著者
久保田 一雄 白倉 卓夫 大類 十三雄 村谷 貢 真木 俊次 田村 遵一 森田 豊穂
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.509-514, 1991-07-30 (Released:2009-11-24)
参考文献数
11
被引用文献数
5 20

我々は次の二つの課題を明らかにする目的で, 20歳から99歳までの2,231名 (男性1,295名, 女性936名) の血球測定値と血清総蛋白 (TP), 総コレステロール (TC), 及び中性脂肪 (TG) 測定値を分析した. (1) 白倉らの1978年の報告以来約10年が経過し, その間に日本人の食生活はさらに改善され, 平均寿命も延長した. そのような改善が老年者の血球測定値に何らかの影響を及ぼしているのだろうか? (2) 日常生活の質, 例えば老人ホームではなくて, 在宅であるとか, 就労しているとか, 旅行もするとかなど, が老年者の血球測定値に影響を及ぼすことが指摘されている. 60歳未満の青壮年者と上述したような質の高い生活をしている60歳以上の老年者とで, 血球の測定値に差異があるのだろうか? 結果は, ヘモグロビン濃度, 赤血球数, ヘマトクリット値のいずれも, 男性では50歳代から, 女性では60歳代から低下し始め, その変化は加齢に伴い, かつ男性でより顕著であった. 白血球数, 血小板数も加齢とともに低下傾向を示した. TP, TC, TGも60歳以上の老年者で加齢に伴って低下した. これらの成績から, 老年者では加齢に伴ってヘモグロビン濃度, 赤血球数, ヘマトクリット値のいずれも低下することが確認され, その原因の一つとして摂取蛋白の低下が推定された.
著者
久保田 一男
出版者
社団法人日本動物学会
雑誌
動物学雑誌 (ISSN:00445118)
巻号頁・発行日
vol.24, no.280, pp.97-98, 1912-03-15
著者
椿 美智子 小林 高広 久保田 一樹
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 : 日本教育情報学会学会誌 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.15-27, 2010-03-25

品質を改善するために,様々な分野で伝統的にPDCAサイクルが用いられており,さらにスピードが要求される現代においては,チェックから始めるCAPDサイクルによって質・効率を上げる場合があることが示され始めている.一方で現在,教育問題においても学習の質・効率を非常に求めるようになってきている.本研究では,学習型PDCAあるいはCAPDサイクルを用いることによって,自分で学習テーマを決め,目標を決め,自分の実力を考慮した上で,目標にどのようにしたら近づくかの方法論を考えており,この構造が効率よく実力を伸ばすことに効果を上げている.本研究では,この効率よく伸びるサイクルとは,どのようなサイクルかを詳細に分析した成果を示している.
著者
荒木 英人 村川 正宏 小林 匠 樋口 哲也 久保田 一 大津 展之
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.19, pp.73-76, 2009-02-26

多チャンネルの時系列データからの異常検知は,時系列データ源の状態や変化を検知する上で重要である.そこで我々は多チャンネルの時系列データから高次局所相関に基づいた特徴量を抽出し,抽出した特徴量より異常の検知を行う.普段頻繁に得られるデータを正常パターンとして,主成分分析を行うことでそのパターンの成す正常部分空間を抽出する.得られた空間からの逸脱度を異常値として定義し,この値の多寡で異常を検知する.本手法の性能評価のため,心電図データを対象として,異常検知性能の評価量にF値を用い,従来手法と比較した.その結果,提案手法の優位性を示すことができた.Abnormality detection in multi-channel time-series data is important for detecting and understanding changes of states in the source of the data. We propose a method for automatically detecting abnormality by using correlation-based features of multi-channel time-series data. In general, the feature vectors for normal patterns, which occur frequently in time-series, form the low-dimensional subspace in the feature space. The proposed method exploit the subspace by PCA and defines the abnormality as deviation from the subspace. In the experiment of abnormality detection in electrocardiogram, the proposed method outperformed conventional methods in terms of F-measure.
著者
久保田 一雄 倉林 均 田村 耕成 田村 遵一
出版者
一般社団法人 日本温泉気候物理医学会
雑誌
日本温泉気候物理医学会雑誌 (ISSN:00290343)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.71-79, 1999 (Released:2010-04-30)
参考文献数
23
被引用文献数
1

