著者
平井 慎一 野口 英昭
出版者
The Robotics Society of Japan
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.15, no.8, pp.1172-1179, 1997-11-15
被引用文献数
6 3

A human-demonstration based approach to the object motion design and the recognition of process state transitions in the insertion of a deformable tube is presented. First, human demonstration during the insertion of a deformable hose into a rigid plug is measured by use of a position sensor and a force sensor. Secondly, the measurements are analyzed with regard to the process states during the insertion. Human motion and recognition laws to detect process state transitions from force sensation are then extracted through the analysis of human demonstration. Finally, human motion during the insertion is transplanted to a mechanical manipulator to examine whether the human recognition laws are useful or not for the insertion performed by a mechanical manipulator.
著者
山脇 真里 王 忠奎 平井 慎一 坂本 晶子
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.Annual59, no.Proc, pp.799-801, 2021 (Released:2021-10-17)

乳房部は軟組織であり、年齢とともに変形・下垂していく。その原因にはホルモンバランスの変化による乳腺比率の低下のような内的影響だけでなく、日常生活の中で受ける重力・揺れといった外的影響の時間的積み重ねも大きな原因の一つであると言われている。ブラジャーは乳房の形を整え美しく見せるとともに、重力等の外的影響による負荷を軽減させるという重要な役割を担っているが、この役割を果たす最適なブラジャー設計を提案するためにも、乳房がどのように重力負荷を受けているかを知ることは重要である。そこで本研究の目的は、重力が静止時の乳房に与える影響を、有限要素解析により検討することとする。乳房モデルの構築には、重力を受ける前のニュートラルな位置・形状を基にするため、航空機で放物線飛行を行うことにより微小重力状態を作り出し、その時の形状を3D計測したものを用いた。材料物性は地上での座位形状を再現できるよう調整し、モデルの検証には立位体前屈、仰臥位へのシミュレーションを行った。これにより日常かかりうる乳房への重力負荷の可視化を行っている。
著者
若松 栄史 妻屋 彰 荒井 栄司 平井 慎一
出版者
The Robotics Society of Japan
雑誌
日本ロボット学会誌 = Journal of Robotics Society of Japan (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.523-532, 2006-05-15
被引用文献数
3 3

A planning method for knotting and tightening of deformable linear objects is proposed. Firstly, we briefly explain crossing state description and basic operations corresponding to crossing state transitions. Possible sequences of crossing state transitions, that is, possible manipulation processes can be generated once the initial and the objective states are given. Secondly, a method to determine grasping points and their moving direction is proposed in order to realize derived manipulation processes. Then, it is theoretically found that any knotting manipulation of a linear object placed on a table can be realized by an one-armed robot with three translational DOF and one rotational DOF. Thirdly, a planning method for tying tightly is established to complete a knot because the knot fulfills its fixing function after it is tightened. Finally, it is demonstrated that an one-armed robot system can plan and execute tying and tightening a slipknot.
著者
有本 卓 平井 慎一 小澤 隆太
出版者
立命館大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004

冗長自由度系に関するベルンシュタイン問題に挑戦し、手先拘束が無い多関節到達運動に関しては、作業空間における仮想スプリング・ダンパー仮説(Virtual Spring-Damper Hypothesis)に基づく方法が有効に機能することを、理論的かつロボットの腕を用いた実験により、実証した。この仮説は、運動生理学の分野において唱えられた平衡点仮説、仮想軌道仮説、および逆ダイナミクス生成仮説と異なり、逆動力学の不良設定性を解消することなく、従って人為的な最適化のためのコスト関数を導入する必要のない全く自然な運動生成法を導く。また、冗長関節系による書字作業のように、重力下で手先拘束がある場合、仮想スプリング・ダンパー仮説が有効に機能し得るか、検証した。この場合、二つの重力補償法を考案し、良好なシミュレーション結果を得たが、決定的な方法と断定するまでには至っていない。また、理論的な検証についても、現時点では結論し得ていない。本年度は、冗長関節系について、理想運動が繰返し学習によって獲得できることを理論的、かつ、実験的に示すことに成功した。この結果は、幼児の到達運動に関する学習の様式と対比させ得る。幼児が初めて、目の前の物体を取ろうとして手を伸ばすとき、腕や手の関節の動きを見ずに、手先のみを見ていることが観察されている。冗長関節系の場合、手先空間の次元は関節空間の次元より低くなる。この低次元作業空間で与えた理想軌道と学習更新則に基づいて、繰返し学習が有効に機能し得ることを見出した。しかも、低次元の作業空間のみに理想軌道を与えたとき、高次元の冗長な関節運動と理想の制御入力信号が一意的に定まることを理論的に示すことに成功した。この結果は、冗長関節系にも繰返し学習の理論体系があり得ること、また、これらの力学的本質が運動能力の獲得に関する発達心理学や脳科学の知見と対比し得ることを示唆する。
著者
田中 弘美 平井 慎一 陳 延偉 田中 覚 島田 伸敬 森川 茂廣 来見 良誠 山口 哲 小森 優
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

