自然科学系のメンバーはおもに教材作成を担当した。またこの研究は、東海村および常陽地域研究センターと連携して実施された。人文社会系の研究実績としては、(1)茨城大学地域総合研究所を地域住民にとっての原子力事故情報データベースとするために、各種機関がまとめた臨界事故関連資料、海外諸国の地方政府が作成した原子力防災マニュアルなど、原子力事故や原子力問題に関する各種資料を収集した。また(2)東海村を初めとする11市町村の住民を対象にアンケート調査を実施し、原子力事故防災に関する住民の意識を分析した。そして(3)メンバー各自が、基本的には別掲した論題で、個別研究のための資料の収集・集計・分析を実施し、報告を作成した。自然科学系の研究実績としては、(1)学生や一般市民への防災意識の浸透を目的として、臨界事故の要因とその影響に関する考察、JCO事故以上の事故が起こった場合の化学的処理の方法、屋内退避や避難が必要な事故が起こった場合の対応などにつき、全4巻(各巻30分〜40分程度)の防災ビデオを作成した。また(2)一般市民や学生を対象に、「原子力施設と地域社会」と題する公開講座を実施した。また(3)モスクワ大学化学部との情報交換・研究交流を実施し、放射性物質拡散防止のための化学処理方法をはじめてわが国の土壌で試験検討した。そしてメンバー各自が、基本的には別掲のテーマ・分担に従って、個別研究のための資料の収集・集計・分析を実施し、報告を作成した。