著者
大野 勉 小田 隆晴 田中 栄一 酒井 安子
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.451-455, 1996-11-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
7
被引用文献数
1

子宮脱や子宮下垂は, 骨盤底筋群のが筋力低下や各靱帯組織の弛緩延長が原因と言われているが, これに対する治療法は, ほとんどが手術療法である。保存的治療法としては, ペッサリーリングと漢方薬が知られているが, 漢方薬の中では, 升堤作用を有する補中益気湯が主に使われている。今回38例の子宮脱・子宮下垂に対して補中益気湯を投与しその効果をみた。自覚症状が改善したのは39%で, 改善までの期間は2週間から4ヵ目であった。そのうち72%は膣内1/2ないし腔内3/4下降例であった。また40%が内服継続中であり, 53%が途中で来院を中止していた。自覚症状が悪化したのは16%で, このうち83%が手術し, 残りは来院を中止している。残り44%は不変例であった。他覚所見に対してはほとんどが不変であった。主に子宮下垂に対しては補中益気湯は有用であると思われた。
著者
田中 栄一
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.173-179, 2006-03-20 (Released:2011-10-07)
参考文献数
6

進行したステージの筋ジストロフィーでは, 運動機能障害が重度なために, 身の回りのことや, 趣味活動への参加が少なくなっていく.作業療法では, 患者が求める活動に必要な運動と環境要素を分析し, 活動に挑戦し易い環境調整を支援する. また, 作業療法士は, 環境への適応を促す過程を通して, 患者の興味を掘りおこし, 患者自身の問題解決能力を育む.
著者
金 明哲 徳田 尚之 村上 征勝 田中 栄一
出版者
日本行動計量学会
雑誌
行動計量学 (ISSN:03855481)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.49-65, 1992-03-31 (Released:2010-06-28)
参考文献数
24

中国語の音声認識の機械処理を進める上で,中国語の計量的な性質を把握することは不可欠である.本論文ではSuen(1986)が中国語の高頻度単語として提唱している6,321語を用いて,中国語の音声認識を行う上で必要となるその音声学的性質について以下の項目にわたる計量分析を試みた.(1)声母,韻母,音素,声調の出現頻度(2)音節,音素を単位とした単語長 (3)音素を単位としたエントロピー,1次条件付きエントロピーおよび2次条件付きエントロピー (4)声母,韻母,音素を単位とした近距離単語数および声調,品詞が近距離単語数に与える影響 (5)声母,韻母,音素を単位とした置換対.その結果,例えば,声調や品詞情報が既知の場合でも一漢字単語では音素を単位としたレーベンシュタイン距離1の単語数は1単語あたり10.38語にものぼり,機械的な音声認識において単語単位での誤り訂正は極めて難しいが,二漢字単語では同じレーベンシュタイン距離1単語数は声調や品詞情報を考慮しなくとも1単語あたり平均約3語で,声調,品詞情報が既知であると1単語あたり0.26語まで減少するため,声調,品詞情報などを有効に利用することにより単語単位の誤り訂正が十分可能であると考えられるなど,今後中国語の音声認識などの機械処理を進める上で有益な幾つかの結果を得た.
著者
田中 栄一
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 = Journal of Tokyo Women's Medical University (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.85, no.6, pp.187-201, 2015-12

関節リウマチ(Rheumatoid arthritis:RA)治療は生物学的製剤の出現に伴いこの10年間で大きく進歩した。生物学的製剤は遺伝子組み換え技術を応用して、特定の標的分子を特異的に認識する抗体や受容体を改変した医薬品である。RAの病態を増悪させているtumor necrosis factorやinterleukin-6などの特定のサイトカインや、リンパ球活性化に関連する分子と結合し、その作用を減弱または消失させる働きを有する。本邦では、2003年にインフリキシマブが発売されて以来、RAに対する生物学的製剤としてはバイオシミラーの1製剤を含めると現在8種類の製剤が承認され使用可能である。いずれの生物学的製剤もRA患者の臨床症状の改善、骨関節破壊の進行防止、身体機能の改善などの作用を有し、より"寛解"が現実的な治療目標として認識されるようになった。しかしながら一方で、生物学的製剤には、感染増加などの安全性の問題、使用すべき適応となる患者の選択、高額な薬剤費、必ずしも大多数の患者が十分な効果を得ているわけではないこと、使用しているうちに当初は認められていた効果が減弱してくる二次的な効果減弱、いつまで継続的な投与が必要なのか、生物学的製剤の中止は可能かなどいくつかの問題点も残されており、今後、これらの問題点が明らかにされることが望まれる。
著者
田中 栄一 鳥越 喜一 竹本 武史 絹巻 煕 織田 勝
出版者
一般社団法人 日本ゴム協会
雑誌
日本ゴム協会誌 (ISSN:0029022X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.4-11, 1963
被引用文献数
1

パイロットプラントで試作したラテックスマスターバッチ法によるカーボンブラックマスターバッチ及びオイルブラックマスターバッチの物性及びカーボン分散度をバンバリーマスターバッチと比較検討し次の結果を得た.<br>1) 物性: ラテックスマスターバッチが伸び, 引張強さ, 耐摩耗性, 耐屈曲性, 引裂強さにおいてすぐれており, 300%モジュラスはやや低い. 反発弾性, 永久伸び, カタサは両者に差が認められない.<br>2) カーボンの分散: 顕微鏡観察によるとラテックスマスターバッチはバンバリー練り3分で分散は完全になっており30分練りのものとの差はまったく認められない. バンバリーマスターバッチは10分練りのものまでカーボンブラックの凝集塊が存在するが, 15分練ることによりその分散はラテックスマスターバッチの3分練りにほぼ等しくなり, 30分練ることにより全く等しくなる.
著者
金 明哲 田中 栄一 丁 光躍
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.第40回, no.人工知能及び認知科学, pp.480-481, 1990-03-14

近年,中国語の計算機処理の研究が進んでいる.中国語を併音で計算機に入力したり,中国語音声の機械認識をするとき,中国語の言語情報を有効に利用しなければならないことは疑いない.そこで中国語の性質を知るために文献2)の中国語高頻度単語6321語について,声母,韻母の出現頻度,声調分布,字数による単語長,声母数に基づく単語の分布,同字数単語中に占める近距離単語数などの調査を行なった.
著者
劉 紹明 田中 栄一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.78, no.10, pp.1358-1371, 1995-10-25
被引用文献数
4

本論文は根があり順序がない木(R木と言う)および根がなく順序がない木(単に木と言う)について,それぞれ,強構造保存写像に基づく距離(SSPD),C写像に基づく距離(CD)および極大C写像に基づく距離(MCD),の3種類の距離の計算法を提案している.R木の場合,いずれも,時間計算量はO_T(m_aN_aN_b),空間計算量はO_s(N_aN_b)である.木の場合,3種類の距離の計算法の時間計算量はO_T(max(m_a,m_b)^2N_aN_b),空間計算量はO_s(N_aN_b)である.ここで,二つのR木,あるいは二つの木をT_a,T_bとするとき,m_a(m_b),N_a(N_b)よそれぞれT_a(T_b)の頂点の最大次数,T_a(T_b)の頂点数である.SSPD,CDの計算法は,R木および木の場合とも,従来の計算法より効率が良く,MCDは本論文で提案した距離である.R木および木の距離は,化学で研究されている構造・活性問題をはじめとして,多くの構造比較問題に応用できる.