著者
佐藤 厚子 李 相潤 畠山 愛子 石田 和雄 面澤 和子 永富 良一
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.483-492, 2011 (Released:2011-11-15)
参考文献数
47
被引用文献数
1

Measuring the bioelectrical impedance (BI) is a simple and non-invasive method for estimating body fat or muscle mass. However, body impedance is affected by variations in the distribution of body fluid without reference to actual body fat or muscle mass. Twenty healthy college students (10 males, 10 females; mean age 21.0±2.3 years) participated in the study. Their mean body mass index was 20.7±2.6 kg/m2. Bipolar electrodes were place on all extremities, and InBody 3.0TM (Biospace Co., Ltd., Seoul, Korea) was used to measure bioelectrical impedance. Each subject remained in a supine position on a comfortable bed between 07:00 and 12:00 except for excretion and measurement of BI. BI was measured hourly using frequencies ranging from 5 to 500 kHz. The subjects refrained from eating, drinking and exercising between 07:00 and 12:00 during the first week of measurements, and drank 6.7 ml/kg of water at 07:00 after the first measurement of BI during a subsequent week of measurements. Bioelectrical impedance was higher in female subjects in all body segments and conditions (p<0.01). BI in the right arm was lower than that in the left in all participants (p<0.001). The difference between the highest and lowest BI among six measurements was largest in the upper extremities, followed by the lower extremities. Differences in the coefficient of variation CV values of the right arm of both females and males at 50, 250, and 500 kHz during fasting were significantly smaller than after drinking water. Hydration had no effect on the differences in the CV values of the body trunk and lower extremity BI or BI at lower frequencies. BI indicates the possibility of remarkable decrease in variation in the upper extremity BI at higher frequencies by taking 6.7 ml/kg of water at get up and enables minimizing the estimate error of body fat percentage.
著者
山下 弘二 三浦 雅史 李 相潤 吉岡 利忠
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.30, no.5, pp.273-279, 2003-08-20
被引用文献数
4 10

本研究では,除雪の作業条件と呼吸循環応答について検討した。被験者は,健康な若年者群12名(平均年齢20.5±1.0歳)と中高年者群11名(平均年齢49.2±7.8歳)であった。ショベル除雪とダンプ除雪をマイペースで行い,作業条件と呼吸循環応答の指標について,若年者群と中高年者群とで比較検討した。ショベル除雪の投雪頻度は中高年者群より若年者群の方が有意に高値であった。ショベル除雪では,酸素摂取量と一回の投雪重量とに正の相関関係を示した。ダンプ除雪では,酸素摂取量と投雪頻度とに正の相関関係を示した。ショベル除雪とダンプ除雪の運動強度は若年者群と中高年者群とで有意な差を認めなかった。しかし,相対的強度は,中高年者群の方が若年者群より有意に高値を示した。ショベル除雪の強度の平均は6.7 Mets, peak VO_2の70.7%, Anaerobic Threshold (AT)レベルであった。ダンプ除雪の強度の平均は8.3 Mets, peak VO_2の89.2%,中高年者群ではATレベルを越えていた。除雪作業中の拡張期血圧は,中高年者群の方が若年者群より有意な上昇が認められ,ダンプ除雪で顕著であった。中高年者群の除雪の強度はATレベルより大きく,特にダンプ除雪では血圧の上昇に注意が必要であった。
著者
廣瀬 美幸 森山 紋由美 鈴木 孝夫 李 相潤
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.A0231, 2008

