著者
金森 一真 早川 栄一
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB)
巻号頁・発行日
vol.2015-EMB-36, no.28, pp.1-6, 2015-02-27

組込みコンピュータの高性能化とネットワークに接続可能なインタフェースが搭載されたことにより,センサ機器を利用したWebサービスの開発が盛んになっている.従来の組込みシステム開発では,ターゲットデバイスの性質に応じて複数の言語や開発環境を用いることから,開発効率が低いという問題がある.本研究は,Web 開発に適した軽量言語を組込み開発に適用し,ネットワーク接続された組込み機器群のシステム開発を容易にする開発環境を提供する.上記の問題に対して,本環境では Web との親和性の高い JavaScript を記述言語として採用し,サーバ上で動作する開発環境およびデバイス制御ライブラリ群を用意することで,単一の言語環境で複数の機器の制御を可能とした.制御ライブラリには,開発の抽象度に応じた API の提供,サーバ上でセンサ機器の制御を行うための JSON を中心としたデータ通信機構を提供した.
著者
早川 栄一 斎藤 直生
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB) (ISSN:2188868X)
巻号頁・発行日
vol.2016-EMB-41, no.5, pp.1-6, 2016-05-26

ネットワーク帯域が狭い環境において,クラウド連携した組込みシステムの学習やシステムを構築するために Raspberry Pi を複数用いた可搬型のクラウド基盤システムを構築した.特徴は次のとおりである.(1) 省リソースで仮想環境を利用可能なようなコンテナ型のクラウドシステム,(2) 物理リソース状態を可視化可能なようにボードごとの LED を用いたリソース可視化機構,(3) 従来のクラウド管理ソフトウェアと比べて軽量小型のクラウド基盤システムの実現.
著者
藤正彦 早川栄一
雑誌
第75回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, no.1, pp.569-570, 2013-03-06

コンピュータの仕組みを理解する上で,オペレーティングシステムの学習は重要である.しかし,オペレーティングシステムの概念はつかみにくく,学習者が理解しにくいという問題がある.そこで本報告では,ゲームを用いてタスクスケジューリングに焦点をあてた学習ツールの開発を行った.Webブラウザを用いることで環境に依存することなく学習が可能になった.ラウンドロビン,優先度,Rate Monotonicといったスケジューリングに対して,パズルやリズム,制限時間やスコアといった要素を取り入れたゲームを開発した.これにより,学習者が学習に対する意欲を削ぐことなく理解をすることが可能となった.
著者
アモーンタマウット プラウィーン 早川 栄一
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J100-D, no.3, pp.341-352, 2017-03-01

Internet of Things (IoT)はセンサ・アクチュエータを備えた組込みシステムとサーバ群とをネットワークを介して接続するシステムである.IoTの開発においては,多様な組込みシステムを扱い,ネットワークによるデータ通信を行うことから,デバイスプログラミングやテスト,ネットワークのモニタリングを容易に行える開発環境が必要になる.本研究は,Webブラウザ上で容易にコーディング及び,通信データのモニタリングが可能な開発環境を構築した.本環境の特徴は次のとおりである:(1)コマンドベース及びスクリプト言語によるデバイスのコーディングが可能,(2)タイムスタンプを含めた通信データのトレース及び閲覧が可能,(3)複数の組込み機器のアクセス状況の閲覧が可能.
著者
中川 裕貴 Praween Amontamavut 西野 洋介 早川 栄一
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB)
巻号頁・発行日
vol.2013-EMB-28, no.30, pp.1-6, 2013-03-06

Androidは,LinuxカーネルとDalvikVMの二つの言語で構成されているので,複数のプロセスの動作を理解することが困難である.そこで,本報告ではAndroidにおけるプロセス可視化環境の開発を行った.本システムではftraceを用いた低オーバヘッドのシステム情報取得環境を構築し,プロセス生成や切換えに関する情報を取得可能とした.この情報を元にWebブラウザで可視化環境を開発することで,ユーザが容易に利用可能な環境を構築した.本環境ではプロセスのOSモデル図,時間変化グラフ,プロセスのツリー構造を表示することにより,利用者がプロセスの実行時間や状態の遷移,プロセス同士の関係性を容易に把握できるようにした.
著者
西野 洋介 早川 栄一 高橋 延匡
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.78, pp.107-114, 2001-07-26
被引用文献数
2

計算機科学を学ぶ学生にとってオペレーティングシステム(以下OS)の理解は必須である。しかし従来のテキスト、講義による学習では、OSの動作が見えず、非同期で実行が行われるので、学習者はOSの動作と構造の対応がイメージしにくい。このような問題に対して、我々は可視化を中心としたOS学習、教育を支援する環境を提案した。この研究はブラックボックス化しているOSを可視化という手段によって、OSの機能、構造を表示し、教育、学習支援を行う環境を提供することで、学習者の理解を促進させることが目的である。本教育支援環境では、特に重要なOSの概念から教育支援を行い、また可視化部分を可視化モジュールとして独立させることで可視化環境の構造に柔軟さを与えている。これにより学習者のレベルに応じた学習を行うことを可能にする。我々はプロセス管理、メモリ管理について実現し、マルチプログラミングの概念、プロセスとメモリとの協調の概念などの学習が可能となった。また、本学情報工学科におけるOSの講義においてデモンストレーションを行い、評価を行った。The understanding of operating system (OS) is indispensable for the student who learns computer science. But, the execution of the OS and the correspondence of the structure are hard for a learner to image because the movement of the OS can't be visualized and a usual textbook and learning by the lecture are executed by the event that occurs asynchronously. An environment to support the OS learning that utilized visualization is designed and implemented. The function of the OS is indicated, and a purpose is to make it promote learner's understanding by providing the environment where it is brought up and learning is supported by the means of the visualization. Education is supported from the operating system concepts, and a flexible visualization environment is provided in this education support environment by making a visualization part become independent as a visualization module. The matter that the learning that depended on a learner's level by this is done is made possible. It is animated about the process and the virtual memory, and learning such as a concept of multi-programming and the cooperation with the process and the memory management became possible. Moreover, evaluation was tested at the lecture on the OS in our compute science course, and the validity of this system was confirmed.
著者
池尻 宏 早川 栄一 並木 美太郎 高橋 延匡
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.44, pp.245-246, 1992-02-24

OS/omicronは日本語情報処理のためのアプリケーション指向のOSである.我々の研究室では,このOS/omicronを用いてOSや各種のアプリケーションの研究開発を行っている.また.システムプログラミングの教育用にも利用している.OS/omicronの特徴はシングルユーザー,マルチタスク,マルチスレッド,JIS2バイトコードの採用,パーソナル指向,アプリケーション指向などである。近年,EWSやPCのLANの世界では,分散システムや分散環境といったことがいわれるようになってきている.しかしながら,一般的に使われている通信システムはネットワーク内に含まれる信頼性の低さから,また速度の遅い通信媒体をサポートするためにパーチャルサーキットのような複数なプロトコルが採用されている.また,通信システムが高度に仮想化されているためにブラックボックス化してしまい,通信システム全体を見通すことが難しい.これはシステムプログラミングの教育に好ましいこととはいえない.本稿ではこのような問題を解決するための軽量でシンプルな通信サービスについて述べる.