著者
松井 康輔 宮内 拓史 木村 穣 海堀 昌樹
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.301-305, 2018-12-15 (Released:2019-02-01)
参考文献数
10

外科手術後における身体活動性の早期回復を目指すには,運動療法のみならず運動直後の栄養摂取を含めた栄養管理を併用するリハビリテーション栄養の取り組みが重要である.当院では肝癌患者に対し,健康運動指導士が個々にあった運動プログラムを提供し,積極的に身体を動かすことにより,術後の体力回復をより早期に改善することで体力維持を可能とさせる研究を行ってきた.そこで,障害肝を併存している肝癌患者を対象にBCAA製剤投与運動療法群(n=25),および術前後運動療法および栄養指導運動群(n=25),術前後栄養指導のみの対照群(n=26)の3群に分類し運動療法の有効性を検討したところ,障害肝合併の肝細胞癌患者に対して術前術後6ヵ月間の運動療法およびBCAA製剤投与により脂肪量の減少による体重の減少,またインスリン抵抗の改善効果を認めたものの,骨格筋量には影響を示さなかった.肝臓疾患患者に対しては日常安静重視ではなく,逆に積極的な運動療法を推奨するべきであると考える.
著者
西岡 和久 松井 康人 木村 寛之 佐治 英郎 米田 稔
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.I_67-I_72, 2013 (Released:2014-01-21)
参考文献数
9

本研究では,肺胞上皮に沈着したナノ粒子がどれだけ上皮内に取り込まれるのかについて,ヒトII型肺胞上皮細胞(A549)と修飾基の異なる3種類(カルボキシ修飾,アミノ修飾,修飾基なし)の蛍光ナノ粒子を用いて,「表面修飾」,及び「表面電位」に着目し,共焦点レーザー走査型顕微鏡によるイメージング,およびフローサイトメーターによる粒子を取り込んだ細胞数の定量を行った.その結果,表面電位と細胞への取り込み量の依存性に関しては明らかにできなかったものの,曝露時間が長い程取り込み量は増加し,特にカルボキシ修飾粒子で顕著であった.
著者
海堀 昌樹 松井 康輔 斎藤 隆道 岩本 慈能 吉岡 和彦 上山 泰男
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.41, no.8, pp.1655-1660, 2008-08-01
被引用文献数
2

症例は53歳の女性で,2006年3月大腸癌術後両葉多発性転移性肝癌にて当科入院となった.患者はエホバの証人であり,教義上の理由により同種血輸血やアルブミン製剤使用は拒否された.転移性肝癌5か所に対して肝切除術を行った.手術時は術前希釈式自己血輸血650ml,術中回収式自己血輸血500ml行った.手術時間8時間43分,出血量は1,015mlであった.ヘモグロビン濃度,血清アルブミン値はそれぞれ術前12.2g/dl,4.1mg/dlであったが,手術直後8.9g/dl,2.0mg/dlまで低下した.術後13日目に軽快退院となった.エホバの証人患者に対する術前インフォームド・コンセントにおいては担当外科医,麻酔科医が患者と無輸血手術の契約を行い免責証明を交わさなければならない.その際,医師は安全な手術を行うため,患者またはその家族へ手術での推定される出血量を述べ,術前希釈式や術中回収式自己血輸血,またアルブミン製剤の必要性を説得し,その使用の許可をとる必要があるものと考えられた.