著者
永井 明人 石川 泰 中島 邦男
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音声言語情報処理(SLP) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.73, pp.23-28, 1995-07-20
被引用文献数
7

本稿は、自由発話に対する意味理解と、これを音声認識と統合する手法を述べる。まず、概念を理解単位(概念素)とし、発話を意図の伴った概念素列とみなす意味理解の枠組を提案する。次に、概念素仮説の言語尤度を評価しながら、文節ラティスから概念素を島駆動探索する概念素探索法を述べる。さらに、文意仮説の効率的な探索のために、概念素の脱落を許容して初期文意仮説を高速に得、これより想起される概念素予測知識を利用して脱落区間を再探索し、初期文意仮説を修復する手法を提案する。ホテル予約の自由な質問を対象とした音声理解実験の結果、第一位で92%の良好な理解率を得た。また、高速化手法により理解性能の低下なしに数倍?十倍の効率向上を達成した。This paper describes integration of speech recognition and semantic interpretation for spontaneous speech understanding. First, we propose a framework of semantic interpretation where a concept is a unit of semantic understanding and an utterance is regarded as a sequence of concepts with an intention. Secondly, we describe a basic search method which detects concepts from a phrase lattice by island-driven search evaluating linguistic likelihood of concept hypotheses. Moreover, an improved method to efficiently search for meaning hypotheses is proposed. This method quickly generates initial meaning hypotheses allowing deletion of concepts. Then, the initial meaning hypotheses are repaired by re-searching for missing concepts using prediction knowledge associated with the initial meaning hypotheses. Experimental results show that 92% of understanding rate has been acheived, and that the improved method has realized efficient search without reducing its performance.
著者
永井 明彦 中川 裕揮 伊藤 孝行 田辺 孝二
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究 技術 計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1_2, pp.39-56, 2013-01-31 (Released:2017-10-21)
参考文献数
47

1990年頃より世界では特定した用途での市場標準を目指した特定用途向けLSI(ASSP)を製品化しているファブレス半導体ベンチャーが大きく躍進を遂げている。一方で日本の半導体メーカを見ると,大手半導体メーカはASSPへの取り組みが充分とは言えず,他方でファブレス半導体ベンチャーでもASSPの成功例が少ない。このような状況で,事例のファブレス半導体ベンチャーは,特定ユーザ企業及び半導体商社と協調し,ASSPが市場標準となって,大きな事業収益に結びついていた。そこで本稿は日本のファブレス半導体ベンチャーが抱える課題を明らかにした上で,事例の成功要因を分析し,ファブレス半導体ベンチャーが市場参入する機会を得るための1つの方法を提案する。
著者
青木 義次 永井 明子 大佛 俊泰
出版者
Geographic Information Systems Association
雑誌
GIS-理論と応用 (ISSN:13405381)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.11-21, 1993-03-25 (Released:2009-05-29)
参考文献数
5
被引用文献数
1 2

It is a fundamental process of urban planning to determine the planning area or to divide the area into the zones in which the tendency on urban activities at each place is similar to others. The area dividing process can be formulated as a minimization problem of the sum of the generalized distance. This problem can be numerically solved by using Hopfiled Network which is a basic model of neural network theory.Applying the proposed method to the actual urban lattice data, we can obtain divided zones.
著者
中嶋 佳貴 沖 陽子 足立 忠司 永井 明博 近森 秀高
出版者
公益社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業農村工学会論文集 (ISSN:18822789)
巻号頁・発行日
vol.88, no.1, pp.I_29-I_37, 2020 (Released:2020-01-30)
参考文献数
29

