著者
阿藤 誠 津谷 典子 福田 亘孝 西岡 八郎 星 敦士 田渕 六郎 吉田 千鶴 岩間 暁子 菅 桂太 中川 雅貴 曺 成虎
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

研究成果の概要(和文):本研究では第一に男性の未婚化・晩婚化は非正規雇用の増大により引き起こされ、女性の未婚化・晩婚化は高学歴化に伴う賃金稼得力の上昇と関係がある。第二に結婚や家族に対して非伝統的な価値意識を持つ人ほど出生力が低く、反対に伝統的な意識を持つ人ほど出生力が高い。第三に男性と比べて女姓は結婚・出産を経験すると家事や育児を極めて多く遂行するようになる。第四に高齢の親に対しては男性よりも女性の方が心理的、経済的支援をより多く行っており、特に配偶者の親よりも自分の親に対して顕著である。また、孫がいない夫婦より孫のいる夫婦の方が祖父母から様々な支援をより多く受けていることが明らかとなった。
著者
阿藤 誠 津谷 典子 福田 亘孝 西岡 八郎 岩間 暁子 田渕 六郎 星 敦士 菅 桂太 中川 雅貴
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、国連欧州経済委員会により組織された「世代とジェンダー・プロジェクト(GGP)」に参加し、各国共通のパネル調査(GGS)を実施し、各国共通枠組みに従って社会経済・家族政策等に関する時系列データを収集することによって、日本の少子化の背景要因を比較分析し、少子化是正のためには、仕事と子育ての両立支援、長時間労働慣行の是正、若者の非正規労働化の是正、子育ての経済支援が有効であるとの結論をえた。
著者
星 敦士
出版者
東北社会学研究会
雑誌
社会学研究 (ISSN:05597099)
巻号頁・発行日
vol.99, pp.57-84, 2017-02-28 (Released:2021-12-18)
参考文献数
17

二〇一三年に国立社会保障・人口問題研究所が実施した第五回全国家庭動向調査のデータを用いて、夫婦それぞれの両親に対する生活面でのサポートの多様性と、どちらの親をより中心的にサポートしているかという世代間関係における非対称性がどのような要因によって規定されているのかを検証した。分析の結果から、子から親へのサポートは親側のニーズ要因と居住距離要因、そして親から多様なサポートを受けたケースほど親に対して多様なサポートを提供するという世代間交換要因によって強く規定されていること、またその交換には子世代側の合理的な側面が含まれていることが明らかになった。今日の世代間支援関係においても規範的要素は部分的に残っていることが確認されたが、支援の対象が自身の親か夫の親か、父親か母親かなどによってその規定要因は異なっており、文脈依存的、かつ状況依存的な特徴がより強まっていることが示唆された。
著者
星 敦士
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.120-135, 2000-06-30 (Released:2009-10-19)
参考文献数
14
被引用文献数
3 1

本稿の目的は, 階層帰属意識の判断基準と比較基準を明らかにすることである.まず, 階層帰属意識の判断に影響する要因として, 従来の研究が用いてきた自身の社会経済的地位とともに, 地位認知の判断基準となる他者の社会的地位, 他者と自身との間の地位関係を含めて, 帰属意識の判断パターンに関する分析枠組みを構成した.1985年のGSSデータを用いて計量的に検証した結果, 階層帰属意識の判断について従来用いられてきた個人の地位から帰属意識を説明するという分析枠組みの妥当性を確認するとともに, 準拠集団論的なアプローチが指摘してきた他者の地位の影響についても部分的にその妥当性を実証した.個人は自己の地位評定を行う際に, 自身の社会的地位 (職業威信, 世帯収入) と, ネットワークの社会的地位 (学歴) を社会全体という比較基準において判断基準とする.また, 規定要因としての効果の大きさを比較すると, ネットワークの社会的地位の効果は, 本人の職業威信, 世帯収入よりも大きく, 個人の階層帰属意識の判断において重要な判断基準であるという結果をえた.一方, 自身とネットワークの地位関係に関する要因は階層帰属意識の判断パターンとしてほとんど考慮されていない.また, どのようなネットワークをもつかという準拠対象の構造的要因 (社会的地位の分散, 親密度) は, 階層帰属意識の判断に対して影響を与えていないことが明らかになった.