著者
村上 亜由美 上島 郁美 尾崎 由美
出版者
福井大学
雑誌
福井大学教育地域科学部紀要. 第V部, 応用科学. 家政学編 (ISSN:13456075)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.9-22, 2007-12-14
被引用文献数
2

白飯を主食とし、おかず、汁で構成される献立形式の日本型食生活は、使われる食品の数が多く、栄養のバランスがとりやすいという利点がある。食事の際には白飯、汁物、おかずを交互にまんべんなく食べていき、全てがほぼ同時に終わるようにする食べ方(以下、「三角食べ」と呼ぶ)が伝統的である。しかし、最近では低年齢層を中心に、白飯やおかずを一品ずつ食べ、一つを食べ終わったら次のものを食べるという食べ方(以下、「ばっかり食べ」と呼ぶ)が増えてきている。三角食べは、白飯とおかずを口の中に一緒に入れて食べることにより、無意識のうちに口の中で味を調整する働き(以下、「口中調味」と呼ぶ)がある。三角食べをしない、またはできない理由の一つには、口の中で味が混ざるのを好まないことが挙げられる。つまり、口中調味による複雑な味を好まないことによるばっかり食べを続けることで、味への受容を狭くする可能性があり、食品の好き嫌いや偏食が多くなることが考えられる。これまでに、白飯とおかずの食べ方に関する研究はあまりみられない。5年ごとに行われている児童生徒の食生活等実態調査1)では、平成17年度調査において初めて、「児童生徒が食事中に気をつけていること」の項目として「ご飯とおかずをかわるがわる食べる」が加えられているが、「家で食事をするときに家族に注意されること」や「学級担任の学校給食における指導」の項目には挙がっていないことから、指導の観点としては重視されていないようである。
著者
佐藤 真実 村上 亜由美 岸松 静代 谷 洋子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.17, pp.159, 2005

<br>【目的】福井県における魚介類の利用状況と調理について調査を行い,とくに県内で使用される地方独特の魚の種類や行事などに利用する魚の調理方法について明らかにすることを試みた。<BR>【方法】越前(海岸部,主に漁業)10名,奥越(山間部,主に農業)10名,坂井(海に面した平野部,農業と漁業)11名,福井(地方都市)12名,嶺南(海岸部,漁業と商業)9名の5地域,計52名の20歳代から70歳代の居住者を対象に,アンケート調査及び聞き取り調査を行った。とくに地方独特の魚の種類や調理方法についてまとめ,写真撮影を行った。<BR>【結果】福井県で食べられる地方独特の魚の種類としては,みずべこ,がまえび,みずだこ,せいこがになどがある。みずべこはかに漁の底引き網にかかる深海魚であるが,吸い物や味噌汁に,がまえびは味が甘えびに類似しており刺身やフライに,みずだこは刺身に,せいこがにはゆでて卵やかにみそをそのまま食べる。行事などで食べられる地方独特の調理法としては,まさばの丸焼き(越前や嶺南では浜焼き鯖,奥越では半夏生の鯖と呼ばれる),へしこ(さばやいわしの糠漬け),まがれいの塩焼き(天神講に食べられる),身欠きにしんの昆布巻き(正月,盆,祭りに食べられる),にしんの麹漬け(12月から正月にかけて食べられる),だだみ(たらの精巣)の味噌汁,かつお節をもりつける雑煮などがみられた。
著者
内田 三香子 村上 亜由美 松浦 寿喜 市川 富夫
出版者
武庫川女子大学
雑誌
武庫川女子大学紀要. 自然科学編 (ISSN:09163123)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.35-41, 1996
被引用文献数
2

本研究は,生体内酵素においての水解活性が極めて低いとされるトレハロースに注目し,ラットのカルシウム吸収に及ぼす影響を検討した.1)in vitroでのラット小腸アセトン粉末による糖の消化分解性を検討した.37℃3時間反応ではトレハロースはシュクロース同様,殆どが消化分解された.ラクトースでは15%しか消化されなかった.2)5週齢SD系雄ラットを1群6匹の3群に分け,15%シュクロース飼料,15%ラクトース飼料,15%トレハロース飼料でそれぞれ23日間飼育後解剖した.飼育期間中に2回の出納実験を行い,カルシウム吸収に及ぼす影響を検討した.解剖時には臓器および大腿骨を摘出し,盲腸については盲腸内pHおよび盲腸内揮発性脂肪酸量を定量し,大腿骨についてはカルシウム含有量を測定した.(1)カルシウム吸収率ならびに体内保留率はラクトース群で有意に高くなり,トレハロースによる影響は見られなかった.(2)ラクトース群はシュクロース群,トレハロース群よりも2倍以上もの盲腸重量を産出した.また,ラクトース群は盲腸内pHを有意に低下させ,揮発性脂肪酸量は有意に高値を示した.トレハロースはシュクロース同様,差は見られなかった.以上から,トレハロースは小腸内で殆どが消化分解された可能性があり,カルシウム吸収には影響を及ぼさなかったと考えられる.