著者
渡辺 光一 黒崎 浩行 弓山 達也
出版者
「宗教と社会」学会
雑誌
宗教と社会 (ISSN:13424726)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.47-66, 2011-06-11 (Released:2017-07-18)
被引用文献数
1

100項目の宗教概念について日米の回答者に賛成か反対かを尋ねると、日米共通で信仰者のほうが非信仰者よりも賛成する共通概念が90も検出され、日米共通で生命主義的救済観が信じられているなど意外な点が多かった。教義と実際の信仰のかい離も検出された。さらに、1)人格神への信仰、2)教団宗教的規範、3)超越への働き掛け、4)大生命と魂、5)現世利益、6)感情の制御というお互いに相関する6つの共通概念群からなる日米共通の構造が検出された。それら共通概念群は、実践論的・顕教的か存在論的・密教的かという2つの独立したメタ因子からなるメタ共通構造に包摂され、有機的階層的な構造を成している。このうち、実践論的・顕教的なメタ因子のみが、信仰者の幸福度に対してプラスの効果を持つ。また、神に関する概念と幸福度の関係を調べると、人格的な神概念は幸福度にプラスの効果を、非人格(原理)的な神概念はマイナスの効果を持つ。
著者
渡辺 光一 黒崎 浩行 弓山 達也
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.3, pp.1-4, 2010-07-24
参考文献数
5
被引用文献数
1

思想研究は数千年にわたって恣意的で属人的な方法が用いられてきた.思想の体系化は非構造的であり,またその根拠は個人的な信念に依拠していた.本研究は,信念を蓋然性により定式化することで,人文科学的な文献研究の知見を低コストに構造化し,それを社会科学的な調査データと融合して,段階的に発展させていく.本稿では,その全体像をコストパフォーマンスとホップ・ステップ・ジャンプのメタファーから説明する.これは,価値・思想研究における知の巨人たちの混沌した縄張り争いの歴史に転換を図るものである.As for thoughts research, arbitrary methods have been conducted depending on individual skills for several thousand years. In those processes, systematization of thoughts/ideas has been non-structural and leaned personal beliefs. In this research, we propose a method, for structuring literal study of human science, for integrating the structure with survey data collected in a way of social science and developing the structure spirally. In this report we will explain the method using metaphors of cost-performance and "hop, step, and jump." This is to switch over the history of chaotic struggle of intellectual giants.