著者
MIAH Mohammad Noor Hossain 吉田 徹志 山本 由徳 新田 洋司
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.672-685, 1996-12-05
参考文献数
31
被引用文献数
5

多収性の半矮性インド型水稲品種(桂朝2号, IR36; SDI)と日印交雑型水稲品種(アケノホシ, 水原258号; JI)の乾物生産特性と穂重に対する出穂期前後に生産された乾物の分配率などについて, 日本型水稲品種[農林22号, コガネマサリ; 穂重型(JP), 金南風, 中生新千本; 穂数型(JN)]を対照品種として, 作期を2回[移植日1992年5月15日(ET), 6月9日(LT)]設けて圃場試験を行い検討した. 多収性品種(JI, SDI)の穂揃期の葉面積指数(LAI)は両作期ともJP, JNより高かったが, 登熟期間での減少割合が大きく, 収穫期には低い値を示した. SDIとJIの穂揃期地上部乾物重は, LTのアケノホシを除いて, 両作期ともJP, JNより高かったが, 登熟期間の乾物重の増加量に有意差はみられなかった. 特にSDIでは登熟期間のLAIの減少割合が大きく, また, 登熟期後半のSPAD値が大きく低下したことと相まって, 登熟期間の個体群生長速度は最も低くなった. SDIおよびJIの収穫期の穂重はJP, JNと比較してETでは20〜30%, LTでは18〜20%高かった. また, 両作期のSDIとJIの収穫期の地上部乾物重に対する穂重の割合は, JP, JNと比較して有意に高く, この差が穂重差に反映されたものと考えられた. 穂重に対する出穂期までに茎葉に蓄積された乾物の分配率をみると, ETではJPとJNの平均値よりSDIとJIが約2倍, LTではSDIが約4倍それぞれ高い値を示した. 穂揃期の穂重(シンク容量)は収穫期の穂重と有意な相関関係を示し, シンク容量の大きい品種は登熟期間の地上部乾物重増加量が少なくなる傾向がみられた. また, 茎葉に蓄積された同化産物の穂重への分配率はシンク容量と関係が深いことが認められた.
著者
山本 由徳 濃野 淳一 新田 洋司
出版者
日本作物學會
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.p601-609, 1994-12
被引用文献数
3

約1/1000aポットに直播栽培した水稲主稈の第2節から第11節の範囲で, 下位, 中位, 上位節に1次分げつを1節のみ, 2節あるいは4節残存させ, 株当り分げつ穂数を20本とし, さらに残存節数が同じ区では, それらの次位別構成を同一とした条件下で, 主稈の節位別, 次位別分げつの子実生産力について検討した. 1) 主稈の生育, 収量(穂重)は, 残存節数が少なく, 残存節位が上位であるほど優った. 2) 同一残存節数区の1次分げつの平均1穂重は, L位>中位>下位節の順に優った. 2次分げつの平均1穂重は, 1節および2節残存区では中位>上位>下位節の順に, また4節残存区では上位=中位<下位節の順に重くなった. 3(4)次分げつの平均1穂重は, 1節および2節残存区では中位>下位>上位節の順に, また4節残存区では中位=上位>下位節の順に重くなった. これらの結果, 全分げつの平均1穂重は1節, 2節および4節残存区でそれぞれ中位>下位>上位節, 中位>上位>下位節, 上位>中位>下位節の順に重くなり, 分げつの子実生産力は出現時期が早く, 栄養生長量の優る下位節ほど優るという傾向はみられなかった. 3)1次分げつの1穂重は穎花数と密接に関係し, 1穂穎花数は茎の生理活性をより直接的に示すと考えられた葉鞘からの葉身抽出速度(cm/日)と非常に高い有意な正の相関関係を示した.
著者
新田 洋司 伊能 康彦 松田 智明 飯田 幸彦 塚本 心一郎
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.77, no.3, pp.315-320, 2008-07-05
被引用文献数
2 1

茨城県産米は従来より,整粒歩合,千粒重,粒厚,1等米比率が低いことが指摘され,改善が要望されていた.そして,茨城県等では2004年から「買ってもらえる米づくり」運動(以下「運動」)を展開している.本研究では,茨城県の作付面積が新潟県についで全国第2位(2004年)である品種コシヒカリについて,千粒重・粒厚と食味関連形質を調査して「運動」目標値等と比較した.そして,それらの形質の相互関係について検討した.調査は,茨城県内各地で品種コシヒカリを化学肥料によって一般的に栽培している20水田を対象とした.育苗,移植,管理,収穫作業等は当該水田管理者の慣行法によった.収穫後,収量および収量構成要素,精玄米の大きさ,食味関連形質等を調査した.収量は330〜617kg/10aの範囲にあった.玄米の粒厚は1.93〜2.02mm の範囲にあり,平均は1.99mmであった.玄米千粒重(20.3〜22.7g)の平均は運動目標値と同じ21.5gであった.玄米の粒厚と千粒重との間には有意な相関関係は認められなかった.一方,精米のタンパク質含有率(乾物重換算で5.3〜7.4%)の平均は6.4%であり,運動目標値よりも低かった.精米のアミロース含有率(18.3〜19.8%)の平均は18.9%であった.精米のタンパク質含有率,アミロース含有率,食味値と玄米千粒重または粒厚との間には,有意な相関関係は認められなかった.以上の結果,比較的千粒重か大きく粒厚が厚い玄米では,精米のタンパク質含有率やアミロース含有率が玄米の大きさに規定されない場合のあることが明らかとなった.また,本研究で用いた2005年茨城県産コシヒカリの食味および食味関連形質は,おおむね良好であったと考えられた.