著者
工藤 卓 徳田 農 清原 藍 田口 隆久 林 勲
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第24回ファジィ システム シンポジウム
巻号頁・発行日
pp.44, 2008 (Released:2008-12-06)

ラット海馬神経細胞は、培養皿上で複雑なネットワーク構造を再構成し、相互作用して自発的な活動電位を発現する。我々は64個の微小平面電極から活動電位を計測し、これを解析している。我々は神経回路網と外界を相互作用させるインタフェイスとしてKheperaIIロボットを用い、神経回路網がロボットの動作を制御し、またロボットのセンサ情報が神経回路網に伝達される系を構築した。外界と神経細胞のリンクは学習型ファジィ推論によって、衝突回避行動を埋め込み、実際に、ロボットに平行に設置した2面の壁に衝突することなくその間をジグザグ走行させることに成功した。外界からの入力信号に対する神経細胞の活動電位スパイク頻度はばらつきがあるが、衝突回避走行の後半では、この頻度の標準偏差が、記録された複数の神経細胞間で比較的近い値に収束していく現象が観察された。この現象は神経回路網が短期的な教師無し学習を実現した可能性がある。
著者
林 勲 北 彩香 荻野 正樹
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第30回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.256-261, 2014 (Released:2015-04-01)

運動の学習やスキル獲得に関する計算論的神経回路モデルの研究において,川人らの内部モデルが有用である.内部モデルは,Allen-Tsukaharaの制御モデルを核とし,フィードバック制御とフィードフォワード制御の連合性により身体の動作を表現する.本研究では,内部モデルのフィードバック制御とフィードフォワード制御の切り替えを確認するため,被験者にコンピュータ画面に表示される番号と合致するボタンを押す課題を与える.反復提示が複数回行なわれるならば,フィードバック制御に対するフィードフォワード制御の比率が高くなり,そのフィードフォワード制御が顕著に表現化される.ここでは,この反復動作の視覚-運動課題における動作とその反応時間,脳波信号に注目して,これらの関連性について議論する.
著者
神林 勲 石村 宣人 小林 和美 佐川 正人 武田 秀勝
出版者
北海道教育大学
雑誌
北海道教育大学紀要. 自然科学編 (ISSN:13442570)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.89-96, 2003-09-30

本研究では健康で活動的な成人男性6名と成人女性6名を被検者に,前腕の等尺性筋収縮を30%MVCの強度で維持させ,男女における筋持久力の差異を近赤外分光法(NIRS)によって測定された筋酸素動態[oxy(Hb+Mb)]の面から検討した.結果は以下の通りである.1)男性のMVC(55.1±8.7kg)は女性(34.2±2.5kg)よりも有意に高値を示した(p<0.05).2)運動継続時間は,男性で139.2±29.4秒,女性で175.8±23.7秒と女性の方が男性と比較して有意に長かった(p<0.05). 3)掌握運動中のoxy(Hb+Mb)の変化には明らかな男女差が認められ,男性では初期の直線的な低下後,20〜25%で疲労困憊まで推移したのに対して,女性では初期の直線的な低下後,漸増し,疲労困憊時には約75%にまで達した.4)初期脱酸素化速度には男女間に有意な差は認められず,また,運動継続時間との間にも有意な相関関係は認められなかった.以上のことから,30%MVC強度の筋持久力(運動継続時間)は女性の方が男性と比較し優れていた.この性差は筋の有酸素性代謝能の優劣ではなく,運動中の筋血流量の違いによってもたらされる有酸素性代謝の割合によることが示唆された.