河川生態系における沈水雑草群落の発生動態を把握するために, 岡山県南部の二級河川の前川において, 2004年から沈水雑草群落の分布を11年間調査し, 自然攪乱に伴う環境要因の変動と沈水雑草群落の分布との関係について検討した.2004年はセキショウモ及びササバモが優占し, ナガエミクリも帯状に群落を形成していた.その後, セキショウモ群落は2006年には全域に拡大し, 底質の粒径組成が細粒化すると共に全体の種組成は単純化した.ナガエミクリ群落はセキショウモ群落との競合により2007年に消失した.ササバモ群落もセキショウモ群落との競合により2008年から徐々に衰退したが, 2011年及び2013年の100mm以上の一雨降雨による自然攪乱によってセキショウモ群落が流出し, 再びササバモの分布が促されて種組成が多様化した.
著者
永井 明彦 高柳 素夫
出版者
The Chemical Society of Japan
雑誌
工業化学雑誌
巻号頁・発行日
vol.71, no.10, pp.1696-1703, 1968

ポリピニルアルコール(PVA)の結晶状態を明確にする目的で, 結晶化を阻害するとされている1,2-グリコール結合を過ヨウ素酸ナトリウムとの反応およびr 線照射によって適度に切断した10種の試料の動的粘弾性挙動を検討した。粘弾性吸収の大きさのを損失弾性率(E'')対絶対温度の逆数(1/T) ロット下の面積より求めて, 各吸収について考察を行なった。80℃(138c/s)付近近に存在する非結晶領域内分子鎖のミクロブラウン運動の生起に起因する主分散α a 吸収の大きさは上記処理による1,2-グリコール結合量の減少とともに大きく減少し, 1,2-グリコール結合が熱処理に際して結晶化し得ず, 非結晶領域に存在することが粘弾性の立場からも示された。さらに120℃(138c/s)付近に存在するβ c 吸収と著者らが名付けた吸収の大きさは赤外吸収スペクトルより求めた結晶化度( X <SUB>I</SUB>)と密度より算出した結晶化度(X<SUB>d</SUB>)との差ΔX (=X<SUB>I</SUB>-X<SUB>d</SUB>)の増加とともに大きく増加する一定の相関関係を得た。今まで報告されている研究結果から, XIは結晶領域と見なされ得ず, 他方分子鎖のトランス配置の連結という点では規則性を持つような領域を反映するものと見なすことにより, βe吸収はPVA結晶組織中の不完全結晶状態に起因していることを結論した。
著者
永井 明人 増塩 智宏 高山 泰博 鈴木 克志
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.23, pp.125-130, 2003-03-06
参考文献数
9
被引用文献数
1

インターネットでは一般からの情報発信が盛んになり、企業や製品に関する消費者の生の声(風評)が広く公開されるようになった。そこで、これらの大量の風評からクレームを抽出して、迅速なクレーム対応を実現する要求が企業において急速に高まっている。こうした要求を背景として、Web上に広がる企業や製品のクレーム情報を抽出して監視するインターネット情報監視システムを試作した。特徴は、(1) 文内の単語共起照合に基づく精密なクレーム抽出、(2) 収集したクレーム情報をマクロに時系列分析して、クレームの急増を検知するトレンド分析、(3) Web全文検索エンジンと掲示板クローラを組合わせた、大量・最新文書の収集、である。本稿では、この試作システムの概要を述べる。This paper describes an internet watching system which enables to extract consumer claims automatically from an internet. Reputation of enterprises or products latent so far is coming to appear and spread fast in an internet because everyone can send and read many messages easily in the internet. Then, it is highly required to find claims for the enterprises in order to cope with the claims quickly in terms of risk management. So we have developed and prototyped the system which is characterized by technologies of automatic claim extraction, trend analysis of claims and collection of numerous and latest documents.
著者
永井 明子 松野 昌展 葛西 一貴 網干 博文 川村 全 佐竹 隆 金澤 英作
出版者
Japanese Association for Oral Biology
雑誌
歯科基礎医学会雑誌 (ISSN:03850137)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.232-240, 1998-08-20 (Released:2010-06-11)
参考文献数
16