【目的】最近、患者一人ひとりの栄養状態が極めて重要視され、栄養状態の管理・改善を院内栄養サポートチーム(Nutrition Support Team)で取り組んでいる病院もある。そこで、ラットを用いて運動と食餌・カロリー摂取量の違いが骨格筋にどのような影響を及ぼすかを比較・検討した。<BR>【方法】実験動物は生後8週齢の雄性Wistar系ラット15匹を用い、普通食自由摂取+運動負荷(CT)群、普通食制限摂取+運動負荷(LT)群、高カロリー食自由摂取+運動負荷(HT)群の3群各5匹に分けた。実験期間を通して、CT群には普通食、LT群にはCT群の餌摂取量の60%、HT群には普通食比カロリー120%、脂肪含有率332.6%の高カロリー食を与えた。その間、1日1回45分同時間帯に、最高速度25m/minのトレッドミル走行を5回/週、2週間実施した。実験終了後、対象筋である左右のヒラメ筋、足底筋、腓腹筋外側頭を摘出し、通常の方法、手順により筋線維横断面積を測定し、統計処理を行った。なお、運動負荷のない通常飼育の対照(C)群は先行研究の同週齢ラットの値を参考とした。<BR>【結果】体重:実験開始時には群間有意差は見られなかったが、実験終了時にはLT群はCT群に比較し78.1%の低値と有意差を示した。一方、CT群とHT群間には有意差は認められなかった。平均餌摂取量:HT群はCT群の摂取量の83.5%であった。筋線維横断面積:3種の筋においてCT群はC群と比較し有意の高値を示した。LT群はCT群と比較し有意の低値を示したが、C群と比較すると有意の高値を示した。HT群はヒラメ筋においてCT群と有意差が認められた。<BR>【考察】3筋の筋線維横断面積において、LT群はCT群、HT群と比較し有意の低値を示した。従って、栄養不良状態では筋萎縮が進行することが示唆された。これは、1)低栄養状態で筋内蛋白質の合成不良によること、2)筋線維横断面積は収縮の強度に関係するので、LT群は各筋の収縮の強さが飢餓の影響を受け低下したことが考えられる。一方、LT群はC群と比較すると有意の高値を示した。これはLT群は週5回の運動を実施したため、低栄養状態であっても運動負荷により筋萎縮予防、筋肥大が得られたと考えられる。<BR> 今回、足底筋と腓腹筋においてはHT群とCT群間に有意差が認められなかった。これは筋肉の主要構成成分は蛋白質であり、運動時には蛋白質の必要量が増加するが、今回与えた高カロリー食は蛋白質含有量が普通食とほぼ同じであったためと考えられる。蛋白質を多く摂取することで、より効果的に筋力増強が得られると考えられる。<BR>【まとめ】低栄養状態であっても運動負荷により筋萎縮予防、筋肥大が得られ、また蛋白質を多く摂取することにより、より効果的に筋力増強が得られると考えられる。
著者
佐藤 厚子 北宮 千秋 李 相潤 畠山 愛子 八重樫 裕幸 面澤 和子
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.318-326, 2008 (Released:2014-07-01)
参考文献数
27
被引用文献数
1

目的 育児不安を「育児ノイローゼ,育児不安,育児ストレス,育児疲労,育児葛藤などを諸要因とした Child Rearing Burnout」として捉えた。4 か月健康診査時での訪問群(訪問指導を受けた母親)と非訪問群(訪問指導を受けなかった母親)の育児不安の実態を調査し,育児不安得点を比較することを目的とした。方法 対象者は H 市保健センターの 4 か月健康診査に来所した母親169人であり,自記式質問紙による調査を行った。調査用紙は受付けで配布し,健康診査終了後にその場で回収した。配布部数は196部であった。調査用紙配布の際に本研究の目的,意義他,研究によって得られた個人情報は研究以外の目的には使用されないこと,研究者以外の者がデータを用いることはないこと,アンケートの回答は任意であることを明確に記した文書を示し,口頭で説明した。同意が得られたものを対象者とした。結果 有効回答率は86.2%であり,訪問群は92人(54.4%)であった。アンケート結果を因子分析し,育児不安因子として 5 因子22項目を抽出した。各因子を次のように命名した。第 1 因子:「気分変化の因子」(気分変化)(7 項目)第 2 因子:「身体的疲労の因子」(身体疲労)(5 項目)第 3 因子:「家族関係の因子」(家族関係)(4 項目)第 4 因子:「子育てに関する不安・心配の因子」(子育て)(3 項目)第 5 因子:「人付き合いの因子」(人付き合い)(3 項目)。訪問群・非訪問群とも「育児の協力は夫であるか」の質問に「いいえ」と回答した対象者に「子育てに失敗するのではないかと思うことがある」,「この子がうまく育つかどうか不安になることがある」,「子供のことでどうしたらよいかわからないときがある」と答えたものが有意に多かった。育児不安項目と関連していた対象者の特性は,初産婦,拡大家族,無職,30才代以降の出産であった。訪問群と非訪問群では第 1 因子(気分変化),第 2 因子(身体疲労),第 4 因子(子育て)において有意差があり,訪問群の育児不安得点が高かった。結論 訪問群は非訪問群よりも育児不安得点が有意に高く,訪問指導時に Child Rearing Burnout の内容を把握することで,継続支援が必要な母親を把握できる可能性がある。
著者
廣瀬 美幸 森山 紋由美 鈴木 孝夫 李 相潤
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A0231, 2008 (Released:2008-05-13)

