- 著者
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兵頭 政光
西窪 加緒里
弘瀬 かほり
- 出版者
- 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
- 雑誌
- 日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
- 巻号頁・発行日
- vol.113, no.8, pp.670-678, 2010 (Released:2011-05-13)
- 参考文献数
- 14
- 被引用文献数
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14
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今日, 嚥下障害は高齢化社会の到来とともに, 医療的にも社会的にも大きな問題となっている. 嚥下障害患者に適切に対応するためには, 患者ごとに嚥下機能を客観的に評価することが必要である. 嚥下機能検査法の一つである嚥下内視鏡検査は近年, 広く普及しつつあるが, 客観的な評価基準がないことが大きな問題点である. そこで今回, 嚥下障害の病態を簡便かつ客観的に評価することを目的として, 外来でも簡便に行える嚥下内視鏡検査スコア評価基準を作成し, その臨床的有用性について検討を行った.スコア評価では, 非嚥下時の観察項目として「喉頭蓋谷や梨状陥凹の唾液貯留の程度」および「声門閉鎖反射や咳反射の惹起性」を, 嚥下時の観察項目として「嚥下反射の惹起性」および「着色水嚥下後の咽頭クリアランス」を取りあげ, それぞれ0 (正常), 1 (軽度障害), 2 (中等度障害), 3 (高度障害) の4段階に評価した. この評価基準に従って嚥下障害例を対象としてスコア評価すると, 「専門外来担当医」と「一般耳鼻咽喉科医」または「言語聴覚士」の間で有意な相関があり, 嚥下障害の診療を専門とする耳鼻咽喉科医でなくても嚥下障害の病態を客観的に評価できることが示された. また, スコア評価結果は嚥下造影検査による咽頭クリアランスや誤嚥の程度とも有意な相関があった. スコア評価結果に基づいて経口摂取の可否の判断を行うことも可能と考えられた. 以上より, 今回提唱した嚥下内視鏡検査スコア評価法は, 嚥下障害の重症度や障害様式を評価する上で簡便かつ信頼性があり, 嚥下障害患者の診療において十分有用であると結論した.