著者
奥脇 弘次 土居 英男 望月 祐志
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.102-109, 2018 (Released:2018-06-07)
参考文献数
29
被引用文献数
3 9

近年,用途に応じて目的の機能を有した材料開発の要求が高まっており,大規模な構造予測のためのシミュレーションが注目を浴びている.私達は,今回,散逸粒子動力学(DPD: Dissipative Particle Dynamics)シミュレーションを例に,有効相互作用パラメータ(χパラメータと呼ばれる) をフラグメント分子軌道(FMO)法から算定するためのフレームワークとワークフローシステムを開発した.FMO計算は非経験的であるため,高分子系素材に関わるほとんどの有機化合物に対して使うことが可能であり,χパラメータの算定に対して汎用性を持つと考えられる.この報告では,本システム(FCEWS: FMO-based Chi-parameter Evaluation Workflow System)の開発の目的,理論的な背景,ならびにソフトウェアについて解説する.
著者
齊藤 瑠偉 奥脇 弘次 望月 祐志 永井 隆太郎 加藤 拓己 杉﨑 研司 湊 雄一郎
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.39-42, 2022 (Released:2022-11-16)
参考文献数
16
被引用文献数
1

We have performed a series of quantum computations for folding of the PSVKMA peptide by using the blueqat AutoQML simulator by which a given problem can be converted from QUBO (quadratic unconstrained binary optimization) of quantum annealing to QAOA (quantum approximate optimization algorithm) of VQE (variational quantum eigensolver). The IonQ quantum system of ion-trap type was utilized as well. A three qubit problem was successful by both. However, the situation became difficult for a five qubit case, especially for the IonQ having vulnerability to noises.
著者
望月 祐志 中野 達也 佐藤 伸哉 坂倉 耕太 渡邊 啓正 奥脇 弘次 大島 聡史 片桐 孝洋
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.132-136, 2021 (Released:2022-03-17)
参考文献数
32
被引用文献数
2

We have been developing the ABINIT-MP program for fragment molecular orbital (FMO) calculations over 20 years. In 2021, the Open Version 2 series has started for large scale systems consisting of more than ten thousand fragments. This letter describes the current status of ABINIT-MP, including the speed-up as well as the situation of distributions over supercomputing facilities in Japan.
著者
塚本 貴志 加藤 幸一郎 加藤 昭史 中野 達也 望月 祐志 福澤 薫
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
pp.2014-0039, (Released:2015-01-30)
参考文献数
23
被引用文献数
13 40

フラグメント分子軌道(Fragment Molecular Orbital; FMO)法はタンパク質などの巨大分子の電子状態計算を可能にする方法であり,FMO計算によって得られるフラグメント間相互作用エネルギー(Inter Fragment Interaction Energy; IFIE)がタンパク質-リガンド間相互作用などを理解する上で有用であるため創薬研究などに用いられている.本研究ではFMO計算プログラムABINIT-MP及びそのプリポストBioStation Viewerに,IFIEを静電相互作用エネルギー(ES),交換反発エネルギー(EX),電荷移動相互作用エネルギー(CT+mix),分散エネルギー(DI)の4つのエネルギー成分に分割・解析できる機能PIEDA (Pair Interaction Energy Decomposition Analysis)を実装し,複数のタンパク質-リガンド系で実証計算を行った.その結果,ノイラミニダーゼ-オセルタミビル,EGFRチロシンキナーゼ-エルロチニブ,エストロゲン受容体-リガンド複合体の3つの系がそれぞれ異なる特徴的なタンパク質-リガンド間相互作用を持っていることが示され,IFIEを各エネルギー成分に分割して評価できるPIEDAの有用性が示された.
著者
望月 祐志 坂倉 耕太 秋永 宜伸 加藤 幸一郎 渡邊 啓正 沖山 佳生 中野 達也 古明地 勇人 奥沢 明 福澤 薫 田中 成典
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.16, no.5, pp.119-122, 2018 (Released:2018-01-30)
参考文献数
14
被引用文献数
8