From June 1990 to October 1998, 100 patients with adult-type atopic dermatitis (59 males and 41 females, 25±8 years) were admitted to our hospital to receive balneotherapy using Kusatsu hot-spring water. The atopic dermatitis in all but 9 cases occurred while the patients were still under 20 and had been refractory to various treatments including steroid ointment therapy over a long period of time. The patients took a 10-minute 40-42°C hot-spring bath followed by immediate application of white petrolatum 1-2 times daily for 75±46 days. The main components of the hot-spring water are aluminium, sulphates and chlorides, and its pH is 2.0. The skin symptoms of 79 of 100 cases (79%) were improved through the balneotherapy and furthermore pruritus was improved in 55 of the 79 cases (70%). The improvement of skin manifestations was supported by a significant decrease in serum LDH levels. In contrast, pruritus was not improved in the remaining 21 cases who showed no changes in skin symptoms and serum LDH levels. Moreover, changes in the number of Staphylococcus aureus on the skin surface were examined before and after balneotherapy. In the 69 cases examined whose skin symptoms were improved, many Staphylococci aureus were detected in 52 of the cases but not in the other 17 cases before starting balneotherapy. They disappeared in 24 cases and decreased in 18 cases of the 52 cases, but were not changed in the remaining 10 cases through the balneotherapy. On the other hand, the number of Staphylococcus aureus on the skin surface was not changed in 11 of the 14 cases examined whose skin symptoms were not improved. Our previous study reported that bactericidal activity against Staphylococcus aureus is expressed by the co-existence of manganese and iodide ions contained in the hot-spring water under an acidic (pH 2.0-3.0) condition. Thus, the mechanisms of the improvement of skin manifestations through the balneotherapy may be explained by considering bactericidal activity of Kusatsu hot-spring water against Staphylococcus aureus inducing acute flares of skin manifestations. Therefore, balneotherapy at Kusatsu can be useful for the treatment of refractory cases of adult-type atopic dermatitis as a suitable method of skin care.
著者
久保田 一雄 町田 泉 田村 耕成 倉林 均 白倉 卓夫
出版者
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
雑誌
リハビリテーション医学 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.40-45, 1997-01-18 (Released:2009-10-28)
参考文献数
23
被引用文献数
2

平成2年6月からの5年間に46例のアトピー性皮膚炎患者(男性31例,女性15例,25±11歳)に対して,草津温泉療法(40~42℃,1回10分,1日1~2回)を3~28週行った.その泉質は酸性(pH2.0)-アルミニウム-硫酸塩・塩化物温泉である.32例(70%)で皮膚症状が改善し,さらにそのうち18例で掻痒も改善した.皮膚症状の改善は血清LDHの有意な低下でも裏付けられた.皮膚症状改善例のうち,温泉療法前に皮膚表面に多数の黄色ぶどう球菌が検出された15例では,温泉療法後に13例で消失,2例で減少した.この草津温泉療法による皮膚症状の改善機序として,皮膚病変の増悪因子である黄色ぶどう球菌に対する酸性温泉水の殺菌作用が推定される.
著者
久保田 一雄 田村 耕成 武 仁 倉林 均 白倉 卓夫
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.23-29, 1997-01-25 (Released:2009-11-24)
参考文献数
23
被引用文献数
8 7

平成元年1月から同7年6月までの6年6カ月間に当院に入院した急性心筋梗塞患者31例 (旅行者15例, 草津在住者16例) 及び脳梗塞患者40例 (旅行者15例, 草津在住者25例) について, その発症における温泉浴の関与を検討した. 発症前24時間以内に温泉浴を行った急性心筋梗塞患者15例 (旅行者9例, 草津在住者6例) 中12例 (旅行者6例, 草津在住者6例) は温泉浴開始後3時間以内の発症, その内8例 (旅行者4例, 草津在住者4例) は1時間以内の発症であった. また, 発症前24時間以内に温泉浴を行った脳梗塞患者27例 (旅行者11例, 草津在住者16例) 中15例 (旅行者9例, 草津在住者6例) は温泉浴開始後3時間以内の発症, その内10例 (旅行者6例, 草津在住者4例) は1時間以内の発症であった. なお, 入浴中の発症は急性心筋梗塞2例 (旅行者1例, 草津在住者1例), 脳梗塞2例 (旅行者1例, 草津在住者1例) であった. 急性心筋梗塞の時刻別発症頻度と温泉浴開始後発症までの時間には旅行者と草津在住者で大きな差異は見られなかった. 脳梗塞の時刻別発症頻度は旅行者で6時から12時まで, 草津在住者で18時から24時までの時間帯でやや少ない傾向が認められ, 温泉浴開始後発症までの時間は草津在住者で3時間以上が多かった. ほとんどの症例で1~4の危険因子 (高血圧症, 高脂血症, 高尿酸血症, 糖尿病, 喫煙, その他の既往疾患) が認められたが, 旅行者と草津在住者, 温泉浴の有無の比較では明らかな差異は見られなかった. 温泉浴開始後短時間内にこれら血栓性疾患が発症する要因として, 血圧, 心拍数, 血液粘度, 線溶活性並びに血小板機能などの一過性の変化が推定される. また, 私達は既に20時の温泉浴が夜間の血圧をより低下させ, さらに翌早朝の血液粘度の上昇をより急激にすることを報告したが, 真夜中や午前中の発症にはそのような機序の関与も考えられる.
著者
久保田 一雄 田村 耕成 倉林 均 武 仁 白倉 卓夫 田村 遵一
出版者
一般社団法人 日本温泉気候物理医学会
雑誌
日本温泉気候物理医学会雑誌 (ISSN:00290343)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.61-68, 1997 (Released:2010-04-30)
参考文献数
18
被引用文献数
1

