著者
守 宏美 枡田 行央 新保 奈穂美 平田 富士男
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究(オンライン論文集) (ISSN:1883261X)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.45-52, 2023-04-29 (Released:2023-06-14)
参考文献数
11

In recent years, there has been growing interest in the use of goats for weed control in public green spaces from the perspective of reducing the environmental impact, recycling resources, and creating new landscapes, in addition to compensating for shrinking budgets and workforces of municipalities. However, due to the lack of systematic information on the challenges of organizations working on such projects, the key to successful goat weeding remains unexplored. Therefore, a trial experiment of goat weeding for organizations with no experience was conducted at five facilities, and exploratory interviews were conducted with 15 employees. The narratives obtained were presented as a time-series diagram of their experiences using the Trajectory Equifinality Modeling (TEM) approach. The factors that give rise to changes in awareness were used to identify problems in introducing goat weeding in public green spaces managed by organizations and effective measures to deal with them. The results suggest that providing training before introduction, building consensus within the organization, clarifying the division of roles in rearing work, providing feedback to rearing staff on evaluations by users of the facility and staff and establishing a goat weeding support system are important.
著者
前田 菜緒 太田 尚孝 新保 奈穂美
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画報告集 (ISSN:24364460)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.20-23, 2023-06-09 (Released:2023-06-09)
参考文献数
16

近年、短時間強雨の発生回数の増大により洪水発生リスクが増大している。本研究では対策としてグリーンインフラの一種である雨庭を取り上げ、先進的に整備の進んでいる京都市における雨庭の導入、整備のプロセスと維持管理の成果・課題を主体間の関係性と防災・減災効果と共に明らかにすることを本研究の目的とした。GISを用いた立地分析、文献調査、ヒアリング調査、現地調査を通し、本研究では以下の三点が明らかになった。1.現状では日常的なレベルの降雨には対応できるが極端な水災害との関係性は薄いといえる。2.京都造園建設業協会からの提言があり京都市が主体的に整備することで雨庭整備が実現し維持管理を地域ボランティアが担っている。3.整備は途中段階であり、維持管理に際して行政とボランティア間のズレがある。
著者
太田 尚孝 新保 奈穂美
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.945-952, 2023-10-25 (Released:2023-10-25)
参考文献数
33

コンパクトで用途混合型市街地は持続可能な都市発展を導き、国内外で都市計画論のメインストリームとなっている。本研究では、ドイツの建築利用令を事例に包括的な文献調査に基づき、以下の4点を明らかにした。1)ドイツでも理想と現実の間でのギャップが存在し、計画制度の試行錯誤と議論がみられる。2)ドイツでは建築用途の許容性の拡大と建築密度の緩和が一貫して進んでいる。3)農村空間での用途混合は都市部とは異なった課題に直面している。4)ライプツィヒ憲章の実践には政治的リーダーシップが欠かせない。
著者
守 宏美 新保 奈穂美 平田 富士男
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.85, no.5, pp.661-666, 2022-03-30 (Released:2022-05-13)
参考文献数
8

In recent years, there has been growing interest in the use of goats for the control and removal of weeds in open spaces from the perspective of reducing the environmental impact, recycling resources, and creating new landscapes, in addition to compensating for shrinking budgets and workforces of municipalities. However, because of the lack of systematic information on the challenges often faced by inexperienced goat farmers in using goats as weed control agents, the keys to the successful utilization of goats for the task remain unmapped. Therefore, we conducted explorative interviews with fifteen goat keepers on Awaji Island and in the Kansai area of Japan who had started goat weed control without prior experience. From the obtained narratives, the process for introducing goats as weed control agents was organized in chronological order. During the investigation, we found that six goat keepers could not meet their original objectives, while nine overcame their difficulties. Throughout the investigation, the issues that arose in the process and the responses of the keepers were recorded and categorized according to their causes. Our findings suggest the necessary points to be considered for utilizing goats for weed control in the future, depending on the stage of introduction.
著者
浅尾 菜月 新保 奈穂美
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画報告集 (ISSN:24364460)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.504-507, 2023-03-10 (Released:2023-03-10)
参考文献数
13

