著者
横関 隆 岡野 裕之 並木 美太郎 高橋 延匡
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS)
巻号頁・発行日
vol.1990, no.49, pp.1-8, 1990-06-08

本報告では,我々が研究・開発を行っているOS/omicron第3版のファイルシステム内部アーキテクチャ「ソフトウェアバス」について述べる.ソフトウェアバスはハードウェアのコモンバスシステムを参考に考案したもので,OS内部をモジュール化し各モジュールの呼び出しを,バスと呼ばれる仲介手続きを通して行うものである.この結果,OSを構成する各モジュールの独立性を高め,保守・拡張を容易に行うことができる。ソフトウェアバスを導入し,OS/omicronファイルシステムでは,モジュールの交換・単体デバッグが容易に行え,OSのプロトタイピング環境の基礎を実現した.また複数のファイルシステムが共存できるマルチファイルシステムの環境を整えた.This paper describes a "Software Bus" architecture on which OS kernel is constructed with independent modules. The idea of this architecture is based on common bus systems hardware architectures. Each module is accessed through a common bus by internal procedures and it manages many resources uniformly. We have implemented this software bus architecture on a file system of OS/omicron V3, which is designed for super personal computing and Japanese information processing.
著者
玉木 裕二 森田 雅夫 並木 美太郎 高橋 延匡
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.40, pp.672-673, 1990-03-14

当研究室では,システムやアプリケーションの開発に,主に言語Cを使っている.また,OS/omicron上で,当研究室で設計・開発した言語CコンパイラCATが存在する.一方,プログラムの入力手段として,プログラムの編集だけでなく,論文や仕様書などの文書やデータの作成などを行う汎用のテキストエディタのALTHEAを開発し,使用している.しかし,汎用であるがゆえ,括弧の対応付けもプログラマが自分で確認しなくてはならない.編集の対象を特定のプログラミング言語に限定すれば,専用のエディタ(構造化エディタ)を開発するアプローチがある.すなわち,プログラムを構文規則に対応した構造を持つものとして扱う.本研究の目標は,言語Cを対象とした構文要素を意識したエディタを開発し,プログラミング支援環境を実現することである.本稿では,そのための手段としての言語Cインクリメンタルパーザと,それによって実現されるプログラミング支援環境について述べる.
著者
並木 美太郎 高橋 延匡
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.38, pp.31-32, 1989-03-15

当学科では、情報工学科の計算機初期教育として、世界最初のストアード型プログラミングの計算機EDSACを用い、過去10年にわたり成果をあげてきた。その教育システムは、(1)中型TSSシステム上に構築されたCAIシステムとソフトウェアシミュレータ (2)布線論理によるハードウェアシミュレータとマイクロプロセッサを用いたハードウェアシミュレータ (3)パーソナルコンピュータPC-9801上に構築されたCAIシステムとソフトウェアシミュレータが存在する。しかし、中型TSS上のシステムは8年、PC-9801上のものでさえ、5年が経過した。その間のハードウェアの進歩は目覚ましく、ビットマップウィンドウや日本語などユーザインターフェイスの質は格段に向上している。学生が個人の計算機を所有している例も少なくない。また、CAIの分野も人工知能の技法を取り入れた知的CAIが脚光をあびている。本報告では、これら情報工学の進歩を考慮したEDSAC教育システムの設計とともに、種々のシステムに移植可能なEDSACソフトウェアシミュレータ核の実現について述べる。
著者
岩崎 宏之 仲地 哲夫 並木 美太郎 桶谷 猪久夫 柴山 守 勝村 哲也 星野 聰 石上 英一 高橋 延匡 梅原 郁 石田 晴久
出版者
筑波大学
雑誌
特定領域研究(A)
巻号頁・発行日
1994