We have been developing the ABINIT-MP program for the fragment molecular orbital (FMO) method. The list of inter-fragment interaction energies (IFIEs) is available from FMO calculations and is useful in analyzing the nature of interactions in a given target system. In this Letter, we summarize the current status of ABINIT-MP and also the machine-learning assisted analyses of IFIE data.
著者
望月 祐志 中村 昇太 山中 正浩 山田 康之 工藤 光子 常盤 広明 川上 勝 北本 俊二
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.66-67, 2016 (Released:2016-10-08)
参考文献数
9
被引用文献数
1

Recently, technologies and applications of 3D-printers have attracted practical interests in the contexts of manufacturing and research developments. In contrast, the educational usages have still been underway. In this Letter, we report a variety of demonstrative 3D-printed molecular models used for education of chemistry and biology in our faculty of Science.
著者
満野 仁美 奥脇 弘次 伊藤 雅仁 望月 祐志
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.126-128, 2019 (Released:2019-10-30)
参考文献数
8
被引用文献数
2

We have been developing a Scratch-based educational program for machine learning in the chemistry context. This system has an interface with the DeepChem library set of Python. The solubility prediction of several molecules with SMILES notation was demonstrated as a preliminary application.
著者
望月 祐志 中野 達也 坂倉 耕太 渡邊 啓正 佐藤 伸哉 奥脇 弘次 秋澤 和輝 土居 英男 大島 聡史 片桐 孝洋
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.106-110, 2022 (Released:2023-04-29)
参考文献数
33
被引用文献数
1

We have been developing the ABINIT-MP program for fragment molecular orbital (FMO) calculations over 20 years. Several improvements for accelerated processing were made after the release of Open Version 2 Revision 4 at September 2021. Functionalities were enhanced as well. In this short report, we summarize such developments toward the next release of Revision 8.
著者
中野 達也 望月 祐志 甘利 真司 小林 将人 福澤 薫 田中 成典
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.173-184, 2007-09-15 (Released:2007-10-19)
参考文献数
57
被引用文献数
2 1

1999年に北浦らにより提唱されたフラグメント分子軌道(FMO)法は、分子系をフラグメントに分割し、フラグメントのモノマー、ダイマー・・・の計算から系全体を計算する方法であり、タンパク質やDNAのような巨大分子系全体を量子論的に扱う計算方法として、近年注目を集めている。本稿では、FMO法の概要と、多層FMO(MLFMO)法に基づいたタンパク質の励起状態計算、及びFMO法に基づいたconfiguration analysis for fragment interaction (CAFI)やvisualized cluster analysis of protein-ligand interaction (VISCANA)といった解析方法について報告し、FMO法の今後について展望する。
著者
塚本 貴志 加藤 幸一郎 加藤 昭史 中野 達也 望月 祐志 福澤 薫
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.1-9, 2015 (Released:2015-03-30)
参考文献数
23
被引用文献数
26 40

フラグメント分子軌道(Fragment Molecular Orbital; FMO)法はタンパク質などの巨大分子の電子状態計算を可能にする方法であり,FMO計算によって得られるフラグメント間相互作用エネルギー(Inter Fragment Interaction Energy; IFIE)がタンパク質-リガンド間相互作用などを理解する上で有用であるため創薬研究などに用いられている.本研究ではFMO計算プログラムABINIT-MP及びそのプリポストBioStation Viewerに,IFIEを静電相互作用エネルギー(ES),交換反発エネルギー(EX),電荷移動相互作用エネルギー(CT+mix),分散エネルギー(DI)の4つのエネルギー成分に分割・解析できる機能PIEDA (Pair Interaction Energy Decomposition Analysis)を実装し,複数のタンパク質-リガンド系で実証計算を行った.その結果,ノイラミニダーゼ-オセルタミビル,EGFRチロシンキナーゼ-エルロチニブ,エストロゲン受容体-リガンド複合体の3つの系がそれぞれ異なる特徴的なタンパク質-リガンド間相互作用を持っていることが示され,IFIEを各エネルギー成分に分割して評価できるPIEDAの有用性が示された.
著者
伊藤 雅仁 篠嶋 友也 望月 祐志 秋永 宜伸 小杉 範仁
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.132-135, 2019 (Released:2019-10-30)
参考文献数
22