福岡市は公園の使いづらさや見守り・支え合い機能の低下などの課題の解決に向け、コミュニティパーク事業を展開し、一定条件を満たす場合、公園施設の休養・教養施設である「パークハウス」の設置を認めている。本研究では見守りを「顔見知り以上の関係性で互いを気に掛け合う」、交流を「挨拶以上の関わり」とし、パークハウスの見守り・交流創出効果を検証することを目的に、パークハウスを設置する公園で和風カフェや園芸教室といった企画を3回開催した。結果、地域住民に企画者になってもらい、孤立の兆しのあるその知人を巻き込むことで、見守り効果を創出できた。また閉じこもりや会話欠如型孤立傾向のある地域住民を含め参加者に対し、新たな顔見知りをつくったり、顔見知りとも関係性を深めたりといった、交流の機会を創出した。今後は継続的な開催による長期的な検証が望まれる。
著者
新保 奈穂美
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画報告集 (ISSN:24364460)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.338-340, 2020-12-04 (Released:2022-06-08)
参考文献数
14

空き地の農的利用はその様々な機能から、有望な土地活用方法のひとつである。こうした住民主体の緑地管理は、予算やアイデアの不足に直面している自治体にも利点がある。ただし都市の農は形態が多様であり、各事例に適したガバナンスを見つけることは難しい。そのため、関係者が適当なモデルを見つけるために、事例調査の蓄積が必要である。本稿は、東京都墨田区の空き地にNPO法人が開設したコミュニティガーデンの設立経緯と運営方法に関する調査結果を報告する。インタビューと資料調査の結果、人の交流を生み出すため伝統野菜を育てる農園が開設され、自治体の補助金を受けるためにNPO法人格を取得したことがわかった。また、NPO法人格は固定資産税の問題の解決にも役立つ可能性がある。このように、NPO法人はコミュニティガーデン運営の経済的安定性の面で利点があると考えられる。
著者
新保 奈穂美 太田 尚孝
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.799-805, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
38

コミュニティガーデン(CG)は社会問題の解決に資する多機能的な空間として認知されている。しかし、その運営は不安定なことが多く、行政支援が必要である。本研究はドイツの社会都市プログラムに着目し、ベルリン市のCGが地域・地区の住環境向上の名目のもとどのように支援されているのかを明らかにする。関連主体のインタビュー調査により明らかになったのは、同プログラムは新規CGのためにコーディネーターとなる企業・組織を確保し、初期費用を助成していたことである。一方、既存CGへは発展的な活動に使える資金を助成していた。結論として、社会都市プログラムは新規あるいは既存のコミュニティガーデンプロジェクトに対して資金や関係主体調整の面で支援をしていたといえる。
著者
新保 奈穂美 雨宮 護 横張 真
出版者
The City Planning Institute of Japan
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.219-224, 2014
被引用文献数
4

都市農地の環境保全機能を発現する方策として,都市住民が主導し,近隣由来の有機性廃棄物を農地に還元し,それを農作物生産のための堆肥として利用するシステムの構築が考えられる.本研究は,その際に課題となる,(1)有機性廃棄物の収集量の実態と調整方法,および,(2)有機性廃棄物の処理における都市住民の関与の実態と調整方法という2点から実在の事例の実態解明を行った.(1)に関しては,有機性廃棄物収集量の実測調査および収集の背景情報をインタビュー等で把握した結果,収集量の調整は科学的知見と経験的な知識をもとに,リーダーの判断で収集量が調整されていたことがわかった.これにより適正な量の有機性廃棄物の収集が可能となったといえる.(2)に関しては,有機性廃棄物の処理に携わった都市住民の作業時間・内容についてアンケート調査を行った結果,都市住民の関与の強さに応じて作業分担が行われていたことがわかった.これにより,広く都市住民を巻き込むことに成功していたといえる.今後,同様の事例研究が蓄積され,ノウハウが普遍化されることが,都市農地における住民主導の有機性廃棄物利用システムの取り組みを普及させるにあたり重要である.