著者
小柳 綾子 松井 康子 戸叶 隆雄 吉岡 正人
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.122-127, 2011-06-20 (Released:2013-06-20)
参考文献数
6

アミノ変性シリコーンはコンディショニング効果に優れたシリコーン誘導体の一つであり,ヘアケア製品に広く使用されている。しかし,連用するとアミノ変性シリコーンが毛髪表面に蓄積 (ビルドアップ) することで感触が損なわれることが問題であった。今回われわれは,「 (加水分解シルク/PG-プロピルメチルシランジオール) クロスポリマー」 (Hydrolyzed Silk PG-Propyl Methylsilanediol Crosspolymer;以下,HPS)をアミノ変性シリコーン含有コンディショナーに配合することでアミノ変性シリコーンのビルドアップが抑制されるかどうかを確認した。エネルギー分散型X線分析装置 (EDS)による毛髪表面のシリコーン量の測定と官能評価の結果から,HPSにはアミノ変性シリコーンのビルドアップを抑制し良好な感触を維持する効果があることがわかった。
著者
松井 康 今井 智子 永井 智 小林 直行 渡邊 昌宏 近藤 宏 宮川 俊平
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.389-393, 2016 (Released:2016-07-06)
参考文献数
28
被引用文献数
1

〔目的〕運動前のタウリン摂取が,運動によって生じる筋疲労に与える影響を明らかにすることとした.〔対象〕大学男子サッカー選手10名とした.〔方法〕無作為化二重盲検クロスオーバー試験にて,タウリン水,プラセボ水の2種類を摂取し,75%VO2maxでのエルゴメータによる運動と,最大努力での等速性膝伸展運動を100回行った.測定項目は,血液成分,膝伸展運動中のピークトルク,および大腿直筋の平均周波数(MPF)とした.〔結果〕タウリン水摂取群は血中MB濃度の上昇と,MPFの低下が抑制される傾向を示した.〔結語〕タウリン水摂取が運動によって生じる筋損傷を抑制する可能性があることが示唆される.
著者
松井 康人
出版者
日本エアロゾル学会
雑誌
エアロゾル研究 (ISSN:09122834)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.157-161, 2017-09-20 (Released:2017-10-05)
参考文献数
10

Risks of Nanoparticle should be assessed comprehensively by their physicochemical characteristics. However, such assessment has not been conducted because various physicochemical parameters and end points are involved. The relationship between one characteristic and the specific effect has to be analyzed in order to conduct sufficient risk assessment of nanomaterials. In this study, it was found that there was the quantitative relationship between the specific surface modification/size of nanoparticle and the endocytic uptake of alveolar epithelial cells. The results indicate that the amount of cellular uptake of nanoparticles is independent of the surface modification, but it depends on the particle size. The uptake rate is high in the order of COOH>NH2>plain on the surface modification and faster as the particle size increases. It was suggested that uptake rate depends on the surface potential and the hydrophilicity.
著者
山内 俊幸 須田 洋 松井 康訓
出版者
日本エアロゾル学会
雑誌
エアロゾル研究 (ISSN:09122834)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.5-10, 2007-03-20 (Released:2007-03-20)
参考文献数
6
被引用文献数
2

A device which cools a discharge electrode to cause condensation and then electrostatically atomize the condensed moisture by applying high voltage to the discharge electrode has been developed. The electrostatic particulate water generated through the electrostatic atomization by this device has been confirmed to have a peak particle diameter of approximately 20 nm. In addition, simultaneous formation of radicals was verified by ESR analysis. It has been confirmed that this electrostatic particulate water has the effects of deodorization by adsorbing/absorbing odors and deactivation of pollen or mite antigens. An air cleaner equipped with this electrostatic atomization device has been developed. Further, when this device was employed on a hair dryer, it was found to have the effects of increasing the moisture-holding power of hair, giving hair softness and increasing the tensile breaking strength of hair. This is presumed to be due to the abundant moisture given to hair compared to negative ion devices.

