著者
塩谷 茂明 藤富 信之 斎藤 勝彦
出版者
日本水産工学会
雑誌
水産工学 (ISSN:09167617)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.123-134, 1996-11
被引用文献数
6

船舶工学の分野では、船体設計の観点から各種の抵抗軽減に関する様々な研究が行われ、造波問題を対象とした研究も発展してきた。そこでは、船舶による造波の情報は船体の極く近傍に限られ、船体から伝播する波は研究の対象外でほとんど関心がなかった。しかも、このような造波問題の研究はほとんどが模型船レベルであり、船体抵抗の推定が目的である。そのため厳密かつ高精度な船側波形や船体周り粘性流場の情報が要求されるので、船体近傍の波紋計算は複雑で容易ではない。また、研究対象が巨大船を含む比較的大型の船舶であるため漁船、高速艇ならびに滑走艇のような小型船舶による航走波の研究が十分行われていないのが現状である。一方、水産工学の分野では、航行船の造波問題は養殖筏や係留中の小型船舶の損傷、小型釣船の大動揺による転覆や、釣り客の海中落下等の人身事故誘発の危険性等に深く関わるため、航走波の研究が重要である。しかも、このような筏を代表とする養殖施設は大型船が航行する主要航路周辺より、湾内や入り江等に点在することが多い。したがって、大型船舶による航走波の影響をほとんど受けないと考えてよい。むしろ、漁船、モーターボートを含む滑走艇や、離島間就航の高速艇等の小型船舶は航路外の海域を、比較的自由に航行することが可能である。そのため、時には養殖施設の極く近辺を航走することがあり、かえって大型船舶による航走波より大被害を誘発する危険性がある。
著者
塩谷 茂明 藤富 信之 斎藤 勝彦 石田 廣史 山里 重将
出版者
日本水産工学会
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.123-134, 1996 (Released:2011-07-07)

船舶工学の分野では、船体設計の観点から各種の抵抗軽減に関する様々な研究が行われ、造波問題を対象とした研究も発展してきた。そこでは、船舶による造波の情報は船体の極く近傍に限られ、船体から伝播する波は研究の対象外でほとんど関心がなかった。しかも、このような造波問題の研究はほとんどが模型船レベルであり、船体抵抗の推定が目的である。そのため厳密かつ高精度な船側波形や船体周り粘性流場の情報が要求されるので、船体近傍の波紋計算は複雑で容易ではない。また、研究対象が巨大船を含む比較的大型の船舶であるため漁船、高速艇ならびに滑走艇のような小型船舶による航走波の研究が十分行われていないのが現状である。一方、水産工学の分野では、航行船の造波問題は養殖筏や係留中の小型船舶の損傷、小型釣船の大動揺による転覆や、釣り客の海中落下等の人身事故誘発の危険性等に深く関わるため、航走波の研究が重要である。しかも、このような筏を代表とする養殖施設は大型船が航行する主要航路周辺より、湾内や入り江等に点在することが多い。したがって、大型船舶による航走波の影響をほとんど受けないと考えてよい。むしろ、漁船、モーターボートを含む滑走艇や、離島間就航の高速艇等の小型船舶は航路外の海域を、比較的自由に航行することが可能である。そのため、時には養殖施設の極く近辺を航走することがあり、かえって大型船舶による航走波より大被害を誘発する危険性がある。
著者
塩谷 茂明 藤冨 信之 斎藤 勝彦
出版者
公益社団法人 日本航海学会
雑誌
日本航海学会論文集 (ISSN:03887405)
巻号頁・発行日
vol.98, pp.375-383, 1998
参考文献数
11
被引用文献数
8 1

The information of ship waves generated by a small planing boat is very important to prevent damage of the marine structure, the small boat, the swimmer and so on. One of authors has researched about the mechanics of wave-making phenomena by a planing flat plate based on a planing boat in a circulating water channel experiments. As results, we have obtained these fundamental mechanics of waves generated by a planing flat plate. Therefore, we tried to develop the study on mechanics of wave-making by an actual planing boat. This paper deals with the measurements of ship waves generated by an actual small planing boat and investigations of the fundamental characteristics of generated waves. The measurements of ship waves are carried out in the case of varying distance from the sailing line with constant ship speed and varying ship speed with constant distance from the sailing line. As results, we obtained the characteristics of ship waves by a planing boat from the comparison with an ordinary displacement type boat.
著者
塩谷 茂明 藤富 信之 斎藤 勝彦 石田 廣史 山里 重将
出版者
日本水産工学会
雑誌
日本水産工学会誌 (ISSN:09167617)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.123-134, 1996
被引用文献数
6