Transfer learning has attracted interests because of the reduction of training costs. We applied this technique to the analyses for visualized results of computational fluid dynamics (CFD) simulations on 2-dimensional wing models. The accuracy and cost reduction were addressed. Preliminary studies of generative network have been made as well.
著者
新庄 永治 奥脇 弘次 土居 英男 望月 祐志 古石 誉之 福澤 薫 米持 悦生
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.172-179, 2018 (Released:2018-12-26)
参考文献数
27
被引用文献数
6

ドラッグ・デリバリー・システムにおけるナノ微粒子設計の効率化のために,分子シミュレーションによる物性予測や原子分解能のメカニズム解明が望まれている.本研究では,散逸粒子動力学 (DPD) 法とX線小角散乱を用いて,脂質二重膜および混合脂質のベシクル形成の分子メカニズムを明らかにすることを目的として検討を行った.DPDシミュレーションに用いる相互作用パラメータは,フラグメント分子軌道 (FMO) 法を用いて高精度に算定した(FMO-DPD法).脂質二重膜形成の結果から,飽和結合のみをもつリン脂質 (DPPC) よりも不飽和結合をもつリン脂質 (DOPC) の方が,膜流動性が高いことが分かった.さらに,リン脂質と正電荷脂質を混合したベシクルの形成では,正電荷脂質の比率が増えるにつれて膜の流動性が高くなり,球から扁平球へと形状が変化することが明らかとなった.
著者
満野 仁美 中川 知樹 土居 英男 望月 祐志
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.111-112, 2018 (Released:2018-10-06)
参考文献数
4
被引用文献数
1

We have developed several Scratch-based educational programs for the students in a first-year university chemistry course. Demonstrative programs were made for chemical bonding and chemical thermodynamics. Making of such programs could be easy even for students without coding skills and be valuable for self-education as well.
著者
新庄 永治 奥脇 弘次 土居 英男 望月 祐志 古石 誉之 福澤 薫 米持 悦生
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
pp.2018-0012, (Released:2018-09-12)
参考文献数
27
被引用文献数
6

ドラッグ・デリバリー・システムにおけるナノ微粒子設計の効率化のために,分子シミュレーションによる物性予測や原子分解能のメカニズム解明が望まれている.本研究では,散逸粒子動力学 (DPD) 法とX線小角散乱を用いて,脂質二重膜および混合脂質のベシクル形成の分子メカニズムを明らかにすることを目的として検討を行った.DPDシミュレーションに用いる相互作用パラメータは,フラグメント分子軌道 (FMO) 法を用いて高精度に算定した(FMO-DPD法).脂質二重膜形成の結果から,飽和結合のみをもつリン脂質 (DPPC) よりも不飽和結合をもつリン脂質 (DOPC) の方が,膜流動性が高いことが分かった.さらに,リン脂質と正電荷脂質を混合したベシクルの形成では,正電荷脂質の比率が増えるにつれて膜の流動性が高くなり,球から扁平球へと形状が変化することが明らかとなった.
著者
佐藤 真 山高 博 古明地 勇人 望月 祐志 中野 達也
出版者
基礎有機化学会(基礎有機化学連合討論会)
雑誌
基礎有機化学討論会要旨集(基礎有機化学連合討論会予稿集)
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.2P10-2P10, 2011

水性溶媒中での<I>t</I>-BuClの加水分解反応は、求核的溶媒関与(NSA)と求電子的溶媒関与(ESA)の反応に与える影響が長年の間議論の対象となっている。本研究ではフラグメント分子軌道法と分子動力学法を組み合わせたFMO-MDを利用して、溶媒分子をあらわに含んだ液滴モデルにおける、<I>t</I>-BuClの加水分解シミュレーションを行い、反応プロファイルの作成およびNSAとESAの定量的な評価を行った。
著者
齊藤 天菜 望月 祐志 山崎 大 石村 和也
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.92-96, 2016 (Released:2016-12-18)
参考文献数
33
被引用文献数
1

Intel Xeon Phiプロセッサが科学技術計算用のメニーコアプロセッサとして注目を集めている.私たちは,高い並列性能を持つ分子軌道計算プログラムSMASHを用い,DFT計算に関して第一世代Phi (Knights Corner)上のネィティブモードで性能評価を行った.その結果,実60コアから論理120コアへ増分したマルチスレッディングの領域でも1.4倍程の加速が得られることが分かった.これは,第二世代Phi (Knights Landing)でも好ましい性能が得られると期待させるものである.