2 0 0 0 OA 陶淵明と酒

著者
茂田井 円 松井 康子
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.86, no.8, pp.587-590, 1991-08-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
9

中国六朝時代の大詩人陶淵明の酒好きは広く知られている。彼の酒に対する考え方や酒に対する愛着, 常時接していた酒について, その造り方を彼の記述と住んでいた地域の地理的条件を加味し検討した。さらに, 彼が「緑酒」と表現した, 酒の復元の第一歩として草麹の再現を試み, 草麹が再現できるまでの不安と成功したときの喜び, できた麹から醸しだされるであろう酒の香味について想像を働かせ, 陶淵明が感じたであろう味および酒に対して抱いた神秘性について記していただいた。
著者
原田 敦 松井 康素 竹村 真里枝 伊藤 全哉 若尾 典充 太田 壽城
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.596-608, 2005-11-25 (Released:2011-03-02)
参考文献数
67
被引用文献数
7 8

老年病の需要増加に対する有限の医療・介護資源をいかに合理的に活用するかが問われている. 本稿では, 骨粗鬆症・骨折の疫学と費用を述べ, 次いで費用対効果の研究を介入法別に総説した. 骨粗鬆症性骨折による生命予後及び機能予後の悪化, 並びにQOL低下の存在は多くの研究から明らかで, 骨粗鬆症治療の効果はQOLを考慮した質調整生存年 (QALY) によって測定され, 費用・効用分析にて解析されるべきである. 従って, その費用対効果は, 単なる得られた生存年ではなく, 獲得されたQALY当たりの費用で評価されるのが適正で, QALYも得られ, 費用も節減が最も望ましいが, 妥当な費用閾値を越えなければ費用対効果は良好とされる.骨粗鬆症・骨折における治療の費用対効果は, 対象の有する骨粗鬆症性骨折リスクと介入法の効果及び費用に依存しており, 特に骨折リスクとしての年齢と介入費用の影響が強かった. 高価な治療であっても高齢であれば, 平均骨折リスクの女性では合理的費用対効果が認められ, 安価で効果のある治療なら, 閉経直後の正常女性でも合理的費用対効果が得られる. さらに介入効果として薬剤中止後の効果残存にも費用対効果は大きく左右され, 効果残存のない薬剤では, 最も安価でかつ最大の効果のある場合以外は, 費用対効果を得るのは困難とする報告もあった.介入法ごとの費用対効果を現時点の文献をもとに検討すると, HRTに関しては, 有益作用を有害作用が上回った最近の報告を元にした検討はまだ発表されていない. アレンドロネートは既存脊椎骨折のある高齢骨粗鬆症女性で十分な費用対効果が認められ, 効果は対象が高齢の方が優れており, 既存脊椎骨折を有する方が脊椎骨折のない場合より優れていた. リセドロネートも65歳以上の骨粗鬆症女性では既存骨折にかかわらず, 良好な費用対効果を示し, 既存骨折があれば70歳以上ですべて費用節減に至った. カルシウムとビタミンD併用は大腿骨頸部骨折リスクを減少し, 高齢女性で費用節減に到達した. ラロキシフェンは乳癌抑制作用も合わせると, 既存骨折の有無にかかわらず, 骨粗鬆症女性における費用対効果はどの年代でも良好であった. ヒッププロテクターは, 高齢者においては男女とも費用節減で, 特に高齢女性では大きい費用節減とQALY獲得が予測された.このように骨折リスクの高い高齢者にも費用対効果が十分期待できる介入法がいくつかあり, それらによる積極的な治療は医療経済的にも大いに有意義であると考えられる.
著者
秋山 貴 大迫 政浩 松井 康弘 原科 幸彦
出版者
Japan Society of Material Cycles and Waste Management
雑誌
廃棄物学会論文誌 (ISSN:18831648)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.121-130, 2004-03-31
参考文献数
20
被引用文献数
1 1

産業廃棄物処理施設は忌避施設と見なされ, その設置をめぐる紛争が多発している。このような特性を有する施設が偏在することは, 環境保護と社会正義の同時達成を目指す「環境的公正」の概念に照らして問題であるとの仮説を基に, 本稿ではその空間的偏在性について定量的に検討した。同時に, 昨今大きな社会問題になっている産業廃棄物の不法投棄についても検討した。分析対象は関東とその周辺の1都8県の最終処分場, 中間処理施設, 不法投棄とし, それらを市町村ごとに集計してその立地や発生の傾向を調べた。分析の結果, 最終処分場, 中間処理施設, 不法投棄のすべてにおいて正の空間的自己相関が存在し, これらが市町村単位で見たとき偏在性があることがわかった。さらに, 最終処分場立地点と不法投棄発生点には空間的分布において類似性が認められることから, 問題構造に共通性が存在する可能性があることが示された。
著者
松井 康浩
出版者
一般財団法人 日本国際政治学会
雑誌
国際政治 (ISSN:04542215)
巻号頁・発行日
vol.2020, no.201, pp.201_1-201_16, 2020-09-15 (Released:2022-03-31)
参考文献数
49