かつて琉球は、東アジア世界における地域間交流の要、「万国之津梁」として繁栄した。この沖縄の地理的重要性は、今日においても変るところがない。沖縄は今も日本、中国、台湾、朝鮮半島、さらには東南アジアの諸地域を包む環東シナ海世界の要である。沖縄をそのような国際社会のなかに位置付けて地域間交流の具体的様相を歴史的に考察し、東シナ海を取り囲む諸民族、いわゆるアジアニーズの歴史的変貌を明らかにすることを課題として重点領域研究「沖縄の歴史情報研究」は平成6年度より同9年度までの4年間の研究期間をもって遂行された。本研究は、領域研究の成果を取りまとめて研究成果報告書を作成し、領域研究の成果である琉球・沖縄史と環東シナ海地域間交流史に関する各種歴史情報を、学界はもとより広くインターネット等を利用して一般に公開・利用に供することを課題とした。琉球・沖縄史と環東シナ海世界の地域間交流史に関する多種多様な歴史資料をいかにして情報化するか、本領域研究では、(1)各種研究文献の統合的把握のための歴史情報の集積と検索システムの開発、(2)古文献、古文書資料など琉球・沖縄に関する歴史資料が、どこに、どのようなものがあるか、各種歴史資料の所在に関する情報の集積と検索システムの開発に関する研究、(3)本領域研究で調査・収集した琉球・沖縄史と環東シナ海世界の地域間交流史に関する基本的史料の画像情報の検索システムの開発とこれら各種資料をインターネット上で広く公開・利用するためのシステムの開発、(4)琉球王朝期の外交文書集「歴代宝案」や琉球家譜、「明実録」「清実録」「島津家琉球外国関係文書」など、琉球・沖縄史研究にとっての基本的文献の全文テキスト・データベースや環シナ海地域間交流史に関する各種の文献史料の情報化、を進めた。計画研究・公募研究の各研究班によって行なわれたこれらの情報化資料はすべて総括班に集積された。本研究課題は、これらの情報化資料の統合、ならびにその検索システムの開発等に関する各種の研究成果の取りまとめを行ない、またこれら収集・集積した各種歴史情報を筑波大学付属図書館の電子図書館サーバーからインターネットに公開・提供するための整備作業を進めた。平成10年8月には、本領域研究の全体を総括した総括班研究成果報告書「沖縄の歴史情報研究」を刊行した。また、本領域研究で収集されたマイクロフィルム等各種歴史情報は、東京大学史料編纂所、筑波大学附属図書館、大阪市立大学学術情報総合センター、沖縄国際大学南島文化研究所等に寄贈し、ひろく学界の利用に提供することにした。
著者
森 岳志 中川 正樹 高橋 延匡 中森 眞理雄
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.29, no.8, pp.807-814, 1988-08-15

本論文は 新しい浮動小数点表現法の比較・評価を行う環境を提供することを目的とし OS用言語CコンパイラCATに複数通りの浮動小数点表現法を実現したことについての報告である.本研究では (1)URR (2)IEEE表現法(3)MIL-STD-1750A表現法の3種類の表現法をサポートしている.さらに 表現法の選択を (ア)コンパイル時に行う方法 (イ)実行時に行う方法の両者を用いて実現した.後者の方法は 効率の良い評価環境を与えることを目的として考案された方式で 評価の際のコンパイルとリンクの手間を軽減し 新たに表現法を追加したとしても浮動小数点演算ライブラリの再編成だけを行えばよく プログラムの再コンパイルを必要としないことなどの特徴を有している.定数の扱いに問題が生じたが 現時点では実行時に内部表現に変換することによって解決している.
著者
森 岳志 中川 正樹 高橋 延匡 中森 眞理雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.29, no.8, pp.807-814, 1988-08-15
被引用文献数
1

本論文は 新しい浮動小数点表現法の比較・評価を行う環境を提供することを目的とし OS用言語CコンパイラCATに複数通りの浮動小数点表現法を実現したことについての報告である.本研究では (1)URR (2)IEEE表現法(3)MIL-STD-1750A表現法の3種類の表現法をサポートしている.さらに 表現法の選択を (ア)コンパイル時に行う方法 (イ)実行時に行う方法の両者を用いて実現した.後者の方法は 効率の良い評価環境を与えることを目的として考案された方式で 評価の際のコンパイルとリンクの手間を軽減し 新たに表現法を追加したとしても浮動小数点演算ライブラリの再編成だけを行えばよく プログラムの再コンパイルを必要としないことなどの特徴を有している.定数の扱いに問題が生じたが 現時点では実行時に内部表現に変換することによって解決している.
著者
下村 秀樹 並木 美太郎 中川 正樹 高橋 延匡
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.457-464, 1992-04-15
被引用文献数
15

