著者
杉浦 史和
出版者
Japan Association for Comparative Economic Studies
雑誌
比較経済体制学会年報 (ISSN:13484060)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.27-41,77, 2005-06-04 (Released:2009-07-31)
参考文献数
50
被引用文献数
1

市場経済への移行を図る1990年代のロシアでは深刻な未払問題に見舞われた。企業から銀行への未払は,緊縮政策,銀行監督強化,およびマクロ経済状況の悪化を背景に93年から98年にかけて増加した。ズベルバンクなど旧専門銀行系の銀行は「不良企業」への融資を継続したのに対して,新設民間銀行は企業向け融資を縮小して期限超過信用の発生を抑制した。この結果,銀行における未払は,一部に集中する結果をもたらした。
著者
杉浦 史和
出版者
Japan Association for Comparative Economic Studies
雑誌
比較経済体制学会年報 (ISSN:13484060)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.69-81,206, 2002 (Released:2009-12-03)
参考文献数
24

One of the most serious socio-economic problems in Russia has been a problem of nonpayment since 1992. The nonpayment between the government and enterprises endangered normal economic functioning in the country because the government as well as enterprises has accumulated overdue claims each other. Therefore, the pseud-settlement mechanism was formulated for facilitating daily socio-economic life, the example of which represents the triangle (non-) payment relation in providing housing utility services. Though both local government and natural monopolies haven't paid full each other, they can support the daily life of people in the region through utilizing various non-monetary means.
著者
西村 可明 田畑 理一 岩崎 一郎 雲 和広 杉浦 史和 塩原 俊彦 荒井 信雄
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

本研究の目的は,ロシアにおいて市場経済化が開始されて十年以上経過した時点で,既に市場経済が成立したといえるのかどうか,経済成長の中長期的展望はいかなるものかについて,経済学的に正確な見解を提示することにある。そのために,(1)1992年以降のロシア経済の発展動向の分析,(2)経済改革の進捗状況の分析,(3)マクロ経済の推移と展望,(4)企業・ミクロ経済制度の考察の課題に,研究分担者・協力者による共同研究を通じて応えようとするものである。我々のある程度結論的な見解は,次の通りである。すなわち,(1)ロシア経済は1992年以降外部から移植された市場経済制度にもとづく経済活動を通じて、持続的な経済成長が確保されるようになっていることから,基本的には市場経済が成立したと見なしうること,(2)その事はミクロレベルでは企業のコーポレートガバナンスの形成によっても裏付けられること,(3)但し金融市場の整備は遅れていること,(4)経済改革の動向は一義的に分明ではなく,自由経済への接近と国家資本主 義的動きとが錯綜していること,(5)ロシア経済は長期的には人口減少の問題を抱えているが,独自のイノベーションなど技術革新が無くても,先進国からの平均的技術の輸入によってキャッチアップしながら成長を続ける巨大な可能性があることの5点に要約できる。この様な見解は,我々の研究成果の中で提示されておりそれは,大別すれば,(1)ロシア・マクロ経済の発展動向と見通しに関するもの,(2)ロシアにおける経済改革の動向に関するもの,(3)ロシアにおける経済体制の現状に関するもの,(4)ロシア企業・金融機関の制度的・実証的分析にかかわるもの,(5)その他に分類することができる。