This special issue illustrates new horizons in Soviet studies as they have developed over the nearly 30 years since the collapse of the USSR, following the clue through this growing body of work in three keywords: memory, legacy, and empire. Memory reflects more as the distance of time or space from the given objects and phenomena grows. The idea of legacy, too, emerges after its objects come to an end and disappear. Thus, the analysis and examination of the Soviet Union in terms of memory and legacy could be introduced only after it ceased to exist in the present.The third term, empire, however, has been part of the discussion of the USSR dating back to the time before it vanished. For instance, Hélène Carrère d’Encausse’s work L’empire éclaté : la révolte des nations en U.R.S.S., first published in 1978, describes the Soviet Union as a multiethnic empire in which the central power, which inhered absolutely in the Communist Party, exercised total control over a vast space. Furthermore, it cannot be doubted that the collapse of the USSR and the Eastern Bloc in the moments immediately before and after a series of ethnic conflicts erupted within its borders expanded this discussion of the Soviet Empire. The imperial order that dominated Soviet territory, along with its regions of influence, has reemerged as an important issue. The series of studies of empire that has developed in historiography and international relations has been driving this orientation. Finally, the Soviet Union has also found its place within the umbrella of comparative studies of empires as well as an intriguing area of research.This special issue explores new horizons of research on the basis of the three concepts of the Soviet Union in memory, the Soviet Legacy, and the USSR as an empire.
著者
松井 康博
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.430-434, 2017 (Released:2017-05-01)
参考文献数
7

連続生産は2002年頃から始まった医薬品の品質向上のために新技術の採用を促進する取り組みの一環であり、QbD とも深い関係があると考えられる。連続生産ではスケールアップが不要であること、及び、製造工程を常時PATツールによりリアルタイムモニタリングすることからQbDアプローチの適用に適しており、高品質な医薬品の設計に有用であると考えられる。連続生産の実用化に向けては技術上、規制上の課題はあるが、近い将来それらが解決されて高品質な医薬品の迅速な提供に貢献することが期待される。
著者
松井 康博
出版者
公益社団法人 日本薬剤学会
雑誌
薬剤学 (ISSN:03727629)
巻号頁・発行日
vol.79, no.6, pp.300-304, 2019 (Released:2019-11-01)
参考文献数
5
著者
嵐谷 奎一 松井 康人 戸次加 奈江
出版者
一般社団法人 室内環境学会
雑誌
室内環境 (ISSN:18820395)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.127-136, 2019 (Released:2019-08-01)
参考文献数
11

モデルルーム(面積:20 m2, 容積:45 m3)において, 6種の異なる暖房器具(3種の石油系暖房器具, 都市ガス及びプロパンガスヒーター, 電気ストーブ)および喫煙により発生する汚染物質の計測を行った。換気条件は, 以下に示す4種類の方法により実施した。1: 換気操作を行わない(Fan off, Door closed), 2,3: ドアの開閉により換気を行う(Fan off, Door 45°-openまたはFan off, Door 10°-open), 4: 機械換気を行う(Fan on, Door closed)。なお, 暖房時間と喫煙時間は, いずれも3時間と設定した。これらの結果から, 電気ストーブを除く暖房器具の使用により, NOおよびNO2の発生が確認され, その濃度は機種により異なることが確認された。 また, CO, CO2およびホルムアルデヒドは, 電気ストーブを除く全ての暖房器具から発生することが確認され, 粉じんと多環芳香族炭化水素(PAH)は石油系暖房器具からの発生が認められた。一方で, 喫煙による影響を評価した結果からは, NO, COおよびCO2, ホルムアルデヒド, 粉じん, PAHの濃度の上昇が認められた。これらの汚染物質は, いずれも換気操作を行うことによって濃度の低減が確認され, 暖房器具の使用時や喫煙時には, 換気を行うことが室内汚染物質除去への対処策として効果を示すことが確認された。
著者
松井 康輔 松島 英之 小坂 久 山本 栄和 関本 貢嗣 海堀 昌樹
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.55, no.6, pp.246-249, 2021-12-15 (Released:2022-01-15)
参考文献数
7

【はじめに】当院では肝癌肝切除において,これまでのERASプロトコールによる周術期管理を改善し,ESSENSEプロトコールに基づいた周術期管理を行っており,その効果と問題点について検討を行った.【対象と方法】2018年1月より2020年12月までの肝細胞癌肝切除206例を対象に,当院におけるESSENSEプロトコールに基づいた周術期管理について検討した.【結果】ESSENSEプロトコールのうち,「腹腔ドレーンの排除」の検討では94.2%にドレーン留置が行われており,「術翌日よりの食事再開」において,術翌日に5割以上の食事摂取が可能であった症例は38.7%であり,いずれも遵守困難と考えられた.【考察】ドレーン留置は身体活動の抑制につながるが,肝癌肝切除においては,難治性腹水や術後胆汁漏の観点からドレーン留置が必要となる症例も多く存在し,ドレーン留置必須症例を正確に抽出する必要があると考える.また,術翌日よりの食事再開は困難であり,再開においても患者の食事意欲や腹部症状に合わせた食事内容での再開に努める必要があると考える.
著者
松井 康弘 足立 裕紀
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.25, 2014

