著者
平子 達也
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.1-15, 2013-01-01

本稿は,観智院本『類聚名義抄』中にある平声軽点の粗雑な写しと見られるものを利用し,従来同じ下降調として再建されてきたものの中に現れ方の異なる二つのものがあったことを示すものである。まず,観智院本『類聚名義抄』の中で,従来下降調として再建されるものに差されている声点のうち平声点位置に見られるものを下降調を示す平声軽点の「粗雑な写し」であると認められることを示した。そして,下降調として再建される形容詞終止形接辞「シ」と二音節名詞5類の第二音節に差される声点の在り方が異なることを示し,同じ下降調でも現れ方の異なる二つのものがあることを明らかにした。最後に本稿での議論を踏まえ,従来から議論のある[HF]型の存否の問題について論じた。
著者
平子 達也
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.18-35, 2015-01

金田一(1954[1975])は,石川県能登島諸方言のアクセントが京阪式アクセントから東京式アクセントへの変化の中間段階を反映しているとした。確かに,能登島別所方言における動詞活用形のアクセント交替現象などから,この方言の先史において金田一の想定する「語頭隆起」が起こったと考えられる。また,別所方言と近隣の向田方言との比較からは,向田方言において「語頭隆起」の後,隆起した語頭拍がアクセント核を担うようになる変化と,もとあったアクセント核の有無および位置を保持しつつ,語声調の対立を失うという変化が起こりつつあるものと考えられる。特に後者の変化は,現代東京方言と京都方言における複合語アクセントの対応関係とも符合するものである。「語頭隆起」の後の変化についても能登島諸方言のアクセントは東京式と京阪式とを結ぶ変化モデルとなるのである。
著者
平子 達也
出版者
日本音声学会
雑誌
音声研究 (ISSN:13428675)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.16-29, 2012-04-30

This paper is a critical review of Elisabeth M. de Boer's The Historical Development of Japanese Tone (Wiesbaden: Otto Harrassowitz Verlag, 2010). Traditionally, Kindaichi Haruhiko's reconstruction of the accentual system of Middle Kyoto Japanese has been widely accepted. About thirty years ago, however, an alternative theory was proposed by Samuel Robert Ramsey, according to which the tone values that Kindaichi had reconstructed as 'high' and 'low' are exactly reversed. De Boer, in her book, re-evaluates and builds on Ramsey's theory, while (almost) all other scholars have ignored it. In this paper, I introduce and review her book critically, and discuss some issues in the historical study of Japanese accent.
著者
平子 達也
出版者
Kyoto University (京都大学)
巻号頁・発行日
2015

元資料の権利情報 : 許諾条件により本文は2016/01/01に公開
著者
平子 達也
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.1-15, 2013-01-01 (Released:2017-07-28)

本稿は,観智院本『類聚名義抄』中にある平声軽点の粗雑な写しと見られるものを利用し,従来同じ下降調として再建されてきたものの中に現れ方の異なる二つのものがあったことを示すものである。まず,観智院本『類聚名義抄』の中で,従来下降調として再建されるものに差されている声点のうち平声点位置に見られるものを下降調を示す平声軽点の「粗雑な写し」であると認められることを示した。そして,下降調として再建される形容詞終止形接辞「シ」と二音節名詞5類の第二音節に差される声点の在り方が異なることを示し,同じ下降調でも現れ方の異なる二つのものがあることを明らかにした。最後に本稿での議論を踏まえ,従来から議論のある[HF]型の存否の問題について論じた。
著者
平子 達也
出版者
日本音声学会
雑誌
音声研究 (ISSN:13428675)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.16-29, 2012-04-30 (Released:2017-08-31)

This paper is a critical review of Elisabeth M. de Boer's The Historical Development of Japanese Tone (Wiesbaden: Otto Harrassowitz Verlag, 2010). Traditionally, Kindaichi Haruhiko's reconstruction of the accentual system of Middle Kyoto Japanese has been widely accepted. About thirty years ago, however, an alternative theory was proposed by Samuel Robert Ramsey, according to which the tone values that Kindaichi had reconstructed as 'high' and 'low' are exactly reversed. De Boer, in her book, re-evaluates and builds on Ramsey's theory, while (almost) all other scholars have ignored it. In this paper, I introduce and review her book critically, and discuss some issues in the historical study of Japanese accent.