著者
加藤 明
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究技術計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.187-191, 2010-03-01
参考文献数
7

日伊眼鏡産地に大きな影響を与えた3つのイノベーションである,福井・鯖江産地の「チタン製眼鏡枠」,イタリア・ベッルーノ産地における世界的な規模での「流通支配」,及び眼鏡の「ファッション・アイテム化」について論じ,それが産地の盛衰にどのような影響を与えたのかを分析する。特に,眼鏡製品のファッション・アイテム化については,これをファッション化イノベーションと呼ぶことにし,日伊眼鏡産地,産業に対してどのような意義を持つものだったのかを分析する。現在,日本企業はプロセス・イノベーションからプロダクト・イノベーションへの移行を迫られているが,目に見える,ハードな品質,機能を追求するだけのイノベーションでは限界がある。そういう意味においてイタリア・ベッルーノ産地,企業によるファッション化イノベーションは,競争優位を得ることについてのクラシカルで,シンプルなベスト・プラクティス事例であるといえる。
著者
加藤 明彦
出版者
一般社団法人 日本フットケア学会
雑誌
日本フットケア学会雑誌 (ISSN:21877505)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.121-124, 2018-09-30 (Released:2018-09-30)
参考文献数
22

【要旨】本邦では,サルコペニアは Asian Working Group for Sarcopenia(AWGS)の診断基準で,フレイルは J-CHS 基準を用いて診断することが標準的となっている.末梢動脈疾患(PAD)患者は,サルコペニアがあると足病変が進行しやすくなるだけでなく,生命予後や心血管イベント発症とも関連する.同様に,フレイルがあると血管内治療後の成績が悪く,救肢率が低下する.透析患者では,2~3 人に 1 人がサルコペニア・フレイルを合併しており,生命予後や新規入院リスクと関連する,特にサルコペニアの診断項目のうち,握力や歩行速度低下などの身体機能がサルコペニアの転帰と関連する.従って,透析患者のサルコペニア・フレイルを早く気づき,栄養・食事療法や運動介入によって進行を防ぐことが,透析患者の足を守るうえで重要な治療戦略である.
著者
加藤 明
出版者
JAIST Press
巻号頁・発行日
pp.1-39, 2009

加藤, 明. 眼鏡産地の盛衰 -福井県・鯖江市とイタリア・ベッルーノ産地比較のケース-. JAIST Press. 2009.
著者
尹 大栄 加藤 明
出版者
静岡県立大学
雑誌
経営と情報 : 静岡県立大学・経営情報学部/学報 (ISSN:09188215)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.1-19, 2008-03
被引用文献数
1

本研究は、世界3天眼鏡産地の日本(福井・鯖江)、イタリア(Belluno)、中国(温州、深川)のうち、日本とイタリアの比較分析を試みたものである。近年、日本唯一の眼鏡産地である福井・鯖江地域が危機的な状況に直面しているのとは対照的に、イタリアのBelluno地域は世界の眼鏡産業をリードする好調ぶりを見せている。本研究の主なねらいは、この両地域の明暗を分けた要因を明らかにし、地場産業の盛衰プロセスに関する理論的・実践的なインプリケーションを探ることである。
著者
林 典雄 加藤 明
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.17, no.5, pp.485-489, 1990-09-10
被引用文献数
2

等尺性収縮が持つ特性よりROM訓練への応用が示唆され, 肩関節屈曲100度以下の拘縮肩に対し臨床応用した。16名にストレッチングを主体とした治療, 17名に等尺性収縮を主体とした治療を行い, 1%以下の危険率にて後者の有効性を示した。筋肉におけるレベルで考えるとき, 筋腱移行部 (MTJ) の伸展性欠如が一つの原因であり, その治療を行うには等尺性収縮が非常に有効であることが示唆された. また, 筋収縮がもたらす熱発生は, コラーゲンを中心とした結合組織の粘性低下をもたらし, より有効なROM訓練が行い得ると考えられる。
著者
加藤 明日香
出版者
公益財団法人 医療科学研究所
雑誌
医療と社会 (ISSN:09169202)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.197-206, 2016-08-10 (Released:2016-09-02)
参考文献数
41
被引用文献数
2 1

