著者
新保 史生
出版者
慶應義塾大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

行政機関が個人情報を取り扱う情報システムを構築する際に、プライバシーの権利侵害を予防するため事前に影響評価を実施する手法(プライバシー影響評価: PIA)に関する研究を、諸外国におけるPIAの先行事例の調査など比較法的観点から調査研究を中心に行った。本研究の成果は、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律案(マイナンバー法)」において、プライバシー影響評価の実施について「特定個人情報保護評価」として明記され、現実の制度として導入すべく検討がなされるに至っている。
著者
杉本 重雄 逸村 裕 佐々木 秀康 永森 光晴 原 正一郎 池内 淳 上保 秀夫 阪口 哲男 新保 史生 鈴木 誠一郎 柊 和佑 森嶋 厚行 吉村 和真
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010

ネットワーク環境におけるコンテンツ情報基盤に関する総合的取組として(1) ディジタルアーカイブの連携性向上のためのメタデータスキーマレジストリ技術(2) 図書館,文書館等における頑健なディジタルアーカイブのためのメタデータモデル(3) ディジタルマンガ等の新しい形態のコンテンツのためのメタデータモデル(4) これらを総合的にとらえたディジタルアーカイブ間連携等の課題に関する研究を進め, 公開シンポジウム等の機会も通じて, ネットワーク環境におけるディジタルアーカイブの相互運用性, 利用性向上のための情報基盤に関する知見を得た。
著者
新保 史生
出版者
情報メディア学会
雑誌
情報メディア研究 (ISSN:13485857)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.55-76, 2005 (Released:2006-03-27)
参考文献数
23

人の身体的・行動的特徴を用いて特定の個人を認証する仕組みであるバイオメトリクスは,社会の様々な局面において情報セキュリティの確保等の目的で利用される場面が増えつつある.しかし,バイオメトリクスは,鍵やパスワードなどを用いることなく身体そのものが「鍵」になるという利便性がある一方で,生体情報は変更することができない情報であり,それが不正に利用されると鍵の紛失やパスワードの不正利用とは異なる問題が生ずる可能性がある.とりわけ,生体情報は,個人に「唯一」備わっている特徴(情報)であり,本人が生存している限り「不変」かつ「永続的」に存在する情報であることから,その取扱いは極めて慎重に行うことが求められている.そこで,本稿では,バイオメトリクスの適正な利用にあたって必要な生体情報の保護の問題について,個人情報保護法に基づく個人情報の適正な取扱いを中心に考察する.
著者
新保 史生
出版者
情報メディア学会
雑誌
情報メディア研究 (ISSN:13485857)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.29-43, 2003 (Released:2004-04-27)
参考文献数
14

ネットワークにおいて個人情報を取得して利用する機会が増えるにつれ,情報システムの脆弱性を原因とする個人情報漏えい事件や不正利用が頻繁に発生している.また,我が国においても個人情報保護法が制定されたことから,個人情報の適正な取扱いと保護への関心と社会的要求が高まっている.その要請に応ずるための具体的な「指針」や「方針」を示したものとして「プライバシーポリシー」と呼ばれるものがあり,民間の事業者の多くは,これを掲載するところが増えてきている.行政機関においても日常的に行政事務やそれ以外の場面における個人情報の取扱量が増加している現状からすると,民間の事業者における取組同様に,行政機関におけるプライバシーポリシー掲載の必要性は高まっているといえる.そこで,主に米国の連邦政府機関の取組を中心に,プライバシーポリシーの掲載意義と現状を概観する.