著者
木村 穣 梶原 景正 坂部 貢 大塚 正人
出版者
東海大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

有機リン等の被爆が主原因とされるシックハウス症候群の患者単球においてNeuropathy Target Esterase(以下NTE)の活性が健常者に比べて高いことを2013年に報告した。有機リンが結合したNTEが化学変化を起こすと遅延性のOPIDN(organophosphate-induced delayed neuropathy)を引き起こすとも言われ、有機リン関連疾患の発症機構解析と疾患モデル開発のために、NTEをコードする遺伝子PNPLA6を導入したマウスを作製し、その性状を明らかにすると共に、NTE遺伝子導入細胞での有機リン感受性を検討した。複合体検出系も開発中である。
著者
松岡 真如 小野寺 栄治 川上 利次 高野 一隆 木村 穣
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.100, no.6, pp.193-200, 2018-12-01 (Released:2019-02-01)
参考文献数
15

衛星からの電波を受信して位置を知ることのできる Global Navigation Satellite System (GNSS) 受信機は林業の現場に普及している。GNSS で計測された座標には位置誤差が常に含まれている。したがって,その座標を用いて計算した面積も誤差を持っている。面積誤差の大きさが分かれば,直接的に測量の精度を知ることができ,森林資源の管理に役立つと考えられる。本論文では,位置座標と位置誤差(標準偏差)とから面積の標準偏差を求める方法を説明する。また,誤差を含む座標を用いて計算された「面積の標準偏差の近似値」を面積の精度を示す指標として利用することを提案する。この近似値のあてはまりの良さを評価するため,本論文では GNSS による周囲測量を模した数値実験を行った。その結果,90%以上の実験条件において,近似値は実測値±3%の範囲に収まった。加えて,提案した指標を実際のデータに適用し,利用方法の例を示した。これらにより,提案した指標が GNSS 測量で得られた面積の精度評価に利用できる可能性が示された。
著者
馬場 天信 佐藤 豪 齋藤 瞳 木村 穣 中川 明仁
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.52, no.10, pp.937-944, 2012-10-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
21

肥満治療において臨床心理士を加えたチーム医療システムは効果的である.また,パーソナリティ尺度は,肥満症患者の置かれている心理社会的状況を理解するツールとして,患者と治療スタッフ双方に有益な情報を提供する.パーソナリティと肥満に関する研究報告は近年増加しているが,日本人の肥満症患者に関する報告は数少ない.本研究ではNEO-PI-R, TEG II, TAS-20を用いて,肥満症患者と一般成人におけるパーソナリティの違いを検討したところ統計的差異は認めらなかった.次に,肥満度別によるパーソナリティの違いについて分散分析を用いて検討したところ,BMI35以上の肥満症患者は神経症傾向(特に不安と抑うつ)が高く,感情同定困難という特徴が認められた。以上の結果は,肥満度の高い肥満症患者に対する介入にはパーソナリティの査定が有効であることを示唆している.
著者
木村 穣
出版者
一般社団法人 日本総合病院精神医学会
雑誌
総合病院精神医学 (ISSN:09155872)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.348-354, 2011-10-15 (Released:2015-06-24)
参考文献数
10
被引用文献数
1

認知行動療法は,さまざまな精神・身体疾患において有用であり,同様に糖尿病や肥満などの生活習慣病においても有用である。多くの肥満患者は“私は食べてない”“水を飲んでも肥える”などの認知の歪みを伴っている。これは自己ダイエットとリバウンドの繰り返しによる自己効力感の低下から生じていることが多い。したがって,肥満や糖尿病の治療で重要なことは患者の認知の歪みを修正し,運動や食事療法による減量や血糖の改善に対する自己効力感を向上させることである。これらの認知の歪みを生じやすい性格特性として,全か無思考や過度の一般化などを認めることが多く,治療にあたり患者の性格特性を把握しておくことは有用である。実際の肥満,糖尿病の治療では,血糖や体重のセルフモニタリングと,自己の行動(食事,運動など)とその後の血糖,体重の変化(関連)に気付かせることが重要である。同時に患者の自己効力感を向上させ,食事,運動などの行動変容を促し,維持させるサポートが必要である。これら患者の認知の歪みを修正し,自己効力感を維持,向上させるうえで認知行動療法は非常に有用である。以上のことより肥満,糖尿病の治療にかかわる医師,看護師,栄養士,運動トレーナーなどすべての職種のスタッフが認知行動療法の基本を理解し,臨床的に応用していく必要がある。
著者
井上 毅彦 槌谷 和義 木村 穣 梶原 景正
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集 2010年度精密工学会春季大会
巻号頁・発行日
pp.585-586, 2010 (Released:2010-09-01)

本研究の目的は糖尿病患者の負担を軽減するマイクロ無痛針を開発することである.我々はストレス評価手法を用いた痛み評価手法を用い,生体へ無痛穿刺が可能なマイクロ無痛針の最大許容外径は100μm未満であることを確認した.しかし,我々が確立した手法では直接的な痛み評価が困難である.本研究では注射針穿刺における細胞組織の損傷および侵害刺激を起因する神経ペプチドを観察し,この痛み評価手法の有効性について確認を行った.
著者
権藤 洋一 木村 穣 福村 龍太郎 牧野 茂
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2017-04-01