循環型社会の構築に向け、Recycleに関する法制度・システムの整備が進む中、本来優先すべきReduce/Reuseの2Rの取り組みが立ち遅れているのが現状である。また、先行研究において、20-40代の若年層・学生等の分別参加率が相対的に低いことが明らかとなっており、2R・若年層の普及啓発が課題となっている。本研究では、主に若年層が参加する岡山市の飲み歩きイベント「ハレノミーノnishigawa」、「有機生活マーケットいち」と連携して3R体験イベント「食べきりーの飲みきりーので、はじまるオニ退治」を開催し、参加者に対する3Rの普及啓発を図ることとした。また、参加者に対してアンケート調査を実施し、3Rに対する認知・参加・今後の意向等の実態を調査したので結果を報告する。
著者
山下 真司 松井 康子 戸叶 隆雄 吉岡 正人
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.219-223, 2012-09-20 (Released:2014-09-20)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

ヘアアイロンやコテのような高温の熱を利用した毛髪のスタイリングが広がってきているが,毛髪はこのような熱によりダメージを受けてしまう。そこで本研究では,毛髪の熱ダメージおよび,毛髪のアミノ酸組成における熱ダメージの指標について検討した。熱により毛髪中のシスチン残基からランチオニン残基が生成するため,毛髪のアミノ酸組成におけるダメージの指標として利用されてきたシステイン酸に加え,ランチオニンもダメージの指標として確認する必要があると考えられた。実際,ブリーチやパーマを施した毛髪ではシステイン酸の増加がみられたが,熱処理を行った毛髪ではシステイン酸でなくランチオニンの増加がみられた。さらに,熱処理による毛髪の水分量の低下や引張り強度の低下も確認した。以上のことから,熱処理により毛髪がダメージを受けると同時にランチオニンが増加し,熱ダメージの指標として毛髪のアミノ酸組成によるランチオニンの定量が有効であった。
著者
木下 かほり 佐竹 昭介 松井 康素 荒井 秀典
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.221-229, 2019 (Released:2019-10-28)
参考文献数
38
被引用文献数
1

フレイル高齢者でエネルギー摂取とは独立して偏りやすい栄養素を横断的に解析することを目的とした。当院フレイル外来を受診した独歩可能な高齢者270名 (年齢中央値79歳) を対象とし, 中等度以上の認知機能低下やタンパク質制限を要する者は除外した。フレイルはJ-CHS基準で評価した。食事摂取量は簡易型自記式食事歴法質問票で評価し, 推定エネルギー必要量を摂取したと仮定した栄養素・食品摂取量を算出後, 22の栄養素摂取量が日本人の食事摂取基準の推奨量または目安量を満たすかどうか評価した。フレイル有無において基準を満たしていない者の割合をχ2検定で性別に比較し, 差を認めた栄養素を従属変数, フレイルを独立変数, 年齢, BMIを共変量としたロジスティック回帰分析を性別に行った。その結果, 女性でのみ有意な関連を認め, フレイルの亜鉛摂取基準値未満に対するオッズ比 (95%信頼区間) は2.50 (1.23‐5.06) であった。フレイルな高齢女性では亜鉛の不足に留意した栄養指導が必要である。
著者
松井 康人 長野 有希子 橋本 訓 吉崎 武尚
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.337-344, 2019-10-15 (Released:2019-10-16)
参考文献数
11

国立大学の法人化に契機として,京都大学では安全管理の強化が行われた.2010 年以降に発生した約 1 900 件の事故情報を対象としてリスクを定量的に評価するために,アンケートのパラメータ間の比較と自由記述部の自然言語処理を用いた分析を実施した.分類毎の事故の報告数では,針刺し,転倒,交通事故,体液曝露,切れ・こすれの合計が,総報告数の7 割近くを占めていた.発生月は6 月が最大であり, 11 月も多い二峰性を示していた.自然言語処理では,車道から歩道に移動する際の自転車による転倒など,分類調査だけでは分からなかった傾向を,ベクトル俯瞰図から得た.またこれらの転倒は,接触型とスリップ型に分類でき,それぞれの要因についても明らかにした.