著者
伊藤 かおる 志賀 保夫 田中 雅織 松浦 晶央 入交 眞巳
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.e36-e45, 2022 (Released:2022-02-15)
参考文献数
28

犬の問題行動に悩んでいる飼育者は,インターネットを通じて解決手段の情報収集を行うと予想されるが,その情報の質については評価されていない.そこで,インターネット上にある咬傷犬のトレーニングに関する情報を網羅的に収集し,情報の質として情報信頼性と動物福祉の考慮を評価した.その結果,質の低い情報に曝されている現状が示された.また,「恐怖」という単語が高頻度で使用されており,「主従関係」や「痛み」といった単語と強く共起していた.飼育者が質の低いインターネット情報に振り回されないよう,飼育者側には,動物福祉の考え方と情報の見方について,ウェブサイト運営者側には客観的で科学的根拠に基づく情報の提供を求めるとともに,飼育者に適切な情報が届けられるよう獣医師らが率先して科学的根拠に基づいた適正な情報を発信していく必要がある.
著者
入交 眞巳 中西 コスモ 渡辺 宏 松浦 晶央 山崎 淳 大西 良雄 甫立 孝一
出版者
日本獸医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 = Journal of the Japan Veterinary Medical Association (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.64, no.9, pp.721-727, 2011-09-20
参考文献数
11

本研究はペットとして飼われている犬の飼育者に対して,犬飼育に関する意識調査をアンケート方式において行った.青森県内に住む犬飼育者を対象に29の設問のアンケート用紙を動物フェスティバルや動物病院で配布し,471名の犬飼育者から回答を得た.回答者の7割は女性で,年齢は30~40代が多く,家族とともに暮らしている人が9割を占めた.犬飼育の理由としては,自分か家族が動物好きだからが5割以上を占めた.不妊去勢手術に対し75%が賛成しているが,実際に処置している飼育者は4割弱であった.飼い犬に所有者明示をしている人は3割できわめて少なかった.獣医師会や環境省の啓発にもかかわらず,不妊去勢手術実施や所有者明示の割合が少なかったことから,獣医師は地域社会に対しこれまで以上に正しい犬飼育の教育と啓発を行っていくべきである.
著者
増村 健冶 松浦 晶央 高橋 誠 秦 寛 中辻 浩喜 近藤 誠司
出版者
日本家畜管理学会
雑誌
日本家畜管理学会誌 (ISSN:13421131)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.127-134, 2004 (Released:2017-10-03)
参考文献数
9

質問紙法の一つである日本版POMS(Profile of Mood States)を用いて乗馬運動前後間で騎乗者の気分の変化を測定した。被験者は大学生22名であり、供試馬は8頭の乗用馬であった。試験は4回実施し、乗馬実習時で練習内容に違いがある3試験のほか作業実習時にも試験を行った。常歩運動を主とした軽度な乗馬運動を行った場合、被験者の緊張-不安、抑うつ-落ち込み、怒り-敵意、混乱、疲労の5尺度に減少が見られた(P<0.05)。このことから、軽度な乗馬運動には、騎乗者の気分に対する良好な効果と疲労感を軽減させる効果がある可能性が示された。また、トレッキングを行った場合、活気と疲労の尺度に増加が見られた(P<0.05)。乗馬運動を実施する際に環境も含めたプログラムを工夫することで、乗馬運動が騎乗者の気分に与える効果に違いが生じる可能性が示された。