著者
西野 宏
出版者
日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会
雑誌
耳鼻咽喉科免疫アレルギー (ISSN:09130691)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.13-18, 2016 (Released:2016-03-30)
参考文献数
67

Interleukin-6(IL-6)は代表的な炎症性サイトカインである。IL-6は炎症のみならず癌細胞の生物学的活性に影響を与える。細胞増殖,細胞死抵抗性,浸潤,血管新生,転移,免疫,幹細胞,悪液質に関与していることがわかってきた。IL-6は多くの癌細胞において癌細胞活性を高め,腫瘍形成と転移に関与する重要なサイトカインである。この総説では簡潔にその働きを述べる。
著者
上村 佐恵子 島田 茉莉 伊藤 真人 西野 宏
出版者
日本小児耳鼻咽喉科学会
雑誌
小児耳鼻咽喉科 (ISSN:09195858)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.45-51, 2016 (Released:2016-08-01)
参考文献数
16

4 歳 8 カ月女児。夜間の息苦しさで頻回に覚醒するため,睡眠時無呼吸症候群の疑いで受診した。後鼻孔を閉塞する咽頭扁桃肥大,アレルギー性鼻炎の所見に合致する鼻粘膜所見がみられたが,気道閉塞をきたすような口蓋扁桃肥大はなかった。肥満と低身長を認め,易疲労感の訴えがあったため,小児科で精査を依頼した。低身長に対する検査の結果,橋本病と診断され,甲状腺ホルモン補充療法が開始された。治療 2 週間で夜間覚醒の消失を認め,治療 3 カ月で甲状腺ホルモン値は正常化,鼻閉の消失といびきの改善を認めた。簡易終夜睡眠検査上は,初回の無呼吸低呼吸指数(AHI:回/時)53.8,治療 5 カ月後21.9,治療10カ月後26.4,最終的に治療16カ月後に AHI 8.5まで改善した。睡眠時無呼吸症候群と甲状腺機能低下症の症状は類似点が多く,低身長や易疲労感などの甲状腺機能低下症の臨床症状にも留意することが必要である。

1 0 0 0 深頸部膿瘍

著者
西野 宏
出版者
医学書院
雑誌
耳鼻咽喉科・頭頸部外科 (ISSN:09143491)
巻号頁・発行日
vol.87, no.2, pp.158-163, 2015-02-20

POINT ●深頸部膿瘍は,気道狭窄,縦隔炎,敗血症などの合併症をきたし,死に至る可能性がある。頸部の腫脹と圧痛,皮膚の発赤を認めた場合,深頸部膿瘍の存在を強く疑う。 ●発症の原因は歯性感染,抜歯,扁桃周囲膿瘍,唾石症による顎下腺炎,耳下腺炎,外傷(異物,内視鏡検査)がある。 ●造影CTの撮影範囲は頸部から横隔膜のレベルまで撮影する。 ●広域の感受性を示す抗菌薬を投与し,膿瘍腔の開放排膿処置のタイミングを逃さない。
著者
平川 仁 鈴木 基之 西野 宏 佐藤 雄一郎 石木 寛人 篠崎 剛 海老原 充 新橋 渉 上條 朋之 岡本 牧人 別府 武 大堀 純一郎 松浦 一登
出版者
日本頭頸部癌学会
雑誌
頭頸部癌 (ISSN:13495747)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.75-81, 2018

頭頸部癌終末期患者における症状について多施設調査を行った。根治不能頭頸部癌と診断され,癌の進行による状態悪化のために入院となった患者を対象とした。11施設から100人の患者が登録され,そのうち転院した患者などを除く72人が死亡まで観察可能であった。最終観察時における出血や滲出液を伴う自壊腫瘍を持つ症例は36.1%であった。またそれに伴う制御不能な出血を認めた症例は5例であった。1例は頸動脈破裂による急速な転機をたどった。残りの4例は出血および血圧低下による止血を繰り返し最終的に心肺停止となった。栄養経路に関して61.1%で経腸栄養摂取が可能であった。頭頸部浮腫は36.1%に認めた。喉頭発声による意思の伝達は50%で不可能であった。頭頸部癌の終末期症状は決して軽いものではない。しかしその症状・頻度,病態の理解が進み,適切な指針を今後作成できれば,患者は終末期の時間を自宅近くの医療施設もしくは自宅で過ごすことができるようになると期待される。
著者
西野 宏
出版者
広島大学歯学会
雑誌
広島大学歯学雑誌 (ISSN:00467472)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.419-433, 1993-12-01

本論文の要旨は,第33回日本口腔外科学会総会(昭和63年9月30日),第34回日本口腔外科学全総会(平成元年10月27日),第49回日本癌学会総会(平成2年7月5日),第35回日本口腔外科学会総会(平成2年10月25日)において発表した。本研究は一部文部省科学研究費(平成3年度,No.02454459)によった。