著者
木村 誇 後藤 聡 佐藤 剛 若井 明彦 土志田 正二
出版者
公益社団法人 日本地すべり学会
雑誌
日本地すべり学会誌 (ISSN:13483986)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.43-49, 2016 (Released:2016-04-27)
参考文献数
15
被引用文献数
3

平成25年台風26号の通過に伴う豪雨によって,伊豆大島火山のカルデラ外縁斜面では,火山砕屑物層の表層崩壊と崩土の長距離移動が発生し,元町地区で甚大な土砂災害を引き起こした。このような火山地域特有の土砂災害を防ぐためには,崩壊予備物質となる火山砕屑物の層厚分布を把握する必要がある。伊豆大島火山の噴火史研究(小山・早川,1996)に記載されたデータをもとに,クリギング法を用いて斜面に堆積したテフラとレスの互層からなる火山砕屑物の層厚分布を推定し,現地で実測した層厚と比較した。その結果,テフラの降下量が均質でほぼ同じ層序・層厚をもつと考えられた範囲(大金沢流域:1.2km2)において,テフラ層厚および累積層厚に,推定値との比でそれぞれ0.2~2.2倍と0.8~1.9倍の較差があることが明らかになった。
著者
小林 達 澤田 歩 葛西 智 後藤 聡 松本 和浩 工藤 智
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.287-294, 2021 (Released:2021-09-30)
参考文献数
34
被引用文献数
1

近年のリンゴ開花期間における低温傾向に対応するため,10°Cの低温条件でも発芽が可能で,主力品種 ‘ふじ’ に対する人工受粉用花粉として適する品種を選定した.まず,受粉専用品種を含む全26品種を対象とし,10, 15および20°Cの各条件における花粉発芽率を調査した結果,10°Cにおける発芽率は ‘ふじ’ を除くと2か年とも ‘はるか’ が最も高く,‘王林’ が最も低かった.次に,‘はるか’ および ‘王林’ の他,10°Cでの花粉発芽率が高かった品種のうち,広く生産され花粉を獲得しやすい ‘シナノゴールド’ を加えた3品種について,10または20°C条件でそれぞれの花粉を ‘ふじ’ の花に受粉した.その結果,‘はるか’ および ‘シナノゴールド’ の花粉の場合は両条件とも高い結実率を示したのに対し,‘王林’ の花粉の場合,10°C条件では20°C条件に比較して明らかに低かった.また,50花当たりの花粉重量は,これら3品種の中で ‘王林’ が最も少なかった.さらに,3品種のいずれの花粉を受粉しても,‘ふじ’ の果実形質および果実品質に差はないことを確認した.以上より,‘はるか’ および ‘シナノゴールド’ の花粉は低温発芽性を有し,花粉量も多いことから,低温条件下の ‘ふじ’ に対する人工受粉用の花粉として有望であると考えられ,現在一般的に使用されている ‘王林’ よりも優れた特性を有することが明らかとなった.
著者
後藤 聡
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.105-110, 1999-08-20

本研究の目的は, 2桁×1桁の整数かけ算問題について, 構成要素と難易を基準として問題を類型化, 系列化し, その結果を用いたデータバンキングシステムの開発を試みることであった.問題の構成要素として1)答の桁, 2)かけ算九九の繰り上がりの有無, 3)1桁たし算の繰り上がりの有無, 4)被乗数の中のゼロの有無, 5)答の中のゼロの有無, 数, 位置, 6)部分積の型を取り上げた.1)〜3)と6)を組み合わせて全問題を6基本型に分類した.更に, 4), 5)を含めて20の型に分類した.各6基本型について, 被乗数や答にゼロを含まない問題と含む問題を調査した.その結果から難易差を想定して問題を系列化し, 教授者が任意に利用できるシステムの開発を試みた.
著者
上石 勲 山口 悟 佐藤 篤司 兒玉 裕二 尾関 俊浩 阿部 幹雄 樋口 和生 安間 莊 竹内 由香里 町田 敬 諸橋 良 後藤 聡 輿水 達司 内山 高 川田 邦夫 飯田 肇 和泉 薫 花岡 正明 岩崎 和彦 中野 剛士 福田 光男 池田 慎二 会田 健太郎 勝島 隆史
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.507-512, 2007-07-15
参考文献数
1

