著者
明石 正和 千葉 正
出版者
城西大学
雑誌
城西大学研究年報. 自然科学編 (ISSN:09149775)
巻号頁・発行日
no.23, pp.71-80, 1999-12

平成11年度関東大学男子バレーボール2部リーグ戦は, 25点ラリーポイント制採用の最初の国内大会で, Jチームとほぼ同等の実力と思われる3チームを抽出しゲーム分析を行い技術指導上の基礎資料を得る目的で行った結果は, 次のとおりである。1)チームの得点総数および失点総数を比率でみると, スパイク得点は最高値で, 62.1%, 最低値52.3%, 平均値で57%で全てのチームで50%以上の値を示した。Jチームは, 平均値57.3%である。ブロック得点は最高値, 18.6%, 最低値4.9%, 平均値で12.8%でゲームによって差がある。Jチームは, 平均値15.4%で全体の平均値より高い値を示した。サーブ得点は最高値6.3%, 最低値0.9%, 平均値で3.7%で予想よりサーブ得点は低い値である。Jチームは, 平均値3.4%で強いサーブを打つ指示のわりにサーブ得点が少ない。スパイク失点は, 最高値16.2%, 最低値9.1%, 平均値13.7%である。Jチームは, 平均値で13.6%で全体の平均値とほぼ同様な値である。サーブ失点は, 最高値16.9%, 最低値4.4%, 平均値で10.2%である。Jチームは, 13.7%で全体の平均値より高い値を示した。2)サーブレシーブの返球率は, Dチーム89.8%で優れたが, 有意差は認められなかった。Sチームは87.2%で優れ, 危険率5%以下で有意差が認められた。Jチームは対Nチーム戦で88.8%で優れ, 危険率1%以下で有意差が認められた。サーブレシーブの返球率とサーブレシーブからのスパイク決定率の関係は, サーブレシーブ返球率が高い値を示してるが, スパイク決定率に結びついてない。3)ブロック力は, Jチームの対Nチーム戦で22点16.7%で最も優れ, 危険率0.1%以下で有意差が認められた。Dチームブロック決定率, 14.5%, 12点で高い値を示したが, 有意差は認められなかった。Jチームは, ブロック決定率, ブロック効果率も含めて, 高い値を示した。4)ブロック阻止率は, ブロック力とレシーブ力を合わせて算出するので, ブロック阻止率が高い値のチーム程, 競技成績も上位になる。ここの3ゲームでは, ブロック阻止率がほぼ同等な値を示したゲームは全てフルセットになった。アタックレシーブ率は, Sチーム, Nチームは45.5%, 46.6%で非常に高い値を示した。
著者
明石 正和
出版者
城西大学
雑誌
城西大学研究年報. 自然科学編 (ISSN:09149775)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.35-41, 1988-03

第10回アジア大会を2ヵ月後に控え, 金メダル獲得を目標とするアジア大会出場男子候補選手(1987年ザグレブ・ユニバーシアード大会の主力選手)15名を対象とし, 体力の現状分析とトレーニング計画立案のための資料を得る目的で, 体力測定を実施し, フランス世界選手権全日本男子代表選手の測定値および全日本高校男子選抜候補選手の測定値と比較検討を加えた結果は次の通りであった。1)身長, 指高は, アジア大会出場男子選手は, フランス世界選手権全日本男子代表選手と全日本高校男子選抜候補選手に比較し, ほぼ同様な値であった。2)握力, 背筋力は, 全日本高校男子選抜候補選手に比較しやや優れ, フランス世界選手権全日本男子代表選手とほぼ同様な値であった。3)3回跳び, 垂直跳, ブロックジャンプ, スパイクジャンプは, 全日本高校男子選抜候補選手に比較し明らかに優れ, フランス世界選手権全日本男子代表選手より明らかに劣る値であった。4)サイドステップ, 9m3往復走は, 全日本高校男子選抜候補選手に比較しやや優れ, フランス世界選手権全日本男子代表選手よりやや劣る値であった。今後は, 現行のトレーニング方式を分析検討し, 更に発展させるとともに, 筋力と敏捷性の育成(ジャンプ力の強化と動きのスピードの向上)強化と選手個人個人の欠点に応じたトレーニング処方の研究が必要である。
著者
明石 正和
出版者
城西大学
雑誌
城西大学教養関係紀要 (ISSN:09125299)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.101-113, 1977-03-30

