著者
徳田 尚之
出版者
社団法人 日本流体力学会
雑誌
日本流体力学会誌「ながれ」 (ISSN:02863154)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.299-310, 1988-12-30 (Released:2011-03-07)
参考文献数
26

相変化を伴ういわゆるステファン問題は実に多くの重要な物理現象に現れる.この展望記事では, まずそれらの中でも特に最近注目を集めている地球科学での応用例の一, 二を紹介し, 続いて動く境界を持つステファン問題に対処するため開発されている代表的な解析法を説明する。最後に, 著者が最近開発したLagrange-Burmann展開に基づく新しい級数解を紹介し, その利点を詳述する.
著者
陳亮 徳田 尚之
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.33, pp.9-16, 2000-03-23

この論文では,多CPU協調による大域的最小値を見つける吉田等の9),11)協調的分散処理方式を使って,固定多センサー網による多標的追跡解法に最大充推定法(ML)による計算効率のよい緩和解決を開発した.局所的な緩和解の最小平均二乗誤差計算法に,これまで広く使われていたハンガリ型の割り当てアルゴリズム10),12)の替わりにO(NlogN)という簡単な分類アルゴリズムを持ち込むことにより,計算効率だけでなく,解の安定性も大幅に改良されることを示した.本論文では,標的の最適割り当て行列が,全標的の並び替えた方位ベクトルにより与えられることを証明した.方向・速度とも任意の運動する標的数が8個,12個の場合,それぞれ4個,6個のCPUを使って400MhzのPCで1分以内に計算することが出来た.この解は,全体の最適化問題のなかの一部に最適解が組み込まれているという意味で,Tingiltis of 3),12)の準最適解にあたる.Exploiting a new cooperative decentralized processing scheme of 9), 11) where multiple processors cooperate in finding a global minimum, we have developed a new computationally efficient maximum likelihood (ML)-based relaxation method for mulititarget motion analysis under a fixed networked multisensor environment. The marked improvement in computational efficiency and also in stability is achieved by replacing the well known Hungarian type assignment algorithm of 10), 12) with a much simpler sorting algorithm of O(NlogN) and fusing the result with locally minimized average square errors of the relaxation. We have proved a theorem which asserts that an optimal data assignment matrix can best be given in terms of sorted bearing measuring vectors of targets. Embedding locally an optimal data association algorithm of O(NlogN) into each of Gauss-Newton's downhill iteration loops, our numerical experiments were able to track as many as 8 targets and 12 targets separately within one minute by 400MHZ Dell computer with improved accuracy and efficiency, where all targets are allowed to move in variable directions at varying speeds if 4 and 6 processors are used respectively. The solution we have developed constitutes a suboptimal solution in the sense of 3), 12) because an optimal solution is embedded within part of the entire optimization problem.
著者
金 明哲 徳田 尚之 村上 征勝 田中 栄一
出版者
日本行動計量学会
雑誌
行動計量学 (ISSN:03855481)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.49-65, 1992-03-31 (Released:2010-06-28)
参考文献数
24

中国語の音声認識の機械処理を進める上で,中国語の計量的な性質を把握することは不可欠である.本論文ではSuen(1986)が中国語の高頻度単語として提唱している6,321語を用いて,中国語の音声認識を行う上で必要となるその音声学的性質について以下の項目にわたる計量分析を試みた.(1)声母,韻母,音素,声調の出現頻度(2)音節,音素を単位とした単語長 (3)音素を単位としたエントロピー,1次条件付きエントロピーおよび2次条件付きエントロピー (4)声母,韻母,音素を単位とした近距離単語数および声調,品詞が近距離単語数に与える影響 (5)声母,韻母,音素を単位とした置換対.その結果,例えば,声調や品詞情報が既知の場合でも一漢字単語では音素を単位としたレーベンシュタイン距離1の単語数は1単語あたり10.38語にものぼり,機械的な音声認識において単語単位での誤り訂正は極めて難しいが,二漢字単語では同じレーベンシュタイン距離1単語数は声調や品詞情報を考慮しなくとも1単語あたり平均約3語で,声調,品詞情報が既知であると1単語あたり0.26語まで減少するため,声調,品詞情報などを有効に利用することにより単語単位の誤り訂正が十分可能であると考えられるなど,今後中国語の音声認識などの機械処理を進める上で有益な幾つかの結果を得た.
著者
徳田 尚之 黄 亮 陳 亮 日下部 誠 永井 明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.84, no.7, pp.1089-1101, 2001-07-01
被引用文献数
8

