著者
荒木 英人 村川 正宏 小林 匠 樋口 哲也 久保田 一 大津 展之
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.19, pp.73-76, 2009-02-26

多チャンネルの時系列データからの異常検知は,時系列データ源の状態や変化を検知する上で重要である.そこで我々は多チャンネルの時系列データから高次局所相関に基づいた特徴量を抽出し,抽出した特徴量より異常の検知を行う.普段頻繁に得られるデータを正常パターンとして,主成分分析を行うことでそのパターンの成す正常部分空間を抽出する.得られた空間からの逸脱度を異常値として定義し,この値の多寡で異常を検知する.本手法の性能評価のため,心電図データを対象として,異常検知性能の評価量にF値を用い,従来手法と比較した.その結果,提案手法の優位性を示すことができた.Abnormality detection in multi-channel time-series data is important for detecting and understanding changes of states in the source of the data. We propose a method for automatically detecting abnormality by using correlation-based features of multi-channel time-series data. In general, the feature vectors for normal patterns, which occur frequently in time-series, form the low-dimensional subspace in the feature space. The proposed method exploit the subspace by PCA and defines the abnormality as deviation from the subspace. In the experiment of abnormality detection in electrocardiogram, the proposed method outperformed conventional methods in terms of F-measure.
著者
諏佐 達也 村川正宏 高橋 栄一 古谷 立美 樋口 哲也 古市 愼治 上田 佳孝 和田 淳
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌数理モデル化と応用(TOM) (ISSN:18827780)
巻号頁・発行日
vol.48, no.15, pp.78-87, 2007-10-15
被引用文献数
1

製造ばらつきにより発生するクロック・スキューの問題を解決するための手法として,遺伝的アルゴリズムを用いたディジタル LSI の製造後クロック調整技術が提案されている.しかし,大規模な LSI の調整では,調整箇所が増大するため,調整時間が増加するという問題がある.そこで,本研究では,大規模ディジタル LSI にも適用可能な製造後クロック調整の高速化手法を提案する.提案手法では,LSI 設計時に行う STA(Static Timing Analysis)の結果を用いて調整箇所を限定し,調整時間を短縮する.それに加えて,遺伝的アルゴリズムの初期集団の分布を工夫することで,さらに調整時間を短縮する.さらに,これらの手法による調整効果を LSI の設計時に検証できるようにするための調整シミュレータを開発した.このシミュレータを用いた調整実験の結果,1 031 カ所のフリップフロップが存在する実用的な回路において,数秒という現実的な時間で調整が完了できる見込みを得た.To solve the problem of fluctuations in clock timing with large scale digital LSIs (also known as the "clock skew" problem), the post-fabrication clock-timing adjustment technique using a genetic algorithm (GA) has been proposed. However, the adjustment time increases incurred when more programmable delay circuits are incorporated within large-scale LSIs is a serious issue. For this problem, we propose a post-fabrication clock adjustment method to realize practical applications. This method reduces the adjustment time by reducing adjustment points utilizing results of static timing analysis (STA) and adopting improved distribution for initial population of GA. Moreover, we have developed an adjustment simulator to predict the adjustment results by the proposed method in design stages of LSIs. Adjustment experiments using the developed simulator demonstrate that our method can adjust practical LSIs with 1,031 flip-flops within a few seconds.
著者
秋山陽平 河西勇二 岩田昌也 高橋栄一 佐藤文明 村川正宏
雑誌
マルチメディア、分散協調とモバイルシンポジウム2013論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, pp.945-952, 2013-07-03

太陽光電池パネルの寿命は一般的に20年といわれているが、工業製品である以上一定の確率で故障が発生する。しかし、現状での太陽光発電システムでは、パネル単位での異常を検出することが難しい。そのため、パネルの異常を抱えたまま太陽光発電システムが運用され、期待する発電量に達しないケースが発生している。このため、太陽光電池パネルの価格上昇や通信工事費用増加を招くことのない異常検出システムの研究開発が急務である。これまでに、産業技術総合研究所では直流電力線を利用した独自の電力線通信方式を用いて、パネル毎にデータ通信装置子機を実装し、発電情報の状態モニタリングを可能としている。今回我々は、データ通信装置子機において計測された膨大な発電情報をネットワーク上の仮想データベースであるクラウドサーバ上に集約・蓄積させることで、ブラウザ上でパネル単位での発電状況を逐一観測可能な状態モニタリングと早期に異常を検知する異常検知システムを開発した。さらに、一枚のパネルを遮光することにより擬似的に異常パネルを作成し、開発したシステムを用いて評価実験を行った。
著者
村田 信治 野里 博和 古谷 立美 村川 正宏
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.272-281, 2008-04-15
参考文献数
9

本論文では,過去の探索履歴から探索点までの距離に基づく加重平均を導入した確率的二分探索法を提案し,レーザシステムの光軸の位置と角度の多目的調整に適用して調整時間の大幅な短縮と調整精度の向上を図り,この効果を定量的に評価する.本研究において,確率的二分探索法を用いることで調整時間の大幅な短縮が可能になり,加重平均値を調整手法の評価値に用いることによりノイズの影響を軽減した調整が可能になる.提案手法を用いた調整実験の結果,調整時間を従来の3 時間から 12 分へと大幅に削減した上で,ノイズの影響を軽減した精度の高い光軸の位置と角度の同時多目的自動調整を実現した.