2007年2月~4月にかけて4件の大きな雪崩事故が発生した.2007年2月14日には八甲田山系前岳で表層雪崩によってツアースキーヤーの2名が死亡,8名が負傷した.3月18日には,北海道積丹岳で,スノーモービルで走行中の人など16人が雪崩に巻き込まれ,4人が死亡,1人が重傷を負った.また,3月25日には,富士山富士宮口五合目付近でスラッシュ雪崩が発生し,建物と道路施設に被害を与えた.さらに4月18日には富山県立山雷鳥沢で山スキーヤーとスノーボーダーが表層雪崩に巻き込まれ,1名死亡,2名が負傷する事故が発生した.これらの雪崩事故調査から山岳地域では暖冬でも雪崩の危険性は低くないことが確認された.
著者
後藤 聡 加治原 彩子 図師 尚子 渡邉 謙一 都築 直 古林 与志安
出版者
日本家畜臨床学会 ・ 大動物臨床研究会
雑誌
産業動物臨床医学雑誌 (ISSN:1884684X)
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.165-169, 2018-12-31 (Released:2019-05-11)
参考文献数
15

新生子牛における肋骨骨折の多くは分娩時に起こるとされ,死産の原因ともなる.今回,臨床現場にて呼吸不全を呈した子牛に遭遇し,X 線検査によって完全骨折が,超音波検査によってX 線検査ではわからなかった不完全骨折が診断できた.症例は,出生後より呼吸速迫し腹式呼吸で呼吸困難の様相を呈するホルスタイン種雄子牛で,呼吸異常,食欲不振を主訴として受診した.出生時,獣医師により牽引娩出されており,熱発,肺音異常,心拍および呼吸数増加を認め,胸部触診において右側前胸部の疼痛所見から肋骨骨折を疑った.臨床現場にて胸部X 線検査および超音波検査を行い,X 線検査では右第1・2 肋骨の完全骨折を認めた.超音波検査では,右第1・2 肋骨肋骨体に加えて第3 ~ 9 肋骨肋骨体において骨膜線の段差(step sign)と骨表面の無エコー領域(血腫)が描出された.畜主が廃用を決定したことから,大学に搬送してCT 検査を行った.CT 検査では,超音波検査と同様の骨折所見とともに,胸腔内に突出した肋骨遠位骨折端による気管の圧迫が観察された.死亡後の病理解剖検査では,右第1 ~ 9 肋骨の完全骨折および不完全骨折が確認された.本症例において,X 線検査にて右第1・2 肋骨の完全骨折を診断することは可能であったが,右第3 ~ 9 肋骨の不完全骨折の診断は困難であった.一方,超音波検査では,右第1・2 肋骨の完全骨折のほか,外形変化に乏しい不完全骨折であった第3 ~ 9 肋骨においても骨折診断が可能であった.
著者
後藤 聡
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 26 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.405-406, 2002-09-12 (Released:2018-05-16)
参考文献数
2

短乗法(筆算の計算過程で部分積を書かない方法)、長乗法(部分積を書く方法)における計算処理速度の違いが、一桁たし算の繰り上がりの有無とどのように関係しているかについて、処理速度(1問の回答に要した時間を称する。)を測定して発達的に検討した。その結果、繰り上がりのない問題は6年生で短乗法が、繰り上がりのある問題では3年生で長乗法が処理速度は速かった。
著者
王 功輝 土井 一生 釜井 俊孝 後藤 聡 千木良 雅弘
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2017
巻号頁・発行日
2017-03-10

During the 2016 Kumamoto earthquake, numerous landslides had been triggered in Minamiaso Village. Most of the landslides originated on steep slopes, whereas some of them occurring on gentle slopes were fluidized and the displaced debris travelled long travel distance, resulting in causalities and severe damage to many houses on the downslope. In this study, we examined the geological features of these fluidized landslides occurring on gentle slopes, and performed both in-situ direct shear tests and dynamic ring shear tests on the soils taken from the sliding surface. During the tests, the samples were prepared at different initial water contents, and dynamic tests were performed by applying cyclic loadings with regular frequency and amplitude of shear stress, and also by coseismic loading referred from seismic motion recorded in a seismic station nearby. Based on these results, we finally analyzed the possible initiation and movement mechanisms of these fluidized landslides.