船舶工学の分野では、船体設計の観点から各種の抵抗軽減に関する様々な研究が行われ、造波問題を対象とした研究も発展してきた。そこでは、船舶による造波の情報は船体の極く近傍に限られ、船体から伝播する波は研究の対象外でほとんど関心がなかった。しかも、このような造波問題の研究はほとんどが模型船レベルであり、船体抵抗の推定が目的である。そのため厳密かつ高精度な船側波形や船体周り粘性流場の情報が要求されるので、船体近傍の波紋計算は複雑で容易ではない。また、研究対象が巨大船を含む比較的大型の船舶であるため漁船、高速艇ならびに滑走艇のような小型船舶による航走波の研究が十分行われていないのが現状である。一方、水産工学の分野では、航行船の造波問題は養殖筏や係留中の小型船舶の損傷、小型釣船の大動揺による転覆や、釣り客の海中落下等の人身事故誘発の危険性等に深く関わるため、航走波の研究が重要である。しかも、このような筏を代表とする養殖施設は大型船が航行する主要航路周辺より、湾内や入り江等に点在することが多い。したがって、大型船舶による航走波の影響をほとんど受けないと考えてよい。むしろ、漁船、モーターボートを含む滑走艇や、離島間就航の高速艇等の小型船舶は航路外の海域を、比較的自由に航行することが可能である。そのため、時には養殖施設の極く近辺を航走することがあり、かえって大型船舶による航走波より大被害を誘発する危険性がある。
著者
和田 倶典 FULGIONE Wal SAAVEDRA Osc GALEOTTI Pie 斎藤 勝彦 山下 敬彦 高橋 信介 中川 益生 山本 勲 井上 直也 岬 暁夫 WALTER Fulgi OSCAR Saaved PIERO Galeot
出版者
岡山大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1994

本研究は[LVD(Large Volume Detector)]実験と,[LMD(Large area Massive particlesDetector)]実験から成る。これらの実験の目的は大統一理論から予想される新しい粒子や物理学,また宇宙からのみ飛来することが期待される新粒子,天体物理学などである。これらの実現には人工加速器は無力であり,そのため非加速器物理が押し進められている。[1]LVD実験:特に,ニュートリノ反応や,新粒子の出現頻度はきわめて稀なため,大規模で極端に低いバックグウランド状態の実験所が必要となり,それらの条件を満たす実験所がイタリア,グランサッソ-に建設されイタリア国を中心にロシア,米国,日本,中国,ブラジル等の参加でLVD計画が始まり,日本は我々のグループが参加して,平成2年,3年,4年とLVD建設に協力してきた。LVDの第一期計画のタワー1が完成し,世界最大容積の液体シンチレータデータが取れるようになり,平成4年6月から測定に入った。これにより、LVD実験の目的である(a)星の重力崩壊からのニュートリノバーストの研究,(b)太陽ニュートリノの研究,(c)陽子崩壊の研究,(d)隠れたニュートリノ天体源の研究,(e)ニュートリノ振動の研究,などの成果が期待される。さらに,LVDとしてはタワー2,3の建設が始まっているところである。LVD実験は休みなく運転を続けており,現地グランサッソ-地下実験所にて装置の運転及び実験目的の解析を行うことが本研究の目的である。それらの目的を達成するため,平成6年以降,日本から現地(イタリア,グランサッソ-地下実験所)におもむき,装置の運転及び共同作業やデータ解析などを行ってきた。それらの成果は平成7年ローマで開催された第24回宇宙線国際会議で10編の報告を行った(10.研究発表の項目参照)。また,LVD装置の運転(シフト)業務は各国で分担しているが日本グループとしては年間,最低4週間(2シフト)従事することになっているので,この業務を最優先し,平成7年度は3シフト行った。また,日本グループ独自の解析を行うためのデータ転送,調整などの調査を行い,見とうしをつけた。[2]LMD実験:本実験の研究目的は(f)超低速・超重粒子の探索,(g)超高エネルギーミューオン物理学の研究である。LMD実験も平成6年9月に40平方メートルの改良型TLシートスタック[TLS]をイタリア,モンブラン地下実験所に設置したので,(f)超低速・超重粒子探索の可能性の検討が十分成しえるよう,(ア)現地モンブラン地下実験所及びトリノ大学にてTLSの回収と解析を行うことと,(イ)TLシートが超低速粒子に感度を持つか実験を行うことが本年度の計画であった。TLSはTLシートとX線フィルムを多数枚重ねたものからなるが,今回は改良型TLSで真空パックをした。(ア)は平成8年2月に回収を行い,40平方メートルX8枚のX線フィルムをすべて現象し,解析を行った結果,3例の超低速・超重粒子候補イヴェントを見い出した。ただちに,対応するTLシートの15箇所をTL読み取りシステムで読み取り,ビデオカセットに収録し,日本でも解析できるようすべてのテープをコピーした。現在,そのビデオテープから解析中である。(イ)の実験は低速アルゴン・イオンビームで行った結果光速度の一万分の一程度でもTLシートが感度を持つことが判明し,超低速・超重粒子がTLシートに入射した時の発光量も計算することが可能になった。計算から予想される粒子による発光がバックグラウンドによる発光よりも多くなれば検出がむつかしくなる。TL発光がそれほど多量ではないことが判ったので,モンブラン・トンネル内のバックグラウンドが大きく影響することになる。モンブラン・トンネルに比較してバックグラウンドが少ないと予想される(50%から10%)グランサッソ-地下実験所にTLSを設置すべく,準備を平成7年8月に始めた。バックグラウンド計測用TLシートをグランサッソ-・トンネル内のLVDタンク上に三箇所設置した。平成8年2月にTLシートの一部分を回収し,読み取りを行った。これらもテープをすべてコピーしたので,半年間でのグランサッソ-トンネル内のバックグラウンド量が計測でき,モンブラン・トンネルと比較できる。一年後のバックグラウンド計測と併せて、新しいTLSの設置場所を検討する予定である。