- 著者
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松原 敏浩
- 出版者
- The Japanese Group Dynamics Association
- 雑誌
- 実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
- 巻号頁・発行日
- vol.24, no.1, pp.55-65, 1984-08-20 (Released:2010-11-26)
- 参考文献数
- 38
- 被引用文献数
-
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本研究の目的は, リーダーシップ行動の部下のモラールへの影響が, 部下のパーソナリティ, 部下の職務特性, 部下の職位水準によってどのように規定されるかを検討するものである。リーダーシップ行動は, PM式リーダーシップ測定尺度によって測定された。モデレーターである部下のパーソナリティ特性は, YG性格検査, 職務特性は質問紙によって測定された。そして部下のモラールも質問紙によって測定された。得られた主な結果は, 次の通りであった。1. 部下によって認知された上司の目標達成行動 (P行動) と部下のモラール (満足感次元) との関係は, 情緒的に安定した部下の方が, そうでなひものよりもより高い正の相関を示した。2. P行動と部下のモラールの凝集性次元との関係は, 社会的活動性に富む部下の方がそうでないものよりもより高い正の相関を示した。3. P行動と凝集性次元との関係は, 多様性に富む職務, 協力の必要性のある職務のものの方がそうでないものよりもより高い正の関係を示した。4. P行動と部下のモラールとの蘭係は, 部下の職位水準の上昇とともに増加した。5. 部下によって認知された上司の集団維持行動 (M行動) とモラールとの関係におよぼすモデレーターとしての部下のパーソナリティ特性の役割は, P行動の場合ほど明確でなかった。6. M行動とモラールとの関係は, 多様性に欠ける職務の方が富む職務よりもより高い正の相関を示した。7. 部下の成長欲求は, モデレーターの役割が明確でなかった。結果は, Houseのパス・ゴール理論, 三隅のPM理論から考察された。