著者
園田 潤 木本 智幸
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J104-C, no.3, pp.60-66, 2021-03-01

地中レーダは,地上から入射した電波が地中の誘電率差で反射することを利用して地中物体を検出する技術であり,近年劣化が社会問題化している道路や橋梁等の社会インフラの異常検出に有効な技術である.しかしながら,地中レーダで得られるレーダ画像から地中物体の材質や大きさを推定することが課題であった.本論文では,レーダ画像からの地中モデル逆推定を目的に,深層学習による画像生成手法である敵対的生成ネットワークGANを用いたモデル逆推定手法について述べる.
著者
園田 潤 木本 智幸 金澤 靖 山本 佳士
出版者
仙台高等専門学校
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

近年、地震や豪雨などの自然災害、また道路や橋梁など社会インフラ老朽化による被害が増加しており、内部の異常箇所を迅速・高精度に検出することが求められている。数百M~数GHz帯の電波を用いる電磁波レーダは、内部の物体の有無程度は検出できるが、材質・大きさ・形状などの高度な推定や可視化はできていなかった。本研究では、近年急速に発展している人工知能技術を用いて、レーダ画像から内部構造を逆推定し、空洞や亀裂のような異常箇所を3次元可視化する新しい電磁波レーダを開発する。本研究により、地中やコンクリート内部の3次元マップを作成でき、内部物体の材質や大きさとその位置を3次元的かつ高精度に把握可能となる。
著者
園田 潤 木本 智幸
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2019年大会
巻号頁・発行日
2019-03-14

海水は導電率が高く一般的に電波は伝搬しないとされており,現在では海水中では主に超音波が利用されている.我々は東日本大震災の津波災害による海底の行方不明者やがれきを探索するために,数百MHz帯の地中レーダを用いた海底探査を試みている.本稿では,宮城県閖上広浦湾と山元町磯浜漁港および坂元沖における地中レーダによる海底探査実験について,TDR (Time Domain Reflectometry) による海水の複素比誘電率の周波数特性と,CTD (Conductivity Temperature Depth profiler) による深さ方向の導電率分布の測定結果とともに,実際の地中レーダ画像からの海底物体探査について述べ,350 MHzの地中レーダで深さ10 m程度の海底物体の反射波が受信できたことを明らかにする.また,GPUを用いたFDTD法による海水中の電波伝搬解析を行い,実験結果の妥当性を示す.
著者
杉山 幸丸 栗田 博之 松井 猛 木本 智 江川順子 順子
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement 第28回日本霊長類学会大会
巻号頁・発行日
pp.19, 2012 (Released:2013-11-01)

1960年代から1970年代前半にかけて餌付けされた野生ニホンザル(Macaca fuscata)で高頻度に奇形個体が誕生した。多いところでは新生児の40%を超えたという。高崎山でも5%に近づいた。初期には近親交配と人工餌、とくに特定国からの輸入大豆に付着した農薬がその原因として指摘されたが、特定できないままその発生頻度が減少して話題に上らなくなった。しかし減少してもゼロに帰したわけではない。最近5年間の高崎山は0.2%である。私たちは奇形発生が頂点に達した1970年代後半以降の高崎山個体群の資料を中心に、その発生頻度の変化を分析した。奇形児の発生は投与餌量と相関を示した。これは個体数増加の著しい時期とも一致する。しかし総個体数とも出産率とも相関していない。すなわち、高栄養条件で出産率が向上して奇形胎児が流死産せずに誕生したという説は必ずしも適切ではない。最終的な究明にまでは至らなかったが、投与餌が原因として残された。また、多発時にも指摘された遺伝的要因も家系集積の存在からその原因の一部として残された。奇形は雄に多く発生したが統計的な有意差には至らなかった。また多くの奇形が手足とも第4指に圧倒的に多く見られたが、その原因は不明だった。