大学のバレーボール部員4名の熟練者(踏み込み利き足左の熟練者1名含), 新入生2名の未熟練者(踏み込み利き足左の未熟練者1名含)として, バレーボールのダイレクトスパイクを行なわせた。これを, 真横から16mm撮影機によって撮影し, そのフィルムによって動作分析を行ない, 比較した結果, つぎの諸点が明らかになった。(1)踏み込み利き足右の熟練者の, 最も深い沈み込み位置における腰, 膝, 足首の角度は各118度, 72度, 70度で, 踏み込み利き足右の未熟練者に比較し明らかに前傾角度の大きいことがわかった。(2)踏み込み利き足の熟練者の, 両足踏み込み位置における腰, 膝, 足首の角度は各々106度, 125度, 91度で, 踏み込み利き足左の未熟練者に比較し明らかに直立姿勢に近いことがわかった。(3)踏み込み利き足右の熟練者の, 最も深い沈み込み位置における腰, 膝, 足首の角度は, 踏み込み利き足左の熟練者の両足踏み込み位置に比較し明らかに前傾角度の大きいことがわかった。(4)助走の速度は, 利き足右, 左の熟練者と未熟練者では, 明らかな差は認められなかったが, 熟練者と未熟練者では, 明らかに熟練者に速い傾向が認められた。関節角度が適切であるとともに, 筋力の合理的な発揮のためには助走の力を生かしての反動的なコンセントリックな全身の伸筋の働きが必要であることから, 助走のスピードと重心の直線的な移動が必要である。(5)腕の使い方に着目し, 大きく速い腕の使い方が課題解決に有効であるが, 特に腕の引きあげ動作の速度を増加することが有効である。(6)打球にあたっては, じゅうぶんな身体のそりとともに, ほぼ直線に近いミート時のフォームの会得が大切である。
著者
明石 正和 永都 久典
出版者
城西大学
雑誌
城西大学研究年報 (ISSN:09125302)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.19-26, 1984-03
被引用文献数
1 1

バレーボールの基本動作を体育科学の観点から研究し, 基本動作の合理性を解明しようとするもので, 今回は, 12人の大学男子バレーボール選手を被験者として, 全力によるスパイク動作を高速度カメラで撮影し, スパイク動作のフォアウィングからインパクトまでの腕のスウィングと打撃時に起る力学的現象との関わりについて分析した。その結果は次のとおりである。1. ボール速度は, 手のインパクト直前の速度, 手の換算質量, 手とボールの接触時間, 平均衝撃力と高い相関関係にあることが明らかになった。2. ボール速度は, 熟練者ほど, 手のインパクト直前の速度, 手の換算質量, 手とボールの接触時間平均衝撃力と高い相関関係にあることが明らかになった。3. バックスウィング終了後, 体幹の前方屈曲の際の, 肩関節速度が手先の速度に大きく影響するので, 肩関節速度を大きくする工夫が必要であると思われる。4. バックスウィングからフォアスウィングの肘関節の位置によって, スウィングの大きさに差のあることが明らかになった。
著者
明石 正和 千葉 正
出版者
城西大学
雑誌
城西大学研究年報. 自然科学編 (ISSN:09149775)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.81-91, 1997-07

平成8年度関東大学男子バレーボール春季3部リーグ戦で, Jチームと対戦した5チーム, 10試合をVTRに収録し, Jチームと対戦するチームのブロック力の比較検討を行うと共に, Jチームの各ローテーション別のブロック力の現状について検討した結果は, 次のとおりであった。(1)ブロック決定力は, JチームではMチームよりやや劣るが, その他のチームよりやや優れるか, 明らかに優れる値を示した。(2)ブロック阻止率は, Jチームでは, 上位チームのMチーム, Nチームより明らかに劣る値を示した。しかし, ブロック力では, Nチームとほぼ同じ値を示し, レシーブ力では, Mチームよりやや優れた値を示した。(3)ワンタッチボール率は, 各試合, 両チーム共, 相当高い値を示した。Jチームでは, 相手の速攻に対してボールに触れる割合がやや劣る値を示した。(4)2人以上ブロック参加率は, Jチームでは全ての対戦チームより, ほぼ同じ値か, 明らかに劣る値を示した。相手の攻撃に対して, 2人以上で組みで跳んでないことと, 味方攻撃に対して, ブロックしやすい攻撃であることが明らかになった。(5)各ローテーション別でみると, ブロック力を強化するため, 大型セッターを育成すると共に, セッター(S)の前・後のレシーブ力を高めることが必要である。(6)ブロックできなかった原因は, ブロックに跳ぶコースの不正確さ, ブロックに跳ぶタイミングが悪い点が明らかになった。今後は, 相手チームの攻撃方法や選手個人の特徴を把握し,試合中にブロッカーが自主的に対応できる能力(予測とす早さ)を養える技術練習を多く取り入れることが重要である。