著者
内海 美保 佐藤 雄一郎 山岡 由美子
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.9-17, 2012-01-10 (Released:2013-01-10)
参考文献数
11
被引用文献数
2 2

Pharmacists who will graduate from the 6-year program are expected to have more clinical ability than those who graduate from the 4-year program. In 2008, the Japanese Society of Hospital Pharmacists designed a plan, “New development of the expanded pharmacist's practices”. In some medical facilities and educational facilities some pharmacists and pharmacy students are performing new clinical practices even though the practices are not clarified in existing medical law.So far, medical law has indicated the roles of pharmacists as only “dispensing drugs”. We should reconsider whether the concept of “dispensing drugs” includes some part of medical practices and how pharmacists should develop their expanded roles practically. We must discuss them concretely including the revision and the interpretation of the existing medical law.
著者
佐藤 雄一郎
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.135, no.11, pp.1281-1289, 2015-11-01 (Released:2015-11-01)
参考文献数
42
被引用文献数
1 1

The recently discovered high mannose (HM)-binding lectin family in lower organisms such as bacteria, cyanobacteria, and marine algae represents a novel class of anti-viral or anti-tumor compounds. This lectin family shows unique carbohydrate binding properties with exclusive high specificity for HM glycans with core trisaccharide comprising Manα(1-3)Manα(1-6)Man at the D2 arm. At low nanomolar levels, these lectins exhibit potent antiviral activity against HIV and influenza viruses through the recognition of HM glycans on virus spike glycoproteins. In addition, some of these lectins, such as bacterial PFL, show cytotoxicity for various cancer cells at low micromolar levels. Cell surface molecules to which PFL bound were identified as integrin alpha 2 and epidermal growth factor receptor (EGFR) by peptide mass finger printing with MALDI-TOF MS. Upon PFL binding, these molecules were rapidly internalized to cytoplasm. EGFR was time dependently degraded in the presence of PFL, and this process was largely responsible for autophagy. Furthermore, PFL sensitizes cancer cells to the EGFR kinase inhibitor, gefitinib. In vivo experiments showed that intratumoral injection of PFL significantly inhibited the growth of tumors in nude mice. PFL-mediated down regulation of integrin/EGFR ultimately contributed to the inhibition of tumor growth both in vitro and in vivo. Thus, the novel anti-cancer mechanism of PFL suggests that this lectin is potentially useful as an anti-cancer drug or as an adjuvant for other drugs. This class of proteins will likely have beneficial impact as a tool for biochemical and biomedical research because of its unique carbohydrate specificity and various biological activities.
著者
一家 綱邦 山口 斉昭 高山 智子 勝俣 範之 秋元 奈穂子 八田 太一 下井 辰徳 渡辺 千原 藤田 みさお 高嶌 英弘 佐藤 雄一郎 手嶋 豊
出版者
国立研究開発法人国立がん研究センター
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2022-04-01

科学的エビデンスの不明な医療(がん治療に関するものが主たる対象)がもたらす社会的問題への対応策の検討を目的に4分野に跨る学際的研究を行う。(ⅰ)科学的エビデンスの不明な医療の内容を理解するための医学的観点からの研究(ⅱ)科学的エビデンスの不明な医療への法規制を検討する医事法学研究:医療行為そのものと医療行為に基づくビジネス活動を対象とする。(ⅲ)生命倫理・医療倫理のあり方を対象とする生命倫理学研究(ⅳ)法・倫理の規制の前提となる科学的エビデンスの不明な医療の実態把握のための調査研究。さらに、社会的課題としての重要性を鑑みて、研究成果を社会に発信することも研究活動の中で重要な位置を占める。
著者
米村 滋人 水野 紀子 武藤 香織 磯部 哲 徳永 勝士 田代 志門 奥田 純一郎 中山 茂樹 佐藤 雄一郎 猪瀬 貴道
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2018-04-01

