著者
北添 紀子 寺田 信一 平野 晋吾 是永 かな子 上田 規人 玉里 恵美子
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、自閉スペクトラム症(ASD)の疑われる大学生に対する就労支援のファーストステップとして、学内でのインターンシップ経験とそのフィードバックを行い、効果を検討した。本研究はASD特性のある学生に配慮して計画をしたが、参加者はASDのある学生には限定しなかった。参加者のうちASDが疑われた学生において、1)ほとんどの学生がインターンシップをポジティブに評価していた。2)就職に対する不安は、半数以上の学生で減少していた。3)ローゼンバーグ自尊感情尺度はインターンシップ後が有意に上昇していた。本研究により、学生は自信をつけ、職業に関連した自分の特性を理解するきっかけとなったと考えられた。
著者
眞城 知己 是永 かな子 石田 祥代
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

デンマークにおける自治体再編が特別ニーズ教育制度の展開にどのような影響を与えているのかその特徴を明らかにする目的で情報収集に取組んだ。海外学術調査種目の主旨である資料の収集をフィールド調査を通じて丹念に行うために教育省、各自治体の担当者、国策に携わる学識経験者への継続的な面接調査と資料収集を方法の柱に据えて研究を進めた。その結果、現地の研究協力者の支援と協議を重ねながら5つのレギオン及び半数を超える市の担当者及び学校における面接調査と資料収集を行うことができた。これらの資料の分析を進め、自治体間の差違の急速な拡大傾向と近隣市と共同で新制度を創出する自治体の存在などが明らかになった。
著者
是永 かな子
出版者
高知大学総合教育センター修学・留学生支援部門紀要編集委員会
雑誌
高知大学総合教育センター修学・留学生支援部門紀要 (ISSN:18831508)
巻号頁・発行日
no.4, pp.79-95, 2010-03

本研修の成果と課題を以下のように考察した。第一に研修プログラムに参加する教員の選定については、今回から高知県教育委員会を通じて高知県下の全教職員に呼びかけることができるようになった。今後もこの形態で広報が継続されることは重要であろう。第二にプログラムの時期の調整については、日常業務に支障のない長期休業中という点を考慮すると、現時点では春休みの設定が最善であった。第三に現地でのコミュニケーションについては、複数回の海外渡航経験があることや英語担当教員であることなどの条件が課せられよう。その上で、複数人で参加すること、予備知識を蓄えて研修に入ることなどが望まれる。第四にプログラムの内容については、今回は教員宅へのホームステイや学童保育、就労支援施設、生徒の実習先、研究所、大学など多様な場所を訪問したが、研修希望と合致しなかった部分もあるため、今後も改善は必要であろう。
著者
是永 かな子
出版者
高知大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究は多文化共生社会スウェーデンにおけるインクルージョン教育の展開を、実践的、制度的、歴史的観点から分析することを目的とする。本年度は、主にインクルージョン教育が成立する背景と展開過程を検討した。具体的にはノーマライゼーションが提唱され、義務教育学校としての基礎学校が創出された1960年代以降現在に至る、通常学級での個のニーズに応じた教育の展開を分析した。本年度の研究活動は、スウェーデンでの実地調査および研究交流と、日本国内での国際交流と学会発表および論文執筆であった。まず、平成19年4月にはスウェーデン・パティレ市の知的障害特別学校長、特別教育家らを高知大学に招聘し、附属特別支援学校の教員や通常小学校の教員を交えて、日本の特別支援教育とスウェーデンのインクルージョン教育について意見交換を行った。次に平成19年10月22日-31日に渡瑞して、実地調査および資料収集を行った。それらは第一にスウェーデン・パティレ市のインクルージョン教育の実践についての調査研究であり、第二にマルメ市の大学病院内ハビリテーリングにおける障害をもつ子どもを支援する個別サービスチームの編成など医療と教育の連携体制の整備の検討、第三に自閉症学校を訪問して分離的教育措置による個に応じた教育の保障の考察、第四にイェーテボリ大学教育学部図書館におけるインクルージョン教育関連文献の収集、第五にイェーテボリ大学教育学部のJan-Åke Klassonらと意見交換を行いインクルージョン教育に関する最新の研究動向を把握すること、である。最後に、平成20年3月にも渡瑞して、同様の内容で学会発表、実地調査および資料収集を行った。日本国内での学会発表は8月4,5日の日本発達障害学会、2007年9月22,23,24日の日本特殊教育学会、2007年9月29,30日の日本教師教育学会であった。日本国外での学会発表は2008年3月6,7,8日の北欧教育学会であった。また、研究の成果を分担執筆として公表した。