アジア太平洋モンゴロイド集団の下顎小臼歯についてその舌側咬頭数を調べ, 出現頻度を各集団ごとに比較した。第1小臼歯については舌側1咬頭性のものが日本で54.9%と半数以上を占めており, 2咬頭性のものは41.5%であった。1咬頭性の頻度を集団ごとに比較すると, モンゴルでは68.1%と高く, ついで日本が54.9%, ミクロネシアのキリバスは51.9%, 台湾のヤミでは半数以下の44.1%, 太平洋集団のサモア, フィジー, そしてオーストラリア先住民は40%以下の低い頻度であった。2咬頭性のものはモンゴルでは29.8%と低い頻度を示すが, サモア, フィジー, オーストラリア先住民は50%以上を占めていた。第2小臼歯では舌側2咬頭性のものがどの集団でも70%以上を占めている。1咬頭性のものはモンゴル, 日本, ヤミ, キリバスでは10%以上の頻度でみられるが, サモア, フィジー, オーストラリア先住民での頻度は低い。また3咬頭性のものがフィジー, オーストラリア先住民では20%以上の頻度であった。第1小臼歯と第2小臼歯を比較すると, 第2小臼歯の方が舌側咬頭数の変異は少ない。集団間では太平洋集団で第1・第2小臼歯ともに舌側咬頭数が多いものの頻度が高いことがわかった。
著者
西川 智佳 伊藤 孝行 永井 明彦 丸山 智美
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.27, 2013

今日,投稿型レシピサイトが普及しているが,これらは詳細な栄養量情報が記載されていないことが多い.よって,ユーザは自身で栄養を考慮しなければいけない.そこで,ユーザの身体情報やアレルギー食材を元に,様々な栄養素を考慮した献立表推薦システムを提案する.また,ユーザは実際に食べる食品を入力でき,その食品のエネルギー量を元に献立表が再調整される.また,栄養士の評価を受け,本システムの妥当性を確認した.
著者
小林 理 成田 昌紀 河内 広志 浅野 良三 外山 譲二 永井 明彦 来生 哲 荒川 正昭 藤田 雅 広井 忠夫
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.22, no.10, pp.925-931, 1984-10-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
11

症例は, 25歳男性で家業は味噌製造業である. くり返す気管支喘息, 血清IgE上昇, くり返す肺浸潤影があり, 気管支造影で典型的な中枢性気管支拡張像を認めた. こうじに含まれる Asp. oryzae およびその亜種が喀痰中より検出された. エドワードの二重透析法によりそれらの真菌より抗原を作成し, オクタルニーの沈降抗体法を施行したところ患者血清との間に沈降線を認めた. 吸入誘発試験では, 即時型および遅発型反応が陽性となった. TBLBでは, 肺胞壁および肺胞腔内に, 好酸球, リンパ球, 形質細胞の浸潤を認めた. 以上より Asp. oryzae およびその亜種によるABPAと診断した.
著者
徳田 尚之 黄 亮 陳 亮 日下部 誠 永井 明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.84, no.7, pp.1089-1101, 2001-07-01
被引用文献数
8

本論文では, 文字列照合アルゴリズムを使うことにより, システムに全く素人な語学教師でもこれまでの教育経験を容易にシステムに組み込むことができ, しかもロバストで効率の良いテンプレートオートマトンによる対話式英作文(語学)学習支援システム(ILTS:Intelligent Language Tutoring System)を開発することに成功した。本システムの一番の特徴は, 学習者による入力英作文とテンプレートパス間で定義される相似度の最も高い最車共通文字列(Heaviest Common Sequence)探索により学習者の英作文の誤り診断を行い, それに沿って学習戦略を立てたことである。このシステムでは外国語教育では定評のあるFries教授法[1]とも共通する基本的英文熟語の繰返し学習法を採用することにより英語学習教育の効率を高めただけでなく, 自然言語に特有な文章パターン数の指数関数的爆発を避けることにも成功した。テンプレート構築の際に用いた200人程度のモニタ群と学習背景が全く違う100人程度のモニタ群で予備的なシステム性能評価試験を行い, 期待どおりの診断結果が得られたので報告する。
著者
近森 秀高 永井 明博
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