To clarify possible involvement of hot spring bathing in the occurrence of acute myocardial infarction and cerebral infarction at Kusatsu, its effects on blood pressure, heart rate, plasma cortisol and hematocrit were examined in 9 healthy young men. Abrupt increase in systolic blood pressure was observed immediately after starting a 3-minute 47°C or a 10-minute 42°C hot-spring bath. Both systolic and diastolic blood pressure were abruptly decreased one minute after completing either 47°C or 42°C bathing. The heart rate was increased gradually after the start of either 47°C or 42°C bathing and was decreased gradually after the completion of either 47°C or 42°C bathing. It was considered that the plasma Cortisol level was increased 15 minutes after starting 47°C bathing and the hematocrit was increased 15 minutes after starting 42°C bathing. We have already reported that fibrinolytic activity was decreased and platelet function was activated by 47°C bathing. Taken together, it is suggested that the mechanism of the occurrence of thrombotic diseases after hot spring bathing may be explained by considering transient changes in blood pressure, heart rate, blood viscosity, fibrinolytic activity and platelet function induced by hyperthermal stress.
著者
石塚 智子 藤森 いづみ 吉ヶ江 泰志 久保田 一石 Veronika ROZEHNAL 村山 宣之 泉 高司
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
vol.41, pp.S20-3, 2014

活性を有する親化合物の化学修飾によりADME特性の改善や毒性の軽減を可能とするプロドラッグ化では、活性体を生成する代謝活性化酵素の理解がプロドラッグの薬効や安全な臨床使用に重要な意味を持つ。代謝活性化酵素の個体差や薬物間相互作用による活性低下は薬効の減弱あるいは欠落を招き、さらにはプロドラッグ体の曝露上昇による予期せぬ毒性発現を引き起こす可能性がある。<br>演者らは、プロドラッグタイプのアンジオテンシン受容体拮抗薬であるオルメサルタンメドキソミル(OM)の代謝活性化酵素として、当時機能未知であったヒト加水分解酵素カルボキシメチレンブテノリダーゼ(CMBL)を同定した(Ishizuka et al., J Biol Chem 285:11892-11902, 2010)。哺乳類細胞に発現させたヒトCMBLは、代表的な加水分解酵素であるカルボキシルエステラーゼやコリンエステラーゼと異なる基質特異性や阻害剤感受性を示した。本発表では、CMBLのヒト肝臓および小腸中の個体差や非臨床試験動物の選択に重要な種差など、基礎的な酵素特性を併せて紹介する(Ishizuka et al., Drug Metab Dispos 41:1156-1162, 2013; 41:1888-1895, 2013)。ヒト小腸サイトソルのin vitro代謝クリアランスから、経口投与されたOMは吸収過程でそのほとんどが小腸CMBLにより活性体に変換されると考えられる。小腸で代謝活性化を受けるプロドラッグには、代謝活性化の副産物であるプロドラッグフラグメント(OMではジアセチル及びその代謝物が生成する)の循環血中での不要な曝露を避けられるという利点がある。加えて、ヒト血漿中の酵素パラオキソナーゼ1も非常に高いOM加水分解活性を有しており、このプロドラッグの完全な代謝活性化に寄与している。複数の酵素の関与により、いずれかの酵素に活性変動があったとしてもOMの代謝活性化は大きく影響を受けないものと考えられた。
著者
田村 耕成 久保田 一雄 倉林 均
出版者
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
雑誌
リハビリテーション医学 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.34-37, 2001-01-18 (Released:2009-10-28)
参考文献数
10

水治療の対象者は血栓性疾患の危険因子を有する場合が多い.水浴と血栓性疾患との関連性を研究する目的で,入浴負荷可能な健常成人男性10例を対象として40℃20分浴と42℃10分浴の血小板および凝固線溶系に及ぼす影響を検討した.40℃20分浴では組織プラスミノーゲン活性化因子抗原(tPA)が増加し,プラスミノーゲン活性化因子インヒビターI抗原(PAI-I)が減少する傾向が,42℃10分浴ではHt,tPA,PAI-Iが増加する傾向が見られたが有意な差ではなかった.血小板に対する影響はなかった.以上の成績から40~42℃の水温による水治療は血小板および凝固線溶系には影響を与えないと考えられた.
著者
久保田 一雄 町田 泉 田村 耕成 倉林 均 白倉 卓夫
出版者
リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.40-45, 1997-01-18
参考文献数
23
被引用文献数
2

平成2年6月からの5年間に46例のアトピー性皮膚炎患者(男性31例, 女性15例, 25±11歳)に対して, 草津温泉療法(40~42℃, 1回10分, 1日1~2回)を3~28週行った。その泉質は酸性(pH2.0)-アルミニウム-硫酸塩・塩化物温泉である。32例(70%)で皮層症状が改善し, さらにそのうち18例で掻痒も改善した。皮膚症状の改善は血清LDHの有意な低下でも裏付けられた。皮膚症状改善例のうち, 温泉療法前に皮層表面に多数の黄色ぶどう球菌が検出された15例では, 温泉療法後に13例で消失, 2例で減少した。この草津温泉療法による皮層症状の改善機序として, 皮膚病変の増悪因子である黄色ぶどう球菌に対する酸性温泉水の殺菌作用が推定される。