本論文では, 文字列照合アルゴリズムを使うことにより, システムに全く素人な語学教師でもこれまでの教育経験を容易にシステムに組み込むことができ, しかもロバストで効率の良いテンプレートオートマトンによる対話式英作文(語学)学習支援システム(ILTS:Intelligent Language Tutoring System)を開発することに成功した。本システムの一番の特徴は, 学習者による入力英作文とテンプレートパス間で定義される相似度の最も高い最車共通文字列(Heaviest Common Sequence)探索により学習者の英作文の誤り診断を行い, それに沿って学習戦略を立てたことである。このシステムでは外国語教育では定評のあるFries教授法[1]とも共通する基本的英文熟語の繰返し学習法を採用することにより英語学習教育の効率を高めただけでなく, 自然言語に特有な文章パターン数の指数関数的爆発を避けることにも成功した。テンプレート構築の際に用いた200人程度のモニタ群と学習背景が全く違う100人程度のモニタ群で予備的なシステム性能評価試験を行い, 期待どおりの診断結果が得られたので報告する。
著者
陳亮 徳田 尚之 侯 平魁 永井 明 陳若愚 鄭然
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.50, pp.69-79, 2005-05-27

WORDNETのような開発に膨大な時間の掛かる同義語辞書に頼らずに、素人でも使える大型FAQシステム向け自然言語の質疑応答システムを構築した。FAQシステムを自然言語クエリにより検索する仕組みとして、本システムは差分LSI(DLSI)法によるコンテンツ検索と、テンプレート・オートマトン・マッチングによる統語検索を組み合わせというユニークな構想を持ち、次の3段階処理がその基礎となる。第一段階では、 FAQアイテムとクエリのターム展開の有効性に不可欠なtf-idf展開を保証するために、質問部と回答部間に存在する語彙ギャップを埋める処理をしたこと、第二段階では、類似意味のコンテンツ検索により、差分LSI法を意味的な一次フィルターとして用い、意味的に等価な質問部・回答部ペアのみに絞り込んだこと、第3段階目では、柔軟性に富む自然言語の統語検索機能を持つテンプレートマッチングにより最終的な意味的に等価な表現をもつ、最適なFAQの質問部・回答部ペアに絞り込みユーザに提示する。BURKE達の編集するのに膨大な労力を必要とする同義語辞書WORDNETに頼るFAQ Finder.に較べると、我々が開発したこのスキームは簡単に実現可能であり、大幅に労力が削減される。この方法の有効性はLucene FAQ System のFAQシステムで実験的に実証した。To facilitate and enhance the usability of a large FAQ system, we have developed a new user-friendly, combined content and syntactic search-based QA system that accepts free format natural language queries from users, and guide them to an answer item by locating and pinpointing the appropriate Q&A items within the FAQ dataset. To maximize the combined effects of both content and syntactic searches, we have introduced a three step core procedure comprising the term expansion of FAQ items and queries to ensure the validity of the tf-idf expansion, the DLSI (differential latent semantic indexing)-based semantic filtering step to capture semantically similar expressions in content; and the final flexible and powerful lexical template matching step to accommodate a rich variety of natural language queries of semantically similar expressions. Unlike the FAQ Finder of (Burke et al., 1997) which depends on a thesaurus-type dictionary such as Word-Net to match question and answer, the new scheme is simple to implement. An experimental investigation using the Lucene FAQ collection confirms the effectiveness of the method.