2018年度分の研究活動(2018年4月~2020年3月)の実績の概要は以下の通り。当年度は、まず、総合調整班において全体的な研究計画と調査項目・検討課題を決定した。具体的には、先行研究課題である科研費・基盤研究(A)(課題番号24243017)の研究成果として、米村編『生命科学と法の近未来』(信山社、2018)が公表されているため、これを素材に国内外の関連研究者・専門家等からの意見と課題提示を受けた上で、総合調整班において検討を行った。その結果、現在の日本では臨床研究法をめぐる法運用が多大な混乱を惹起しており、医学界からは臨床研究全体が抑制されているとの指摘も見られるため、臨床研究法の法規制のあり方を検討することが適切と考えられ、海外法制度調査もその観点を中心に行う方針とした。以上をもとに、一般的実体要件班・一般的手続要件班において、国内の法学・生命倫理学・医学関係者に臨床研究法の問題点や改善の方向性等につき意見聴取を行うほか、海外の文献調査や国外の機関に対する訪問調査を行う方針とした。国内調査に関しては、各研究分担者の調査内容を研究会の場で共有したほか、永井良三・自治医科大学長や藤井眞一郎・理化学研究所生命医科学研究センターチームリーダーなど医学研究者の意見を直接聴取した。また、ドイツの臨床研究規制については、ヨッヘン・タウピッツ教授を始めマンハイム大学医事法研究所のスタッフに調査を依頼しており、その中間報告を数度にわたり聴取したほか、フランスの臨床研究規制についても文献調査の形で調査を進め、2019年3月に研究分担者・磯部哲と研究協力者・河嶋春菜の助力によりフランス渡航調査を実施した。特殊研究規制検討班においては、研究分担者・徳永勝士を中心に、国内研究機関や海外研究機関・研究者に対するヒアリング調査を行う形でゲノム研究や再生医療研究の規制状況の調査を行った。
著者
平川 仁 鈴木 基之 西野 宏 佐藤 雄一郎 石木 寛人 篠崎 剛 海老原 充 新橋 渉 上條 朋之 岡本 牧人 別府 武 大堀 純一郎 松浦 一登
出版者
日本頭頸部癌学会
雑誌
頭頸部癌 (ISSN:13495747)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.75-81, 2018

頭頸部癌終末期患者における症状について多施設調査を行った。根治不能頭頸部癌と診断され,癌の進行による状態悪化のために入院となった患者を対象とした。11施設から100人の患者が登録され,そのうち転院した患者などを除く72人が死亡まで観察可能であった。最終観察時における出血や滲出液を伴う自壊腫瘍を持つ症例は36.1%であった。またそれに伴う制御不能な出血を認めた症例は5例であった。1例は頸動脈破裂による急速な転機をたどった。残りの4例は出血および血圧低下による止血を繰り返し最終的に心肺停止となった。栄養経路に関して61.1%で経腸栄養摂取が可能であった。頭頸部浮腫は36.1%に認めた。喉頭発声による意思の伝達は50%で不可能であった。頭頸部癌の終末期症状は決して軽いものではない。しかしその症状・頻度,病態の理解が進み,適切な指針を今後作成できれば,患者は終末期の時間を自宅近くの医療施設もしくは自宅で過ごすことができるようになると期待される。
著者
佐藤 克郎 川名 正博 山本 裕 佐藤 雄一郎 花澤 秀行 高橋 姿
出版者
The Japan Broncho-esophagological Society
雑誌
日本気管食道科学会会報 (ISSN:00290645)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.465-471, 2002
被引用文献数
2

当科で音声外来開設以来13年間に経験した輪状披裂関節脱臼の2例につき,その経過を報告するとともに,輪状披裂関節脱臼の診断,音声機能の評価,経過観察と治療の方針につき検討した。当科の2症例はおのおの頸部への鈍的外傷および気管内挿管により前方型輪状披裂関節脱臼が発生し,音声機能を評価しつつ脱臼の整復を計画していたところ,おのおの発生から1および4カ月後に自然整復された。音声機能検査では,両例とも声門閉鎖不全の所見に加え基本周波数の上昇が認められ,自然整復後はいずれも改善し正常化した。文献的にも本症の自然整復例はある程度みられ,前方脱臼に多い。そこで自然整復の機序を推察すると,披裂軟骨に後方への張力として働く筋は唯一の声門開大筋で,他の筋に比べ働く頻度が高い後輪状披裂筋であるため,前方脱臼は自然整復の可能性が高いと考えられた。気管内挿管や頸部の外傷後に喉頭の症状をきたした症例においては,本疾患をも念頭におき,病歴や局所所見のみにとらわれず画像診断,音声機能検査,筋電図検査などを用いて確実に診断し病態を評価したうえで,容易に反復し施行できる音声機能の経過を参考に治療を計画することが重要と考えられた。