【目的】最近、患者一人ひとりの栄養状態が極めて重要視され、栄養状態の管理・改善を院内栄養サポートチーム(Nutrition Support Team)で取り組んでいる病院もある。そこで、ラットを用いて運動と食餌・カロリー摂取量の違いが骨格筋にどのような影響を及ぼすかを比較・検討した。【方法】実験動物は生後8週齢の雄性Wistar系ラット15匹を用い、普通食自由摂取+運動負荷(CT)群、普通食制限摂取+運動負荷(LT)群、高カロリー食自由摂取+運動負荷(HT)群の3群各5匹に分けた。実験期間を通して、CT群には普通食、LT群にはCT群の餌摂取量の60%、HT群には普通食比カロリー120%、脂肪含有率332.6%の高カロリー食を与えた。その間、1日1回45分同時間帯に、最高速度25m/minのトレッドミル走行を5回/週、2週間実施した。実験終了後、対象筋である左右のヒラメ筋、足底筋、腓腹筋外側頭を摘出し、通常の方法、手順により筋線維横断面積を測定し、統計処理を行った。なお、運動負荷のない通常飼育の対照(C)群は先行研究の同週齢ラットの値を参考とした。【結果】体重:実験開始時には群間有意差は見られなかったが、実験終了時にはLT群はCT群に比較し78.1%の低値と有意差を示した。一方、CT群とHT群間には有意差は認められなかった。平均餌摂取量:HT群はCT群の摂取量の83.5%であった。筋線維横断面積:3種の筋においてCT群はC群と比較し有意の高値を示した。LT群はCT群と比較し有意の低値を示したが、C群と比較すると有意の高値を示した。HT群はヒラメ筋においてCT群と有意差が認められた。【考察】3筋の筋線維横断面積において、LT群はCT群、HT群と比較し有意の低値を示した。従って、栄養不良状態では筋萎縮が進行することが示唆された。これは、1)低栄養状態で筋内蛋白質の合成不良によること、2)筋線維横断面積は収縮の強度に関係するので、LT群は各筋の収縮の強さが飢餓の影響を受け低下したことが考えられる。一方、LT群はC群と比較すると有意の高値を示した。これはLT群は週5回の運動を実施したため、低栄養状態であっても運動負荷により筋萎縮予防、筋肥大が得られたと考えられる。 今回、足底筋と腓腹筋においてはHT群とCT群間に有意差が認められなかった。これは筋肉の主要構成成分は蛋白質であり、運動時には蛋白質の必要量が増加するが、今回与えた高カロリー食は蛋白質含有量が普通食とほぼ同じであったためと考えられる。蛋白質を多く摂取することで、より効果的に筋力増強が得られると考えられる。【まとめ】低栄養状態であっても運動負荷により筋萎縮予防、筋肥大が得られ、また蛋白質を多く摂取することにより、より効果的に筋力増強が得られると考えられる。