目的:国内外の2型糖尿病患者が経験するスティグマに関して,実践的な医療分野の視点から,今日までどのような研究が進められているのかを把握することを目的として,文献レビューを行う。方法:PubMed,MEDLINE,PsycINFO,CINAHL,医中誌,CiNiiの検索エンジンを用いた。文献検索に用いたキーワードは,PubMedとMEDLINE,PsycINFO,CINAHLでは“type 2 diabetes AND stigma”,医中誌とCiNiiでは「2型糖尿病ANDスティグマ」とした。選択論文は,1963年1月~2015年7月に発行された査読付き原著論文とした。結果:分析対象となる研究論文は合計15本であった。2型糖尿病患者が経験しているスティグマを主題として取り組んだ研究論文が2本,他に研究主題があり,その分析結果として2型糖尿病患者のスティグマが検出された研究論文が13本であった。研究デザインは,質的研究13本,量的研究2本であった。2型糖尿病患者におけるスティグマの影響は,診断前・診断直後の健康行動からすでに始まっており,その影響は治療開始後の自己管理行動に及び,長年にわたる闘病生活において,2型糖尿病患者が社会的サポートを受けることを難しくしていることが明らかとなった。考察:今後,2型糖尿病患者の自己管理行動を支援する介入研究に発展させていくためには,現在「スティグマ」という広い概念として研究されているところを,「実際のスティグマ」「感じられたスティグマ」「内在化されたスティグマ」の3つの概念に分け,それらを定量的に測定する2型糖尿病患者のための尺度を開発し,まず,その影響の大きさと分布を正確に明らかにした上で,最も有効な介入ポイントを特定していく必要があると考える。
著者
村井 宏徳 加藤 明里 神戸 信人 高瀬 達夫 鈴木 弘司 森田 綽之
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.B_67-B75, 2017-02-01 (Released:2017-02-01)
参考文献数
2

宮崎県児湯郡川南町の一般国道 10 号には,沿道商業施設の往来等から,乱横断する歩行者・自転車が多く,死亡事故が発生する単路区間が存在していた.このため,交通安全対策として,我が国で初めて信号機を設置せず,横断歩道を食い違いに配置した無信号の食い違い二段階横断施設が導入された.本研究は,我が国で初めて導入された,この二段階横断施設の導入効果を明らかにするために,導入前後に実施した各種調査の結果を用いて,二段階横断施設の安全性,円滑性の評価と,横断特性の変化を分析した.分析の結果,二段階横断施設の利用者が増加して乱横断が減少し,車両と接近した横断の減少や横断待ち時間の短縮等の安全・円滑面の効果が確認できた.また,歩道部より横断待ち時間が短縮する等の食い違い二段階横断の特性が確認できた.
著者
加藤 明彦
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.55, no.6, pp.349-355, 2022 (Released:2022-06-28)
参考文献数
26
被引用文献数
1

透析患者の栄養評価法に関する最近の話題は,Nutritional Risk Index for Japanese Hemodialysis patients(NRI–JH)とGLIM(the Global Leadership Initiative on Malnutrition)基準である.NRI–JH は日本人血液透析患者向けの新たな栄養指標であり,短期的な生命予後の予測に優れる.一方,GLIM 基準の予後予測能は,透析患者では感度,特異度とも低いため,従来の栄養評価法が優先される.Asian Working Group for Sarcopenia(AWGS)2019 によると,透析患者の27~68%にサルコペニアを合併している.診断項目にある握力および5 回椅子立ち上がりテストのカットオフ値は,予後予測に有用である.透析患者の栄養障害には,経腸栄養剤(oral nutritional supplements:ONS)による経腸栄養が第一選択であり,3 か月以上の継続が勧められる.透析時静脈栄養(intradialytic parenteral nutrition:IDPN)は,少なくともエネルギー≥20 kcal/kg/日,たんぱく質≥0.8 g/kg/日を摂取している透析患者が対象となる.現在,透析患者でも一般用のアミノ酸製剤やキット輸液製剤が使えるため,ONS とIDPN で必要量を確保できない場合には中心静脈栄養を検討する.
著者
伊藤 信成 越村 真帆 萩原 拓也 加藤 明音 ITOH Nobunari KOSHIMURA Maho HAGIHARA Takuya KATO Akane
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要. 自然科学・人文科学・社会科学・教育科学・教育実践 = BULLETIN OF THE FACULTY OF EDUCATION MIE UNIVERSITY. Natural Science,Humanities,Social Science,Education,Educational Practice (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.69, pp.31-37, 2018-01-04

人工光により夜空が明るくなる現象は光害と呼ばれ、公害の1つと認定されている。光害の把握は生活環境改善の為に欠かせない。近年、照明機器としてLED の普及が進んでおり、夜空の明るさとともに夜空の色の変化が懸念され、その評価が求められている。夜空の色を評価する取り組みは僅少であり、本研究ではデジタル一眼カメラを用いて、夜空の明るさと色を評価した。主たる評価地点は熊野市近郊とした。その結果、夜空の色を統一的に評価するためには、カメラの色特性を補正する必要があること、熊野近郊の夜空の明るさは天体観測の好適地との比較から良好な環境であること、夜空が明るくなると夜空の色が青くなる傾向があることがわかった。またデジタルカメラ画像から夜空の色を求める手法の確立と測定精度評価ができたと考える。
著者
糖尿病性腎症合同委員会・糖尿病性腎症病期分類改訂ワーキンググループ 馬場園 哲也 金崎 啓造 宇都宮 一典 古家 大祐 綿田 裕孝 繪本 正憲 川浪 大治 深水 圭 久米 真司 鈴木 芳樹 和田 淳 和田 隆志 岡田 浩一 成田 一衛 小岩 文彦 阿部 雅紀 土谷 健 加藤 明彦 市川 和子 北谷 直美
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.66, no.11, pp.797-805, 2023-11-30 (Released:2023-11-30)
参考文献数
20

