著者
平山 琢二 田崎 駿平 藤原 望 眞榮田 知美 大泰司 紀之 Hirayama Takuji Tasaki Shumpei Fujiwara Nozomi Maeda Tomomi Ohtaishi Noriyuki
出版者
琉球大学農学部
雑誌
琉球大学農学部学術報告 (ISSN:03704246)
巻号頁・発行日
no.59, pp.25-27, 2012-12

The dugong trenches in the coast of Iriomote Island were investigated. The luxuriance of seagrasses in the western coast of Iriomote Island was higher than seagrasses in Okinawa Island. And many kinds of species of the seagrasses were observated (two family, six genus, eight species). The field investigated in this time was more large area and very well. Therefore, the side of diversity of living thing, the western coast of Iriomote Island was most important area. And, this coast has profusion of the Food of dougong dugon. But in this investigation, we were not able to check dugong trench in the coast of Iriomote Island. Therefore, it was guessed that a possibility that, as for us, the dugong inhabits the Iriomote island was low.西表島周辺におけるジュゴンの定着の可能性について調査する目的で、ジュゴンによる食痕調査およびジュゴンに関する伝聞や目撃情報などの聞き取り調査を行った。食痕調査では4地域を行った。また、聞き取り調査では石垣島およひ西表島で計41名を対象に行った。ジュゴンの食痕調査では、いずれの地域においてもジュゴンによる食痕は確認できなかった。また、ジュゴンの目撃に関する情報は、石垣島およひ西表島ともに全くなかった。伝聞に関しては30件の情報を得た。このようなことから、今回のジュゴンの食痕調査および聞き取り調査から、現在は西表島周辺にジュゴンは定着していないと思われた。しかし、かつてジュゴンが棲息していた地域における海草藻場の広がりは極めて良好であり、南西諸島海洋の生物多様性の面からも非常に重要な地域である。西表島西岸は、定期船の往来も少なく、良好な藻場を有していることから、西表島におけるジュゴン定着の可能性は極めて高いものと推察された。
著者
米田 政明 大泰司 紀之
出版者
Japanese Association for Oral Biology
雑誌
歯科基礎医学会雑誌 (ISSN:03850137)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.134-140, 1981-03-20 (Released:2010-10-28)
参考文献数
21
被引用文献数
1 1

ヒグマでは中間位の前臼歯に高い欠如率が見られるが, ツキノワグマでは欠如率は低い。この2種の前臼歯欠如率を比較し, クマ科における歯数減少傾向問題について検討を行なった。材料として北海道産ヒグマ151例, 本州産ツキノワグマ36例を用いた。前臼歯の欠如は肉眼的観察によったが, 存在する場合をさらに正常, 破折, 歯槽骨による包埋に分けた。また, 犬歯歯根セメント層板により年齢査定を行ない, 前臼歯の欠如率, 破折・包埋率の加齢変化を検討した。その結果, 前臼歯の先天的欠如率はツキノワグマにくらべヒグマが有意に高いこと, 破折・包埋前臼歯の出現率がツキノワグマ, ヒグマとも加齢に伴って増加することが明らかになった。両種の前臼歯欠如率の差は, クマ科の系統・進化の方向を示しているものと考えられた。
著者
淺野 玄 的場 洋平 池田 透 鈴木 正嗣 浅川 満彦 大泰司 紀之
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.s・ix, 369-373, 2003-03-25
被引用文献数
6 28

1999-2000年に北海道で捕獲されたメスのアライグマ(Procyon lolor)242個体について,胎盤痕または胎子を分析して繁殖学的特性を調査した.捕獲個体の齢構成は,0歳69個体(29%), 1歳71個体(29%)および2歳以上102個体(42%)であった.1歳の平均妊娠率は66%で,2歳以上の平均妊娠率96%と比べて有意に低値であった.一腹産子数は1頭から7頭で,平均産子数は1歳で3.6頭,2歳以上では3.9頭であった.平均産子数には1歳と2歳以上とで有意差は認められなかった.北海道の移入アライグマの繁殖期は,2月が交配のピークで3月から5月が出産期であると推定された.しかし,7月に2頭の妊娠個体が確認されたことから,夏期にも繁殖することが明らかとなった.北海道のアライグマの繁殖ポテンシャルは北米における報告と同程度であり,個体数増加の主要因であると考えられた.夏期の箱罠捕獲における0歳獣の捕獲圧は,1歳以上の個体と比較して相対的に低いことが示唆された.移入アライグマの個体数を減少させるためには,個体数が多い0歳獣の捕獲圧を高める必要があり,効率的な捕獲方法の検討が求められる.
著者
マハムト ハリク 増田 隆一 アブリミット アブダカディル 大泰司 紀之
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.1-17, 2003 (Released:2008-06-11)
参考文献数
44
被引用文献数
1

中国西部のチベット高原から新疆ウイグル自治区(以後,新疆とよぶ)にかけての一帯は,旧北区産哺乳類の進化の舞台であり,現代の哺乳類群集の形成や進化の要因を解明する際の鍵となる地域である.新疆の動物群集は,チベット高原の隆起に伴う古テチス海の退行,中央アジアの乾燥化,氷河期の気候の影響などにより南北および東西の地域に地理的に隔離された.新生代(第三紀後期から特に第四紀初頭)における激しい自然環境の変化により,徐々に現在のような動物小区画の構成および生態地理的分布様式が形成された.多様な自然環境を有す新疆には7目23科136種程の哺乳類が分布している.新疆では,1980年から自然保護区制度が導入され,現在20ヶ所の自然保護区が作られている.従来の哺乳類研究には,牧畜業ならびに病原体に関係のある齧歯類に関して比較的多くの蓄積がある.しかし,近年人為的な活動が哺乳類の生息環境に影響を及ぼし,その生息域の減少と分断化が進行しているため,希少哺乳類の保護が緊急の課題となっている.特に,その起源,系統進化的歴史,形態的·生態的特徴ならびに種内の遺伝的多様性などを明らかにし,その生物学的情報に基づいた保護管理と生息地保全を施策することが必要である.
著者
平山 琢二 田崎 駿平 藤原 望 眞榮田 知美 大泰司 紀之
出版者
琉球大学農学部
巻号頁・発行日
no.59, pp.25-27, 2012 (Released:2013-12-26)

西表島周辺におけるジュゴンの定着の可能性について調査する目的で、ジュゴンによる食痕調査およびジュゴンに関する伝聞や目撃情報などの聞き取り調査を行った。食痕調査では4地域を行った。また、聞き取り調査では石垣島および西表島で計41名を対象に行った。ジュゴンの食痕調査では、いずれの地域においてもジュゴンによる食痕は確認できなかった。また、ジュゴンの目撃に関する情報は、石垣島および西表島ともに全くなかった。伝聞に関しては30件の情報を得た。このようなことから、今回のジュゴンの食痕調査および聞き取り調査から、現在は西表島周辺にジュゴンは定着していないと思われた。しかし、かつてジュゴンが棲息していた地域における海草藻場の広がりは極めて良好であり、南西諸島海洋の生物多様性の面からも非常に重要な地域である。西表島西岸は、定期船の往来も少なく、良好な藻場を有していることから、西表島におけるジュゴン定着の可能性は極めて高いものと推察された。