本論文は 形態素解析処理に基づいて 日本文の誤りを検出する新しい手法(コスト比較法)と その誤り検出能力を提示するわれわれはまず 形態素解析処理を考察し 形態素解析が 単語をノードとする木の最小コストパス探索問題にモデル化できることに着目したこのモデルでは 単語のもっともらしくなさの程度がコストの大きさで示され 文節数最小法や最長一致法などの従来の代表的な手法は このモデルでのコスト設定と探索制御の一例として表現できる次に その形態素解析モデルを 文中の誤り検出という観点から検討したその結果 誤りを含む文を解析した場合には解析結果のコストが大きくなることを利用して 解析結果の各単語のコストをしきい値と比較することによって誤りを検出するという 従来にはない新しい手法(コスト比較法)を考案した本研究では コスト比較法の誤り検出能力を確認するために 単語接続確率モデルに従ってコストを設定した形態素解析を実現し 誤りを含む文を解析して 実験を行ったその結果 コスト比較法によって 多種類の誤り(誤字 脱字 仮名漢字変換誤りなど)を指摘できることがわかった本論文では コスト比較法の誤り検出能力の定量的 定性的実験結果を述べるとともに 誤りの正確な位置や原因の特定 誤りを判断するしきい値の設定 などの残された課題にも言及する
著者
高橋 延匡 SHAPIRO Stua RALSTON Anth KERSHNER Hel SELMAN Alan 中森 眞理雄 大岩 元 都倉 信樹 牛島 和夫 野口 正一
出版者
東京農工大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1992

わが国の大学の情報処理教育のカリキュラムは米国に比べると著しく遅れているというのが通説であった。本研究代表者および分担者は情報処理学会の「大学等における情報処理教育の改善のための調査研究」で中心的な役割を果たし,コンピュータサイエンスのモデルカリキュラムJ90の作成に貢献した。しかし,J90を各大学で具体化して実現するには,授業時間配分や担当教員の割り振りなど多くの問題を解決しなければならないことが明らかになった。そこで,本年度は,米国で,過去にコンピュータサイエンスのモデルカリキュラムを各大学で具体化して実現する際にどのようにしたかを調査することにした。まず,予備調査として,ACM(米国計算機学会)が1988年に発表したコンピュータサイエンスの見取図である9行3列のマトリクス(以下では「デニング図」と呼)をカリキュラムの評価に使うことが可能かどうかを検討した。デニング図の各行は1アルゴリズムとデータ構造,2計算機アーキテクチャ,3人工知能とロボティックス,4データベースと情報検索,5人間と計算機のコミュニケーション,6数値的計算と記号的計算,7オペレーティングシステム,8プログラミング言語,9ソフトウェアの方法論とソフトウェア工学に対応する。デニング図の各列は(1)理論,(2)抽象化,(3)設計に対応する。個々の大学のコンピュータサイエンスのカリキュラムについて,その各授業科目をデニング図の27(=9×3)の枠にあてはめてみることにより,そのカリキュラムの特徴が明らかとなる。さらに,もう一つの予備調査として,ACMが1991年に発表したコンピュータサイエンスの頻出概念について,カリキュラム評価の手法として使うことが可能かどうかを検討した。ACMの頻出概念は(A)バインディング,(B)大規模問題の複雑,(C)概念的および形式的モデル,(D)一貫性と完全性,(E)効率,(F)進化とその影響,(G)抽象化の諸レベル,(H)空間における順序,(I)時間における順序,(J)再利用,(K)安全性,(L)トレードオフとその結果,の12から成る。検討した結果,ACMの頻出概念はきわめて重要なものを含んでいるが,(a)これら12個の概念は互いに独立であるか,(b)これら12個の概念はコンピューサイエンスを完全に覆っているか,についてさらに詳しく検討する必要があることがわかった。以上の予備調査を行った上で,米国ニューヨーク州立大学バッファロー大学計算機科学科を訪問し,共同研究を行った。研究の方法は,デニング図を含むカリキュラム評価方法やコンピュータサイエンスの頻出概念について,日米双方の研究代表者・分担者が見解を述べ,互いに賛否の意見を出し合う,という形で行った。この過程で,バッファロー大学ではデニング図を用いて自己点検・評価を行っていることが示された。ACMの1991年報告書では「広がり優先方式」(以下,「BF方式」と呼ぶ)によるカリキュラム編成方式が紹介され,それを実現するために多数の「知識ユニット」が提案されている(もちろん,それらの知識ユニットを組み合わせて,学問体系に沿って教える伝統的なカリキュラムを編成することも可能である)。このBF方式カリキュラムについても議論した。米国分担者達はBF方式カリキュラムを試みたが,現在は伝統的なカリキュラムに復帰しつつあるという見解であった。ACMのSIGCSE研究会の研究発表の内容を調べた結果,非BF方式カリキュラムに対する支持が強いことが確かめられた。もっとも,教育は必然的にBF的面を有するものであり,BF方式カリキュラムが妥当であるか否かという問題は,知識ユニットをどの程度の大きさにするのが適切であるかという問題に帰着され,今後の検討課題となった。本研究の期間中に,ACMのSIGCHI研究会から人間と計算機のコミュニケーションを主題とするカリキュラム案が発表された。このカリキュラム案に伴って紹介されている演習課題についても検討した。この分野は日本が大きな貢献をすることが可能な分野であり,今後の研究課題とすることにした。
著者
西野 洋介 早川 栄一 高橋 延匡
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.78, pp.107-114, 2001-07-26
被引用文献数
2