わが国では2014年に改訂された糖尿病性腎症病期分類が広く用いられてきた.最近では,高齢化や肥満者の増加,糖尿病や高血圧症に対する新規治療薬の開発などを背景に,糖尿病患者に合併した腎臓病が多様化していることが指摘されている.そこで糖尿病性腎症合同委員会では,腎症病期分類を再度改訂する必要性を検討した.現時点では,アルブミン尿や推算糸球体濾過量に基づく2014年分類を変更する必要性を示唆する新たなエビデンスが発出されていないことから,今回の改訂では2014年分類の基本的な枠組みは変更しないこととした.ただし,日本腎臓学会のCKD重症度分類や国際的な表記との整合性を重視し,病期名を「正常アルブミン尿期(第1期)」,「微量アルブミン尿期(第2期)」,「顕性アルブミン尿期(第3期)」,「GFR高度低下・末期腎不全期(第4期)」,「腎代替療法期(第5期)」へ変更した.
著者
加藤 明
出版者
JAIST Press
巻号頁・発行日
pp.1-48, 2012-02-15

加藤 明, 現代に生きる北陸の紙郷 -加賀雁皮紙、加賀二俣和紙、越中和紙、越前和紙の産地と事業者のケース-, JAIST Press. 2012.
著者
鈴木 信次 乾 和郎 朝内 京華 上田 かおる 加藤 明香 愛知 葉子 大橋 理恵 高島 東伸 福田 吉秀 廣瀬 光彦
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
人間ドック (Ningen Dock) (ISSN:18801021)
巻号頁・発行日
vol.27, no.5, pp.856-862, 2013 (Released:2013-07-01)
参考文献数
29
被引用文献数
2 1

目的:人間ドックの受診者に対する生活指導のため,人間ドックで発見された胆石保有者の特徴について非保有者と比較検討した.方法:2009年に当施設の人間ドックを受診した23,848名を対象とし,胆石保有者1,062名の年齢,性別,BMI,糖尿病(HbA1c),脂質代謝,他の血液検査所見,生活習慣,生活習慣病,超音波検査所見について,非保有者22,786名と比較検討した.なお,BMI,血液検査所見,生活習慣病に関しては,年齢により40歳以下,41歳~59歳,60歳以上の3群に分けて比較検討した.結果:胆石の頻度は4.5%であった.胆石保有者の平均年齢は非保有者と比べて有意に高かった.BMIは,非保有者よりいずれの年齢群でも有意に高値であった.HbA1c(JDS)は,全体では有意差を認めなかったが,年代別では,中高年2群で有意に高値であった.脂質代謝では,胆石群で中性脂肪が有意に高く,HDLコレステロールが有意に低かった.他の血液検査所見(肝機能,膵機能,貧血)には差を認めなかった.生活習慣の検討では,飲酒しない人の胆石保有率は飲酒家と比べて有意に高かったが,他は認められなかった.生活習慣病について年代別にみると,40歳以下では十二指腸潰瘍の既往歴においてのみ有意差を認め,41歳から59歳の年代では,高血圧,脂質異常症,糖尿病,痛風に,60歳以上の年代では,高血圧,脂質異常症,糖尿病に有意差が認められた.胆石以外の超音波所見は胆嚢腺筋腫症と胆嚢壁肥厚に有意差が認められた.結論:胆石にならないための指導として中性脂肪,肥満の改善,適度な飲酒が有効な可能性であることが示唆された.
著者
加藤 明
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.172-177, 2012-03-01

宇宙活動において,「宇宙のごみ」(以下「デブリ」)の発生を防止する取り組みは,国連や国際標準化機構が推奨するガイドラインや規格類,並びに宇宙先進国政府あるいは公的機関が発行する標準書等にて進められており,各国の関係者それぞれが可及的速やかに実行に移す必要がある.しかし,単なるデブリ発生防止策を続けてもここ数年間の増加傾向が今後も継続すれば,宇宙活動を持続することはいずれはかなり困難となるほどである.このような悪化した軌道環境では,デブリ発生防止の取り組みだけでは不足であり,デブリの被害に対して積極的に信頼性と安全性を確保する必要がある.衛星・ロケットの品質を運用終了まで維持する信頼性,運用終了時点での廃棄処置を行うことの信頼性は,デブリ衝突による故障発生確率を含めて保証されるべきである.本稿では更に処分した衛星・ロケットが地上に落下する際の対人安全性にも言及する.なお,本稿は筆者の調査の結果得られた個人的見解を示すものであり,組織としての見解を示すものではない.