- 著者
-
杉本 茂樹
- 出版者
- 一般社団法人 日本物理学会
- 雑誌
- 日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
- 巻号頁・発行日
- vol.68, no.8, pp.524-533, 2013-08-05 (Released:2019-10-17)
- 参考文献数
- 23
今から15年ほど前,弦理論の第二革命と呼ばれる大発展の最中に,4次元のゲージ理論と10次元のある曲がった時空における弦理論が等価になり得るという驚くべきアイデアが提案されました.このアイデアをクォーク間に働く強い力の理論である量子色力学(QCD)に適用すると,原子核の中に住むハドロンの物理を弦理論を用いて記述できるようになります.何故そんなことが言えるのか?それを利用すると何が言えるのか?弦理論,ブラックホール,余剰次元など,一見,ハドロンとは直接関係ないと思えるような様々な分野の物理が絶妙に絡んでくるので,分野外の読者にもなるべく分かりやすく解説したいと思います.