計算機科学を学ぶ学生にとってオペレーティングシステム(以下OS)の理解は必須である。しかし従来のテキスト、講義による学習では、OSの動作が見えず、非同期で実行が行われるので、学習者はOSの動作と構造の対応がイメージしにくい。このような問題に対して、我々は可視化を中心としたOS学習、教育を支援する環境を提案した。この研究はブラックボックス化しているOSを可視化という手段によって、OSの機能、構造を表示し、教育、学習支援を行う環境を提供することで、学習者の理解を促進させることが目的である。本教育支援環境では、特に重要なOSの概念から教育支援を行い、また可視化部分を可視化モジュールとして独立させることで可視化環境の構造に柔軟さを与えている。これにより学習者のレベルに応じた学習を行うことを可能にする。我々はプロセス管理、メモリ管理について実現し、マルチプログラミングの概念、プロセスとメモリとの協調の概念などの学習が可能となった。また、本学情報工学科におけるOSの講義においてデモンストレーションを行い、評価を行った。The understanding of operating system (OS) is indispensable for the student who learns computer science. But, the execution of the OS and the correspondence of the structure are hard for a learner to image because the movement of the OS can't be visualized and a usual textbook and learning by the lecture are executed by the event that occurs asynchronously. An environment to support the OS learning that utilized visualization is designed and implemented. The function of the OS is indicated, and a purpose is to make it promote learner's understanding by providing the environment where it is brought up and learning is supported by the means of the visualization. Education is supported from the operating system concepts, and a flexible visualization environment is provided in this education support environment by making a visualization part become independent as a visualization module. The matter that the learning that depended on a learner's level by this is done is made possible. It is animated about the process and the virtual memory, and learning such as a concept of multi-programming and the cooperation with the process and the memory management became possible. Moreover, evaluation was tested at the lecture on the OS in our compute science course, and the validity of this system was confirmed.
著者
岡野 裕之 横関 隆 並木 美太郎 高橋 延匡
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.673-683, 1991-05-15
被引用文献数
4

共有メモリ型マルチプロセッサを対象にしたオペレーティングシステム OS/omiaon第3版(以下OMICRONV3)を開発した.OMIRONV3は タスクフォースをマルチプロセッサ環境で有効に機能させるために タスクフォースを1つのプロセッサに束縛せず タスクから見てプロセッサをアノニマスにする設計とした.このとき 対象ハードウェアがプロセッサに関して不均質であったため ハードウェアに直接OMICRONV3を実装すると OSの構成が複雑になることが予想された.そこで ハードウェアとOSの間にハイパOS眉を導入し ハードウェアを均質化した.これによって OMICRNV3の内部でプロセッサをアノニマスに扱うことが可能となった.OMICRONV3は プロセッサをアノニマスとして実装した結果 シングルプロセッサ用のOSと比べて数か所の変更でマルチプロセッサに対応できた.したがって ハイパOSを使った実装が OSの記述性 保守性を高める上で非常に有効であることが判明した.0MICRONV3の設計は OS内の統一した責源環境 マルチタスクのデバッガ OSの変更の容易性などを考慮して行った.本論文は OMICRONV3カーネルの設計と実現 マルチプロセッサヘの実装方式趣どについて述べる.
著者
清水 敬子 阿刀田央一 高橋 延匡
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.281-292, 1983-05-15
被引用文献数
2

情報工学を専攻する学生に対する計算機初期教育として EDSACを用いた機械語によるプログラミング教育を行っている.この教育の目標としては (1)ストアード・プログラム方式の計算機で実現可能なことの限界を実感として理解させること (2)計算システムに関する知的好奇心をわかせること (3)技術の発展の方向を認識させること などを目指している.本報告では とくに上記の実現のため カリキュラム上の考慮からはじめて 実際の教育 とくに演習を通して いかに実施しているかについて述べている.そのために (1)ミニコン化EDSACの開発 (2)TSS によるEDSACの仮想計算磯の開発 (3)EDSACのCAIシステムの開発 などの教育用ツールの開発と充実を行った.これら3種のツールの特徴を生かして使い分け 過去4年間 実際に初期教育を行った結果 学習内容およびツールの組合せ方などについて効果的な方法が確立され 教育目標も達成できたと思われる.その経緯を報告する.
著者
高橋延匡 武山潤一郎 並木美太郎 中川正樹 石川 裕
雑誌
研究報告 システムソフトウェアと オペレーティング・システム(OS)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.2, pp.1-6, 2011-07-20

