著者
齊藤 祐毅 三谷 浩樹 米川 博之 福島 啓文 佐々木 徹 新橋 渉 瀬戸 陽 北野 睦三 小泉 雄 植木 雄志 神山 亮介 川畑 隆之 蛯名 彩 足立 充隆 小倉 真理子 川端 一嘉
出版者
Japan Society for Head and Neck Cancer
雑誌
頭頸部癌 (ISSN:13495747)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.74-79, 2012
被引用文献数
5

1980年1月から2010年12月までの30年間にがん研病院頭頸科で一次治療として手術を行った頭頸部原発粘膜悪性黒色腫40例の治療成績を検討した。男女比1:1,年齢は24~79歳(中央値62歳),観察期間は5~174ヶ月(中央値23ヶ月)であった。原発臓器は鼻副鼻腔:28例,口腔:9例,咽頭:3例。TNM分類(AJCC/UICC第7版)ではT3:8例,T4a:23例,T4b:9例でN0:36例,N1:4例,stage III:6例,stage IVA:25例,stage IVB:9例であった。Kaplan-Meier法による5年局所制御率,粗生存率,無再発生存率は70%,43%,29%であった。TNM分類は臨床的な予後とよく相関し,T4b,N1は予後不良であった。原発後方再発の制御が課題と考えられた。後発頸部リンパ節転移も高率にみとめ,頸部郭清が治療成績の維持に一定の効果を認めた。
著者
平川 仁 鈴木 基之 西野 宏 佐藤 雄一郎 石木 寛人 篠崎 剛 海老原 充 新橋 渉 上條 朋之 岡本 牧人 別府 武 大堀 純一郎 松浦 一登
出版者
日本頭頸部癌学会
雑誌
頭頸部癌 (ISSN:13495747)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.75-81, 2018

頭頸部癌終末期患者における症状について多施設調査を行った。根治不能頭頸部癌と診断され,癌の進行による状態悪化のために入院となった患者を対象とした。11施設から100人の患者が登録され,そのうち転院した患者などを除く72人が死亡まで観察可能であった。最終観察時における出血や滲出液を伴う自壊腫瘍を持つ症例は36.1%であった。またそれに伴う制御不能な出血を認めた症例は5例であった。1例は頸動脈破裂による急速な転機をたどった。残りの4例は出血および血圧低下による止血を繰り返し最終的に心肺停止となった。栄養経路に関して61.1%で経腸栄養摂取が可能であった。頭頸部浮腫は36.1%に認めた。喉頭発声による意思の伝達は50%で不可能であった。頭頸部癌の終末期症状は決して軽いものではない。しかしその症状・頻度,病態の理解が進み,適切な指針を今後作成できれば,患者は終末期の時間を自宅近くの医療施設もしくは自宅で過ごすことができるようになると期待される。