著者
村山 幸子 小林 江里香 倉岡 正高 野中 久美子 安永 正史 田中 元基 根本 裕太 松永 博子 村山 陽 村山 洋史 藤原 佳典
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.151-160, 2022-02-02 (Released:2022-02-02)
参考文献数
23
被引用文献数
3

世代継承性は元来中年期の心理社会的課題とされてきたが,近年は高齢期の課題としても注目されている。本研究は,高齢期の世代継承性を多元的かつ簡便に測定できる改訂版世代継承性尺度(以下,JGS-R)を作成し,その信頼性と妥当性を検討した。日本語版Generativity尺度(大場他,2013)をもとにJGS-Rの項目を作成し,都市部在住高齢者1,393名に質問紙調査を行った。探索的因子分析の結果,「世代継承的行動」,「世代継承的関心」,「世代継承的達成感」という3因子が抽出され,確認的因子分析により因子妥当性が確認された。この3因子をもとに作成した下位尺度は,いずれも高い内的整合性が認められた。さらに,JGS-Rの各下位尺度得点は他世代との会話頻度,他世代への手段的・情緒的サポートの提供頻度,および地域における子育て支援行動と正の相関関係にあり,このことから尺度の基準関連妥当性が認められた。
著者
村山 陽
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.1-10, 2009

This study aimed to investigate the effect of exchanges with aged persons on children. In all, 381 upper graders at an elementary school completed the questionnaires. The nature of an exchange with aged persons was measured by the interaction frequency and the diversity of interaction with the aged persons. The results indicated that the effect of the exchange with the aged person was determined by physical proximity, the attribution of the aged person, and the gender of the child. At the same time, these exchanges influenced the development of emotional responses, interpersonal perceptions, and behaviors. For example, the lengths of exchange and the diversity of conversations with aged persons affected the empathy of children, which in turn influenced their helpfulness toward the aged persons. It highlighted the efficacy of intergenerational exchange for children of the present generation who have no contact with aged persons in daily life.
著者
高橋 知也 村山 陽 山﨑 幸子 長谷部 雅美 山口 淳 小林 江里香
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集 日本心理学会第85回大会 (ISSN:24337609)
巻号頁・発行日
pp.PC-160, 2021 (Released:2022-03-30)

社会的孤立には健康リスクがあることが示されており,特に中高齢者では孤立死のリスクにもなり得るが,「周囲からの孤立」の認識に着目した研究は乏しい。そこで,単身中高齢者において主観的な孤立を感じやすい者の特徴を検討した。方法:東京都A区の台帳上の単身者50-70代から無作為抽出した4000名に郵送調査を実施し(有効票1829),実際は同居人がいる者や分析項目に欠損のある者を除く1290名を分析対象とした。分析項目は周囲からの主観的な孤立感尺度(1因子4項目,4-16点,点数が高いほど孤立を感じやすい)(高橋ら,2020),基本属性(性別・年代・暮らし向き等5項目),主観的健康感,精神的健康度,客観的な社会的孤立(別居親族や友人との接触頻度),外出頻度,参加グループの有無,相談相手の有無とし,主観的な孤立感を従属変数,その他を独立変数とする重回帰分析を行った。結果:暮らし向き,主観的健康感,精神的健康度が良好でない単身中高齢者は周囲からの主観的な孤立感を深めやすいことが示唆された。他方,客観指標に基づく社会的孤立や参加グループおよび相談相手の有無等との間に有意な関連はみられなかった。
著者
原田 謙 小林 江里香 深谷 太郎 村山 陽 高橋 知也 藤原 佳典
出版者
日本老年社会科学会
雑誌
老年社会科学 (ISSN:03882446)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.28-37, 2019-04-20 (Released:2020-04-20)
参考文献数
31

高齢者に対するエイジズム研究は,国内外において蓄積されてきた.しかし「もうひとつのエイジズム」とよぶべき,若年者に対する否定的態度に関する研究は乏しい.本研究は,地域と職場における世代間関係に着目して,高齢者の若年者に対する否定的態度に関連する要因を検討することを目的とした.データは,無作為抽出された首都圏の60〜69歳の男女813人から得た.分析の結果,以下の知見が得られた. ①若年者との接触頻度が低い者ほど,若年者を嫌悪・回避する傾向がみられた. ②高齢者の生活満足度は若年者に対する否定的態度と関連していなかった.ただし職場満足度が低い者ほど若年者を嫌悪・回避する傾向がみられた. ③世代性の得点が低い者ほど若年者を嫌悪・回避する傾向がみられた.一方,世代性の得点が高い者ほど若年者を誹謗するという,アンビバレントな態度が示された. ④職場でエイジズムを経験している者ほど,若年者を誹謗していた.