触覚情報が重要な遠隔協働タスクとして医療分野における低侵襲手術訓練を想定し,触覚フィードバックによる遠隔実地訓練を可能にする遠隔協働型超臨場感仮想環境を実現した.そのために,(1) マイクロセンサを用いた内部センシングに基づく,生体軟組織等の非一様変形パラメータ群推定法,(2) オンラインリメッシュ型インタラクティブ柔軟物シミュレーションの実装と高速化法,(3) 腫瘍や血管などの微細構造の変形と連動させた大規模ボリュームデータの可視化法を確立し,(4)遠隔3地点間で低侵襲胆嚢摘出手術と穿刺手術訓練が可能となるボリュームベース遠隔触覚協働環境システムのプロトタイプの実現し,検証実験により有効性を実証した.
著者
登尾 啓史 宮崎 文夫 平井 慎一 北嶋 彰 吉田 晴行 大西 克彦
出版者
大阪電気通信大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

近年、医療事故などの理由で、医学や歯学の初学者が手術オペレーションを訓練する機会が著しく減少している。この問題を解決するため、我々はコンピュータが創り出す複合現実感の世界で、医学や歯学の手術シミュレーションが実施できるよう、筋肉や骨のモデルを構築し、その視覚や触覚のリアリティを評価した。この評価には、力センサや高速度カメラを用いた計測による評価、および歯科医師による体感評価を利用した。
著者
田中 弘美 平井 慎一 徐 剛
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

研究期間内において、機能(記憶容量)を拡張した現有のPCクラスタ上にAdaptive Gridアルゴリズムを実装し,アルゴリズムの並列性を評価した.今年度購入のVolumeProを用いて,高次微分特徴に基づくアダプティブグリッドのモデリングおよびボリュームレンダリングの性能を評価した。また,柔軟物体の内部計測のための埋め込み用マイクロフォースセンサを試作した.さらに、代表者及び分担者らにより以下の研究項目について検討を進めた。・Adaptive Meshに基づく幾何&力学ベース適応的モデリング:レオロジー特性をもつ柔軟物体の変形/切断のリアリティベース・シミュレーションモデルを構築することを目的とし,レオロジー物体の3次元変形特性を表すために,体積効果を用いたパーティクルベースの幾何及び力学特性に適応的な格子モデルの研究を進めた.今年度はまず,現在の幾何形状に適応的な2次元Adaptive Meshを各格子要素にかかる外力と内力に適応的なDeformable Adatptive Meshに拡張し,変形及び切断に適応的なモデリング法を検討し,さらに,手術の事前プランニングを可能にする手術シミュレーションモデルの生成法を検討した.・Adaptive Gridに基づく高速ボリュームレンダリング法の開発:対象ボリューム空間を構成する四面体集合の隣接構造をAdaptive Grid表現の二分木構造からDual Graphとして自動抽出する方法と,Dual Graphを用いて各レイ(ray)に属する四面体集合を高速に選出するレイキャスティング法を提案し,ボリュームレンダリングの高速化を図った.・ボリュームデータを用いるAdaptive Gridに基づく並列領域抽出:本年度は,肝臓の実CTボリュームデータを入力として、1)ボリュームデータに含まれるすべての領域集合と,2)その位相関係記述,を同時に並列に抽出することを検討した.・独立形状を用いたnon-rigid位置あわせ法の開発:医用画像の位置あわせには,術前撮影された画像を,何らかの変換で術中の画像に精度よく重ね合わせて表示することを目標とする.Adaptive Grid生成時に抽出された微分特徴を用いて,平行や回転を計算する大域変換と,変形を計算する局所変換の二つからなる位置あわせを検討した.・柔軟物体埋め込み用マイクロフォースセンサを用いる内部計測:本年度は柔軟指の力学モデルを確立し,2mm角サイズの6軸のマイクロフォースセンサを内蔵した柔軟指の研究を進め,柔軟指で使われるマイクロフォースセンサを用いて,物体内部の変形挙動を計測する方法を検討した.さらに,二液混合型のシリコンゴムを用いて様々な粘弾性を有するテストピースを作成し,その中の様々な位置にセンサを埋め込み、加重による内部変化をMR画像により観測し分析する方法を検討した.