著者
杉山 悟 東 信良 孟 真 保田 知生 市来 正隆 佐久田 斉 松原 忍 八杉 巧 山田 典一 三井 信介 八巻 隆 岩田 博英 坂田 雅宏 佐戸川 弘之 菅野 範英 西部 俊哉
出版者
日本静脈学会
雑誌
静脈学 (ISSN:09157395)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.403-409, 2014 (Released:2014-11-25)
参考文献数
6
被引用文献数
7 2

要約:全国的には今まで十分な調査が行われていていなかった弾性ストッキングの使用状況と合併症の実態について,本学会の弾性ストッキング・コンダクター養成委員会とサーベイ委員会により調査を行った.192 施設からの有効回答があり,重大な合併症として,神経障害6 施設,潰瘍形成20 施設,下腿切断1 施設(心不全合併),肺塞栓2 施設,合計で28 施設(15%)からの報告があった.弾性ストッキングの適切な使用のためには,正しい理解の広い啓蒙が必要である.患者に対し圧迫療法を適切に指導するために,日本静脈学会が資格として認定しているストッキング・コンダクターの有資格者を中心とした医療スタッフによる適切な指導と経過観察が重要である.
著者
山本 晃士 山口 充 澤野 誠 松田 真輝 阿南 昌弘 井口 浩一 杉山 悟
出版者
一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
雑誌
日本輸血細胞治療学会誌 (ISSN:18813011)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.135-139, 2017-04-20 (Released:2017-05-11)
参考文献数
22
被引用文献数
1 1

背景と目的:外傷患者の急性期には凝固障害を認めることが多く,その程度は患者の生命予後を左右する.当院の高度救命救急センターでは,外傷患者の凝固障害,特に高度な低フィブリノゲン血症をすみやかに改善させる目的で,積極的にフィブリノゲン製剤の投与を行ってきた.その治療の実際と,同製剤の投与群と非投与群間で行った輸血量および生命予後の比較検討(症例対照研究)結果を報告する.方法:フィブリノゲン製剤投与の有無および投与基準の違いによって症例を3群に分けた.A群,フィブリノゲン製剤未使用;B群,受診時のフィブリノゲン値と外傷重症度を見た上でフィブリノゲン製剤3gを投与;C群,患者搬送前の情報(外傷重症度,出血状況)から判断し,搬送時ただちにフィブリノゲン製剤3gを投与.外傷重症度スコア≧26の症例における輸血量および生命予後について3群間で比較検討を行った.結果:3群間の輸血量には有意差を認めなかった.受診30日後の総生存率(搬送時の心肺停止症例を除く)はC群で有意に高く(p<0.05),搬送後48時間以内の急性期死亡率はC群で有意に低かった(p=0.005).さらに,きわめて重篤とされる外傷重症度スコア≧41群での死亡率も,C群で有意に低かった(p=0.02).結論:重症外傷症例においては,フィブリノゲン製剤の先制投与が急性期死亡率の低下に貢献し,結果として高い生存退院率をもたらす可能性が示唆された.
著者
森 貴裕 佐野 正弥 杉山 悟 吉原 四方 寺邑恵 里香 門馬 牧子 水上 創 中原 史雄 羽田野 敦子 藤澤 美亜 小池 潤 鈴木 孝良 松嶋 成志 鈴木 秀和
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
雑誌
Progress of Digestive Endoscopy (ISSN:13489844)
巻号頁・発行日
vol.97, no.1, pp.73-75, 2020-12-18 (Released:2021-01-08)
参考文献数
5

A 22-year-old woman who had abdominal pain and diarrhea from 5 days ago got a CT scan in the hospital of origin and had a tumor about 5 cm in the stomach and bleeding. Upper gastrointestinal endoscopy revealed a large gastric submucosal tumor in pylorus. We considered it a malignant gastric submucosal tumor, and performed surgery, it was diagnosed as gastric plexiform fibromyxoma. Gastric plexiform fibromyxoma is a rare gastric mesenchymal tumor first reported by Takahashi et al. in 2007. Gastric plexiform fibromyxoma usually causes nonspecific symptoms of bleeding signs and is often operated on for that reason. However, surprisingly, plexiform fibromyxoma is a benign tumor with no reports of metastasis or recurrence.
著者
大谷 真二 清水 康廣 杉山 悟 宮出 喜生
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.66, no.8, pp.1960-1963, 2005
被引用文献数
9 7

症例は82歳,男性.腹部膨満,腹痛を主訴に外来受診した.頻回の開腹歴と問診から食餌性イレウスを疑い,入院後に保存的治療を開始した.腹部CT所見および腫瘍マーカーから肝転移を伴う進行大腸癌による腫瘍性イレウスと診断して手術を行った.手術所見では回盲弁付近の盲腸と肝彎曲のやや口側の上行結腸にそれぞれ4cm大の腫瘤を触れ, D2郭清を伴う結腸右半切除術を施行した.切除標本では上行結腸に全周性の腫瘍と盲腸に柿の種子5個を認めた.経過は良好で,術後26日目に退院となった.柿の種子はCTでは三日月状から楕円状の高吸収域として認めるが,本症例は柿の種子が誘因となって発症した大腸癌イレウスであった.本邦で食餌が原因となった腫瘍性イレウスの報告はほとんどされていないが,柿の種子もイレウスの原因となることがあり,詳細な問診とCTによる診断が有用であると考えられた.