初年度の成果是正も含め、発生初期の高変異率や停止コドン抑制の新たな分子機構など学会などで発表した。2019年度はさらに大きな目的である遺伝的背景の異なる条件下での自然変異大規模WGSデータを得た。これまでマウスゲノム参照配列である世界標準系統C57BL/6Jを中心に解析してきた。今回ゲノム配列が1%以上も異なる日本産MSM/Ms系統の大規模解読を完了した。数世代の兄妹交配で変異を蓄積したMSM系統親の小規模解析から変異率の20%減少が示されていたので、今回、継代が進みさらに蓄積された同腹6個体のWGSを完了しビッグデータを得た。また6匹の雌雄両親ゲノムも解読し「拡張トリオ解析」を実現した。予備実験では兄妹交配蓄積のためマルコフ過程に基づく変異率推定値しか得られなかったが、親子間で直接大規模検出することも可能となったため高精度な変異解析が実現する。またマルコフ過程に依存した変異率推定の実験実証にも成る。MSM系統の極めて高い発がん抵抗性が、自然変異率20%減少がその一因となることを直接実験証明することにつながる。もう1つの大きな目的である構造変異structural variation (SV)の高精度検出においても、2つの全く新しい技法によって網羅的大規模解析が実現した。ひとつは、BioNano社の Saphyrシステムを用いた数Mbpの1分子長鎖全ゲノムマッピングwhole genome mappinng (WGM)データを得た。また、もうひとつはMGI社のsingle tube long fragment reads (stLFR)データである。いずれも、これまで解析してきたC57BL/6Jの同じマウスゲノムDNAを用いたデータであり、すでに得ているイルミナshortreadだけでなく、PacBioやNanoporeデータとも直接比較解析可能となり、単にSV検出に留まらず、すでに得ている参照配列の見直し6000候補箇所の実証にもつながる。
著者
松井 康輔 宮内 拓史 木村 穣 海堀 昌樹
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.301-305, 2018-12-15 (Released:2019-02-01)
参考文献数
10

外科手術後における身体活動性の早期回復を目指すには,運動療法のみならず運動直後の栄養摂取を含めた栄養管理を併用するリハビリテーション栄養の取り組みが重要である.当院では肝癌患者に対し,健康運動指導士が個々にあった運動プログラムを提供し,積極的に身体を動かすことにより,術後の体力回復をより早期に改善することで体力維持を可能とさせる研究を行ってきた.そこで,障害肝を併存している肝癌患者を対象にBCAA製剤投与運動療法群(n=25),および術前後運動療法および栄養指導運動群(n=25),術前後栄養指導のみの対照群(n=26)の3群に分類し運動療法の有効性を検討したところ,障害肝合併の肝細胞癌患者に対して術前術後6ヵ月間の運動療法およびBCAA製剤投与により脂肪量の減少による体重の減少,またインスリン抵抗の改善効果を認めたものの,骨格筋量には影響を示さなかった.肝臓疾患患者に対しては日常安静重視ではなく,逆に積極的な運動療法を推奨するべきであると考える.
著者
木村 穣
出版者
一般社団法人 日本総合病院精神医学会
雑誌
総合病院精神医学 = Japanese journal of general hospital psychiatry (ISSN:09155872)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.348-354, 2011-10-15
参考文献数
10

認知行動療法は,さまざまな精神・身体疾患において有用であり,同様に糖尿病や肥満などの生活習慣病においても有用である。多くの肥満患者は"私は食べてない""水を飲んでも肥える"などの認知の歪みを伴っている。これは自己ダイエットとリバウンドの繰り返しによる自己効力感の低下から生じていることが多い。したがって,肥満や糖尿病の治療で重要なことは患者の認知の歪みを修正し,運動や食事療法による減量や血糖の改善に対する自己効力感を向上させることである。これらの認知の歪みを生じやすい性格特性として,全か無思考や過度の一般化などを認めることが多く,治療にあたり患者の性格特性を把握しておくことは有用である。実際の肥満,糖尿病の治療では,血糖や体重のセルフモニタリングと,自己の行動(食事,運動など)とその後の血糖,体重の変化(関連)に気付かせることが重要である。同時に患者の自己効力感を向上させ,食事,運動などの行動変容を促し,維持させるサポートが必要である。これら患者の認知の歪みを修正し,自己効力感を維持,向上させるうえで認知行動療法は非常に有用である。以上のことより肥満,糖尿病の治療にかかわる医師,看護師,栄養士,運動トレーナーなどすべての職種のスタッフが認知行動療法の基本を理解し,臨床的に応用していく必要がある。
著者
宮脇 健三郎 尾関 基行 木村 穣 相澤 清晴 北村 圭吾 山崎 俊彦 森 麻紀 武川 直樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.93, no.1, pp.48-54, 2010-01-01
参考文献数
12
被引用文献数
1

本稿では,「食べる」ことを「健康」と「楽しさ」の二つの側面からとらえ,携帯電話による遠隔食事指導,画像処理を応用した食事ログ,拡張現実感による食卓演出,遠隔共食システムの4件の研究事例を紹介する.
著者
佐藤 豪 木村 穣 小崎 篤志
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009-04-01

本研究では生活習慣の変容を促進し、また従来から問題とされているせっかく新しい生活習慣を身につけてもそれが逆戻りしてしまう現象について、基本的に無理をして生活習慣の変容を行っても、その後その効果が持続しない、そこには安心感というものがベースになっていないためであるということを検討してきた。このような点の検討を行うために、喫煙者と非喫煙者との性格特性や身体的な感覚の相違などについての分析を行い、これについての知見を得た。それに基づいて、生活習慣変容のためのプログラムを策定し、それを WEB 上で展開するという研究を行った。