著者
市野 隆雄 栗谷 さと子 楠目 晴花 平尾 章 長野 祐介
出版者
国際環境研究協会
雑誌
地球環境 (ISSN:1342226X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.71-78, 2014

温暖化によって,高山植物は将来的に消失の危機にさらされるだろうといわれている。一方,高山植物だけでなく,その下方に位置する山岳植物も「高地型」と「低地型」に分化し,それぞれが独自の遺伝的固有性をもつ「保全すべき単位」である可能性がある。そこで筆者らは,高地型と低地型の間で遺伝的分化があるか,また高地型と低地型の生殖隔離に関与する花形質が生態的に分化しているかどうかについて,3種の草本植物を対象に検討した。本稿では,これらの個別研究の成果をまとめて紹介する。サラシナショウマは,遺伝的にも生態的にも標高間で3 つの送粉型に分化していることが明らかになった。ヤマホタルブクロおよびウツボグサでは,標高が上がるにつれて花サイズがおおむね小型化していたが,この小型化は標高そのものに影響されたものではなく,分布する送粉マルハナバチ類のサイズに適応した生態的分化の結果であることがわかった。これらの結果から,温暖化にあたって保全すべきなのは,これまでひとくくりにされていた山岳植物「種」とは限らず,より細かく分化した「生態型」である可能性が示唆された。
著者
森田 祐介 古屋 友和 田村 総 平尾 章成
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.944-949, 2020 (Released:2020-09-30)
参考文献数
8

人の認知に関わる複数のリソース(視角/聴覚/言語/空間、等)を分散させることで負荷を低減させるHMIの実現を目指す。本研究では想定タスクについて従来の手動操作及び音声操作と、視線・音声を用いたマルチモーダル操作のワークロード評価を比較し、負荷低減への効果を明らかにする。
著者
松下 詩穂 五十嵐 智貴 杉山 央 平尾 章成 美記 陽之介
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.451-456, 2017

近年,パドルシフトの採用が増えてきており,幅広いユーザーにとって使い易いパドルシフト開発が必要である.本論文において,パドルシフトの機能展開を行い人間工学的要因を特定した.操作性要因としてレイアウト要件を,操作感要因としてFS特性要件を設定し,要件を満たす試作品の操作性と操作感が良いことを確認した.
著者
江田 慧子 田中 健太 平尾 章 中村 寛志
出版者
信州大学農学部附属アルプス圏フィールド科学教育研究センター
雑誌
信州大学農学部AFC報告 (ISSN:13487892)
巻号頁・発行日
no.12, pp.47-54, 2014-03

絶滅危惧種であるクモマツマキチョウを保全し絶滅から守るためには,定量的で効率的な飼育体系を確立する必要がある。本報告は2012年に著者らが行った本種の飼育方法と得られた飼育に関する定量的データを記載したものである。卵の採卵にはメス成虫3個体から81卵を採卵することができた。卵は75.9%が孵化した。幼虫の飼育は直方体プラスチックシャーレで行った。餌としてミヤマハタザオを与えて,個別飼育を行った。温度は20℃,日長は12L:12Dと一定にした。幼虫期の生存率は68.2%であった。1~2齢幼虫では死亡する個体が見られたが,3齢幼虫以降は1個体も死亡しなかった。幼虫期の平均日数は18.20日であった。幼虫の体長の平均は緩やかに増加し,5齢幼虫期の25.8㎜が最大であった。蛹体重は蛹化7日目で125.7㎎で時間がたつにつれて軽くなった。蛹化28日後から3つの処理期間(75日,105日,135日)で低温処理(4℃)を行った。その結果,処理期間が短いほど,処理後から羽化までの日数が長くなった。また135日の低温処理では,すべての羽化成虫が口吻が融合していない奇形だった。成虫は最長で47日間生存した。
著者
平尾 章成 有田 実花子 金 侖慧 松岡 由幸
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.83, no.853, pp.17-00090-17-00090, 2017 (Released:2017-09-25)
参考文献数
16

Person has spent most of the day in a sitting posture. In recent years, there has been a growing attention to the "seating comfort" researches. However, research topics are complicated and vary widely, it is difficult for a designer to use accurately design knowledge during the development of chairs. Therefore, in this study, "seating comfort" researches based on the literatures were systematically analyzed by the elements extracted and classified into spaces of element inter-relationship diagram using Multispace design model. Extracted elements were classified and discussed about change based on timeaxis. And, also the literatures categorized using cluster analysis of the extracted elements. From consideration based on the analysis results, researches about the human mechanism of seating comfort and long-term sitting analysis including the postural change have been proposed as non-research areas for future knowledge expansion.
著者
平尾 章
出版者
信州大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

エコタイプとは同じ種に属しながら、異なる環境に適応して遺伝的分化を遂げたもののことであり、生物多様性を生み出す供給源となる。高山植物ミヤマキンバイでは、風衝地と雪田という対照的な立地環境に適応したエコタイプの分化が、複数の山岳地域で多発的に生じていることが明らかになった。「天空の島々」のように互いに隔離されながらも平行進化的にエコタイプ分化が生じているミヤマキンバイは、生物多様性の創出メカニズムを研究する上で有用なモデル系となる可能性がある。