今後の高性能計算機においては,数十から数百以上のコアを集積したメニーコア環境が重要な役割を負う.メニーコア環境では,これまでのマルチコア環境とは違った OS カーネルやシステムソフトウェアが要求されるが,それらの開発の際に必要な実験向けメニーコア環境は,現在はまだ一般に入手できない.このような状況でも OS の開発を進めるために,本研究ではアクセラレータタイプのメニーコア環境を FPGA を用いてシミュレーションするシステムを設計する.また,HDL による実装の前段階として,Gem5 フルシステムシミュレータ上にメニーコア環境をモデリングする.Manycore processors, which have more than dozens of cores, will play large role in high-performance computing (HPC) in near future. Manycore environments require kernels and other system software to be designed differently from multicore counterpart. However, manycore environments that are necessary to develop those system softwares is not generally available currently. Our study aims designing and implementing a simulator of manycore environment in FPGA for those system software development. Prior to implementing the system in FPGA, we model the manycore processor on Gem5 full-system simulator.
著者
鈴木 茂夫 小林 伸行 田中 泰夫 中川 正樹 高橋 延匡
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.2-11, 1989-01-15
被引用文献数
5

本論文では 日本語情報処理を前提とした研究用計算機システムOS/oにおける日本語プログラミング環境について報告する.OS/oは システム全体で一貫して日本語が使用できるプログラム開発システムを目標としている.そのため フル2バイトの文字コード体系を採用し ファイル名 プログラミング言語の識別子に至るすべての文字に日本語を使用可能とした.これは OS/oを含めたすべてのシステムプログラムの記述言語として開発した言語Cの処理系CATの文字型を2バイト化することにより実現した.文字の書体 大きさなどの文字属性の表現方式として 属性情報を文字コードの実体から切り離し 独立した別のファイルに持つ方式を採用した.文字コードの実体ファイルと属性ファイルの統一的管理はファイルシステムにより実現している.これにより 属性情報を必要としないOSやコンパイラは 文字コードの実体だけを扱うことで 文字属性を意識する必要がなくなる.また 各アプリケーションの要求に応じてOSの機能を動的に拡張する機構を用意し これを利用して日本語変換入力機能を実現した.そして OS/oの一応用として レーザピームプリンタを用いた日本語文書出力システムを開発した.以上のように OS/oでは 日本語の入力 処理 そして出力を含めたトータルな日本語プログラミング環境を実現している.
著者
池尻 宏 早川 栄一 並木 美太郎 高橋 延匡
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.44, pp.245-246, 1992-02-24

OS/omicronは日本語情報処理のためのアプリケーション指向のOSである.我々の研究室では,このOS/omicronを用いてOSや各種のアプリケーションの研究開発を行っている.また.システムプログラミングの教育用にも利用している.OS/omicronの特徴はシングルユーザー,マルチタスク,マルチスレッド,JIS2バイトコードの採用,パーソナル指向,アプリケーション指向などである。近年,EWSやPCのLANの世界では,分散システムや分散環境といったことがいわれるようになってきている.しかしながら,一般的に使われている通信システムはネットワーク内に含まれる信頼性の低さから,また速度の遅い通信媒体をサポートするためにパーチャルサーキットのような複数なプロトコルが採用されている.また,通信システムが高度に仮想化されているためにブラックボックス化してしまい,通信システム全体を見通すことが難しい.これはシステムプログラミングの教育に好ましいこととはいえない.本稿ではこのような問題を解決するための軽量でシンプルな通信サービスについて述べる.
著者
天野 純一 丸山 芳男 並木 美太郎 高橋 延匡
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.48, pp.263-264, 1994-03-07

日本語文章の作成に仮名漢字変換を用いると、「天候」を「天侯」と書くような誤りはなくなる。しかし、「一つ」と書くべき語を「1つ」という表記で書いたり、同じ文章の中に「たとえば」と「例えば」を混在させたりすることは、仮名漢字変換を用いるだけでは防ぐことは難しい。それらを効果的に防止あるいは訂正するシステムを開発するためには、まず、それらが持つ性質を調査する必要があると考えた。そこで今回われわれは、日本語文章の中に起りうるさまざまな誤りのうち、特にこのような「表記の誤り」や「表記のゆれ」に着目し、多くの文章からそれらを検出して性質を定量的に評価する実験を行った。本稿ではその結果を報告する。