近年の気候変動に伴う降雨パターンの経年変化を日本全国で観測された長期の日雨量, 時間雨量, 10分間雨量を統計解析することにより調べ, 確率雨量が主に太平洋側で経年的に増加すること, 降雨は時間的に集中する傾向にあること, 少雨の頻度が全国的に増加する傾向にあることを示した。また, 長期の気象データを用いて長期流出解析を行い, 全国的に渇水時の流量が減少する傾向にあることを示した。
著者
永井 明人 北 研二 花沢 利行 川端 豪 鹿野 清宏 森元 逞 嵯峨山 茂樹 榑松 明 鈴木 忠 岩崎 知宏 中島 邦男
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.50, no.9, pp.723-729, 1994-09-01
被引用文献数
1

本稿は、大語彙の連続音声認識を実時間で処理するための、HMM-LR連続音声認識装置の設計、処理性能について述べる。HMM-LR法は、一般化LR構文解析により入力音声データ中の音素を予測し、予測された音素の存在確率をHMM音素照合により調べることで、音声認識と言語処理を同時進行させる方式であり、高精度で効率的な処理系を構成することができる。処理量が極めて大きな継続時間制御付きトレリス計算を伴うHMM-LR連続音声認識を実時間で実行するために、本装置は種々の高速化手法を33個のDSPを用いて実現した。その結果、連続文節発声の入力音声に対し、入力文の長さに依らずに、発声終了後から2〜3秒ですべての認識処理を終了する処理速度を達成した。
著者
陳亮 徳田 尚之 侯 平魁 永井 明 陳若愚 鄭然
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.50, pp.69-79, 2005-05-27

WORDNETのような開発に膨大な時間の掛かる同義語辞書に頼らずに、素人でも使える大型FAQシステム向け自然言語の質疑応答システムを構築した。FAQシステムを自然言語クエリにより検索する仕組みとして、本システムは差分LSI(DLSI)法によるコンテンツ検索と、テンプレート・オートマトン・マッチングによる統語検索を組み合わせというユニークな構想を持ち、次の3段階処理がその基礎となる。第一段階では、 FAQアイテムとクエリのターム展開の有効性に不可欠なtf-idf展開を保証するために、質問部と回答部間に存在する語彙ギャップを埋める処理をしたこと、第二段階では、類似意味のコンテンツ検索により、差分LSI法を意味的な一次フィルターとして用い、意味的に等価な質問部・回答部ペアのみに絞り込んだこと、第3段階目では、柔軟性に富む自然言語の統語検索機能を持つテンプレートマッチングにより最終的な意味的に等価な表現をもつ、最適なFAQの質問部・回答部ペアに絞り込みユーザに提示する。BURKE達の編集するのに膨大な労力を必要とする同義語辞書WORDNETに頼るFAQ Finder.に較べると、我々が開発したこのスキームは簡単に実現可能であり、大幅に労力が削減される。この方法の有効性はLucene FAQ System のFAQシステムで実験的に実証した。To facilitate and enhance the usability of a large FAQ system, we have developed a new user-friendly, combined content and syntactic search-based QA system that accepts free format natural language queries from users, and guide them to an answer item by locating and pinpointing the appropriate Q&A items within the FAQ dataset. To maximize the combined effects of both content and syntactic searches, we have introduced a three step core procedure comprising the term expansion of FAQ items and queries to ensure the validity of the tf-idf expansion, the DLSI (differential latent semantic indexing)-based semantic filtering step to capture semantically similar expressions in content; and the final flexible and powerful lexical template matching step to accommodate a rich variety of natural language queries of semantically similar expressions. Unlike the FAQ Finder of (Burke et al., 1997) which depends on a thesaurus-type dictionary such as Word-Net to match question and answer, the new scheme is simple to implement. An experimental investigation using the Lucene FAQ collection confirms the effectiveness of the method.